新年度「仕事ができない」と悩むあなたへ 〜"デキるやつ・デキないやつ"という不毛な判断軸は無視しよう〜
新年度ひと月が経ちましたね。転職や移動で新しい環境に四苦八苦、という方もいらっしゃるかもしれません。5月病のシーズンというのもあって、新しい環境にアジャストするプロセスへの疲れも出てきますよね。
今までは余裕でできていたはずなのに、新しい環境では所々上手く回らなくなり自信をなくしてしまう・・・そういう状況もあるかもしれません。
一方、一つお伝えしたいのは、実際のところ「仕事ができる・できない」というのは非常に不毛な考え方でもあるということです。
大人の能力には「人の器」と「スキル」がある
まず前提として、人の能力のその発達については大きく分けて2つの捉え方があります。成人発達理論によると、これらを垂直的成長と水平的成長と呼びます。
垂直的成長は「人の器」のような、心の成長などを含む概念です。誤解を恐れずに本当に単純化していえば、人格の成長みたいなものですね。(実際はもっと研究が進んでおり細分化されていますが、もう少しだけブレイクダウンした内容は下記記事をご参照ください。)
一方の水平的成長は実生活で役立つ知識やスキルの拡張、というイメージです。前者の「人の器」がOSだとすれば、こちらはアプリケーションを拡充してできることを増やしていくとも例えられます。
ここから分かるのは、人格者だから即ち仕事ができるわけではないし、優秀な現場マンだから即ち人間として優れているわけでもない―言ってしまうと当たり前ですが、つまりはそういうことですね。
スキル面でのポイントは、「必要な能力」は課題が決定するということ
さて役所なんかで人事異動がザワつく年度切り替わり前後に特にあるあると思われるのが、「あいつは仕事がデキるやつ・デキないやつ」というウワサ話だったりします。まぁどこでもある気もしますが、正直・・・できれば「仕事がデキるやつ」って言われたいですよねw
ただ、この「デキる・デキない」というのは結構ミスリードだったりします。なぜなら、さきほどの例でいうと水平的成長にあたる実務的なスキルなどについては、課題という外部要因が「どんなスキルを必要とするか」を決めるからです。つまり、デキる人が課題を上手くこなせるのではなく、課題の要求するスキルを持つ人がデキる人なんですね。
そのため、周囲のなんとなくふわっとした「デキる・デキない」という評価は、課題が要求するスキルを的確に捉えられていない限りあんまり意味がないのです。そしてみんなだいたい、そこまで解像度高く捉えていません。だから意味がありません。
実際に私も「仕事がデキる」というウワサで鳴り物入りで他部署から異動してきた方が、全く通用せずにすぐにつぶれてしまった、という例を過去に見たことがあります。今思うと課題が要求するスキルについてのすり合わせが不十分で、また本人も上手くアジャストできなかった・・・ということだと考えられます。
こういった理由から、世の中の「デキるやつ・デキないやつ」論争は居酒屋の与太話くらいの意味合いしかありません。よってシラフの時間帯には不毛でしかないので、気にするのはやめましょう!
そして、ここで裏を返したときに本当に大事なのは、目の前の課題が要求する知識やスキルが何かを特定することだと言えます。そのうえで自ら学ぶ、人に頼む、適切な部下にアサインする、委託したり新たな人材を迎える、といった判断をそれぞれの権限ごとにしていきたいですね。
人を単純化して判断しようという試みは不毛
自分も含めてですが、とにかく人というのは怠惰なもので、油断するとすぐに単純化して他人を判断しようとします。
そこで使われるのが、「○○はデキるやつ/デキないやつ」といった二元論です。他にも「いいやつ/わるいやつ」「やるやつ/やらないやつ」などなど。こういったものは格言風ですが実際は特に根拠のない省エネ状態の判断にすぎません。
正確性を無視しても意思決定の効率性を上げる必要性があるなら採用してもよいですが、そうでないならあんまり気にしても不毛です。人間はもっと複雑であり、しかも物理的にも精神的にも変化し続けています。
周囲のどうでもいい雑音はさておき、まずは自分の可能性を自分で信じてあげましょう。そこが全てのスタートです。あなたの旅路に幸運があらんことを!
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