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これまでの10年とこれからの10年

2023年12月6日で、m.m.d.は節目の10周年となります。

良い機会なのでこれまでのあゆみを薄れゆく記憶をたどりながら綴ります。

2013年12月6日 make my day 栄本店OPEN!

当初は全国の食器をセレクトして販売するお店として開業しました。店名は会社名の「make my day」でスタートしました。地元の有名ブランド「Studio M」をはじめ、九谷焼の「上出長右衛門窯」や波佐見焼のブランドを取り扱っておりました。告知もろくにせず勢いでOPENしましたので開業からおよそ1年間は閑古鳥が心地よく住み着いてました。

日々伸び悩む売上をボーッと眺めながら、

「これだいぶヤバいね!オリジナルの開発を急がねばならぬー!」

開業当初からオリジナルブランドを作ることは視野に入れていたのですが、開発を一緒に取り組んでいただける窯元さんに巡り合えずかなり焦っておりました。手書きのイメージラフデザインを握りしめてあちこち問い合わせをしていた2014年春の終わり、

「うちで作れるよー」

ついに快くオリジナルアイテムの生産を受け入れてくださる窯元さんに瀬戸市で出会いました。この窯元さんとの出会いがなければおそらくブランドはできてなかったと思います。今現在もブランド主力アイテムはこちらの窯元さんで生産していただいております。最初は六角形の取皿1形状のみでスタート。サンプルも完成して商品のコストを提示いただき上代の設定を考えて、

「この上代で販売しようと思います!」

と窯元さんにお伝えしたところ、

「そんな高い金額ではなかなか売れんかもよー」

と、不安を煽るありがたいお言葉をいただいた記憶が今も鮮明に残っています。瀬戸焼の商品は主に外食産業で業務用食器を生産する窯元が多く、産地問屋と呼ばれる会社さんが大量の商品を安く仕入れて安く卸す商売、いわゆる薄利多売が長年定着していたため私のような販売スタイルでは難しいのではというご意見でした。大きな会社のように予算が潤沢でブランディングの広告宣伝コストをバンバンかけられるのあれば話は別ですが、私のように広告予算のない個人商店のような会社でブランドを育てることは到底無理だと誰もが思うところですよね。しかしながら当時の私は自分のデザインが認められると過剰なまでに信じ込んでいました。根拠のない自信に満ち溢れておりました。

思い込みって、大事だね。

今でも新しいプロダクトを作る時には自分を信じて勢いで作っちゃってます。以前の記事で「ニュートラルな思考 = 消費者目線」が大切だと書きましたが、商品作りのフェーズはここをすっ飛ばします。座談会や消費者アンケートをもとに商品開発することはしないのです。でも、たまーにお客様から「こんなうつわがあったらいいなー」とか「こんな色があるといいなー」といったご意見をいただいたり、スタッフ日報で「お客様よりこのような要望をいただきました」という報告を受けることがあるので記憶に溜め込むことは必ずします。うまく表現できないのですが、頭の中の点と点を繋いでかたちにしていく感じですね。右脳の仕事です。アートです。基本的には出来上がったプロダクトが店頭に並んでようやくニュートラルな思考が発動するパターンでやってます。

オリジナルブランドが販売スタートして半年くらいが経過したある日、お店にご来店いただいた1組のお客様から雑談の中でこんなお話をいただきました。

「これ、2枚セットで引き出物にしたいな!」

えっ? 引き出物? ってなんだっけ? 結婚式で使うやつ? 頭の中は???の状態で引き出物について調べました。そうか!ギフトボックスに入った熨斗紙のついたやつやん!13年前に自分も使ったやつやん!それまでギフトを考えていなかった私には衝撃の雑談でした。

「ギフトボックスを作らなくてはっ!」

色々調べた結果、瀬戸に食器専門の貼箱屋さんを発見!早速お伺いして制作をお願いすると快諾いただけました。貼箱とは芯材(ボール紙)に色紙を貼り付けて箱状にする作り方をしますが、お菓子などで使われる組み立て式の一般的な箱と違いほとんどの工程を手作りで製作します。なので1回で作れる量が少ないです。完成した形の空箱ですから空気を運んでいるようなものなので配送業者さんに依頼するととてつもない送料コストが発生しますので毎週末瀬戸へ引き取りの旅に出かけます。

そこからは結構な勢いで引き出物としてお客様へ直接販売する機会が増えていき、それをインスタでご紹介した記事を見たブライダル会社さんからお取引の依頼をいただけるようになり一気にブライダルアイテムとして拡大することができました。取皿2枚セット1アイテムから始まったギフトセットは今では数十種類のパターンまで拡大して引き出物以外にもさまざまなお祝いのシーンでご利用いただけるようになりました。

栄本店の売上は順調に拡大していき、全国で開催されるイベントにも積極的に出店するようになっていきます。商業施設からのイベント出店依頼も同時に増えていき、PARCOさんや伊勢丹さんや三越さんにもイベント出店させていただきました。

ブランドが育つにつれて、他のブランドさんからコラボレーション案件をいただく機会も増えてきました。最初に取り組んだバンダイナムコさんの「アイドリッシュセブン」とのコラボレーションアイテムは、2013年オープン当時から運営しているオンラインショップのサーバーがパンクしかかるという恐ろしい売れ方をしました。その後いろんなイラストレーターさんとコラボさせていただき、現在では竜とそばかすの姫の原画を担当された「イケガミヨリユキ」さんとのコラボ商品を販売しております。

2018年、豊田市にある商業施設「T-FACE」さんに出店。オープン初日からたくさんのお客様にご来店いただき順風満帆のスタートを切ることができました。よーし、これから東京や大阪にも直営店を出して拡大していくぞー!そんな野望が沸々を湧いてきた矢先、あの悪夢の日々は突然やってきました。

COVID19

こやつのおかげで2020年には緊急事態宣言に伴い商業施設は休業を余儀なくされる事態に陥りました。来館者数はみるみる減少していき店舗の運営が難しくなる状況に陥りました。そんな中でも行政の補助、銀行の特別枠融資でなんとか生き延びていました。そして2021年2月。コロナの影響はまだまだ続く中、何を血迷ったかさらに1店舗を豊田にオープンするという正気の沙汰とは思えない行動に出ます。

maison m.m.d.

豊田T-FACE店の2階ファッションフロアにアパレルブランドとしてオープン。陶器のアクセサリーを中心にアパレルアイテムもオリジナル開発してラインナップ。アクセサリー作家さんやアパレルブランドさんのセレクト商品をミックスした店舗を作りました。2023年1月までの2年間営業させていただき燦々たる結果を残して儚く退店。同年3月には6階のm.m.d.も5年の歳月を経て退店。スタッフたちは本当に優秀な子ばかりでとーっても頑張ってくれておりましたので働く場所を無くしたことを本当に申し訳なく感じております。

計画性なさすぎ。。。

2018年から2023年の5年間は豊田2店舗以外にも名古屋パルコさんや大名古屋ビルジングにあった伊勢丹さんにも出店しましたが全て終了。コロナの影響で後ろ向きな経営をしていてはダメだ!という危機感を、間違ったベクトルで大放出した結果であることは疑う余地もありません。

あの頃(2019年以前)の体制に戻してみよう!

そして2023年4月より栄本店、オンラインショップ、卸売の3本柱に注力することとなりました。それから約半年が経過した今、状況は大幅に改善してホッとしています。まだまだやるべきことは山積しておりますが、余裕のできた今のタイミングでブランド作りについてもう一度真剣に考えていく時間をマレーバクくんが与えてくれたに違いありません。

あ、m.m.d.のブランドロゴにいるマレーバクくんは2020年7月に登場しました。悪夢を食べてくれる縁起の良いバクくん。体が白と黒で塗り分けられているところがm.m.d.のうつわのデザインに似ているというシンプルな理由で入社いただきました。

「ほんの少しの非日常」

これは株式会社make my dayの企業コンセプトです。日常の中でほんの少しだけ感じられる非日常感をお届けできる企業として皆様の記憶の片隅に留めていただけると喜びます。

「つながりを大切に」

これはm.m.d.のブランドコンセプトです。六角形を基本モチーフとしたのは、蜂の巣のように隙間なく「つながる」から。m.m.d.を通じて生まれるつながりをどこかで見つけたとき、かなり喜びます。

これからの10年

上の2つの約束事がこの先変わることはありません。キープコンセプトで生まれる新しいプロダクトは、食器以外のジャンルにもきっと広がっていくことでしょう。20周年を迎えた時この記事を読み返して、

「10年前、いい事書いとるやん」

となりますように。。最後になりますが、この10年間でお世話になったお客様、お取引先様、そしてスタッフのみなさんへ心より感謝の気持ちをお伝えいたします。

「m.m.d.とつながっていただきありがとうございます!!」






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