なぜ自治体はエンゲージメントに力を入れる必要があるのか?離職と採用の現状を数字で見る
私自身年末で退職ということで残り僅かの公務員人生を送っていますが、衝撃的だったのは、近くの席の若手職員が土壇場で私より先に転職をキメて出勤しなくなっていたということです。。
ゴールテープの間際で抜かされたような感覚(笑)とともに、離職の波が今まで以上に身近になったことを同時に感じたりもしました。
そんな自治体を巡る離職の現状ですが、数字を追いながら少し考えてみたいと思います。
離職者数が急増中、直近の肌感は数字以上
総務省の公表している「地方公務員の退職状況等調査」を見ると、自治体職員の退職者数の推移を確認することができます。それを表にまとめたのが下記の画像です。
見てのとおり、平成25年度→令和3年度で地方公務員の退職者数は「5,727人」から「10,500人」へと約1.8倍に増加しています。増加幅は20代~30代の職員の若手・中堅が大きく、約2.2~2.6倍に増加しています。
しかもこれって、令和3年度までの数字なんですよね。個人的な感覚としては令和4年度末(今年3月末)は今まで以上に多くの職員が退職したと感じますし、別の道を選んでいった知り合いもとても多かったです。そういう意味で、直近の肌感よりはまだ余裕のある数字と言うことができるかもしれません。
この統計のベースとなる一般行政職の職員数は90万人以上いるので現状では退職者数は絶対値として多くはないですが、この増加傾向を放置していたら組織運営自体に支障がでかねない状況とも言えます。
採用倍率はさみしい数字、労働人口の減少も確実
こちらは川崎市の行政事務職(民間企業で言う総合職のようなもの)の採用倍率の推移です。数字はHPの公開データを拾ってきています。
データのある範囲だと平成25年度の12.4倍が最高倍率で、令和3年度の3.3倍が最低倍率とさみしい数字になってきています。
直近も4.1倍ですが、公務員試験受験者ならば4か所くらいは試験を受けますから、そういう意味で現状は「公務員になりたい人は誰でもなれる」という状態に限りなく近いと言えるかと思われます。
さらに下記のとおり生産年齢人口も2020年→2030年で約9%の減少が見込まれていますので、「何もせずにいたら逆転ホームラン」というのはまず望めない状況であるとも言うことができます。
離職を伝えると「うらやましい」とこぼす中堅職員
極めつけは肌感の部分になりますが、周囲の同世代の職員に退職することを伝えると、反応がだいたい「うらやましい」という声だったりします。本当に羨ましそうな声で言われます・・・
20代、30代の若手は思ったよりもエンゲージメントがずっと低いというのが実感です。というかよくここまで低くなるものだなと・・・汗
辞められる環境を手にした人から辞めていき、残った人も苦しい思いで仕事を続けているとしたら、なかなかいい仕事にはなりにくいかと思います。そういった意味でも、自治体職員のエンゲージメントを見直すというのは急務になってきそうです。
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