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今こそ海外から学ぶべき時〜台湾から見えた日本の苦境〜

先日台湾に行ってきたのですが、久々の海外はなかなかにエキサイティングな経験となりました。日本は本当に衰退期に入ったな、と実感したわけです。

そんなリアルを見ると、テコでも変わろうとしないようにすら見える日本社会にどことなく悲しみと怒りが湧いてきます。ただ、その背景には必ず願いがあって、ああやっぱり自分のアイデンティティとして「日本」というのは切り離せないものなんだなぁ、なんてことも一緒に感じたりもしますね。

そんなわけで、現地で気づいたことを何点か書いておきます。

台湾の体感物価は日本と同等か上回る水準

もはや台湾は「安い国」ではありません。むしろ現地の若い子たちが、日本を「安い国」と(いじわるではなく本心で行きやすくなったと)喜んでいるような状況です。

有名な胡椒餅店

ローカルフードの胡椒餅が60元(台湾ドル)、コロナ前は日本円でだいたい210円くらい(1元=3.5円換算)。それが今では270円くらい(1元=4.5円換算)です。

これはもちろん円安の影響もありますが、それだけではなく、台湾の好調な経済成長も一つの要因です。(そして日本経済の停滞も。)それを牽引するのが台湾の半導体産業なのですが、これも決して湧いて降ってきた話ではありません。

チャレンジを歓迎する気風

現地ではノーベル賞選考委員もされている大学教授とお話したのですが、台湾では研究の実用化がやりやすい、と非常にイキイキと研究と起業をされていました。日本では組織の壁で出来なかったことが、こちらではすぐに出来ていると。

台湾も日本と同じく昔は基礎研究ばかりに力を入れていたようですが、それをやめて、海外から研究者を呼び寄せ、研究成果を持って起業するよう推奨しはじめました。代表的なものとしてその流れで1980年代に生まれたのが半導体産業大手のTSMC社(熊本にも工場を建てるという例の会社ですね!)であり、そのおひざ元の新竹市には多くのベンチャー起業が立地しています。結局、数十年かけて育てた国策が花開いているわけですね。

TSMC社が大学に寄付したという建物

さらに台湾では政府も企業も失敗を恐れずチャレンジをしていく気風があるようです。例えばコロナ初期の台湾政府の打ち手は見事でしたし、変異株で状況が変わり国境を開く際もスパっと行きました。台湾への入国は非常に容易です。

後述しますが半端な意味のあるかないのか分からない検疫体制を全力で敷く日本とは異なります・・・。

「組織の肩書」より「自分の価値」を大切にするキャリア意識

台湾の弱点の一つは人材難、好調に拡大するTSMC社が人材を青田買いし人件費高騰と人材不足に悩まされているようです。しかしながら、それでもベンチャー企業に優秀な人材が集まっているのが台湾。

日本人は「組織の肩書」をキャリアとしている人が多いですが、台湾人は「自分自身」を商品としていかに付加価値を上げるかを重視しており、大企業に飽き足らなくなった優秀な若者がベンチャー企業にも流れてくる・・・と、前述の大学教授も仰っていました。

羽田空港検疫体制に見える悪しき日本の社会システムの縮図

そんなわけで前向きな刺激を受けてやや興奮気味に帰国するわけですが、羽田空港でショッキングな光景を目にすることになります。

まず「ワクチン3回接種orPCR検査陰性証明」がないと入国できないというルール自体が国際的なレベル感としてどうなんだというのはありますが、それをチェックするために飛行機の降り口ひとつひとつに大量のスタッフが配置されてます。(念のため言いますが現場スタッフの方を責めてるわけでは一切ありません)

通路が人で塞がれていて何かと思ったら、大量のスタッフが人海戦術で人を捌きます。「え、ファストチェック何?」という話で、単なる事前ウェブ記入にしかなっていないという残念な状況です。

ここに苦境を人海戦術と人と人との思いやり(忖度)で根性論的真面目さで乗り切ろうとする「竹槍ジャパン」の真髄が見えた気がして、いたたまれない気持ちになってしまいました。しかもよくよく考えると、マイナンバーカード関係事務も、コロナ給付金支給業務も、ほぼ同じ竹槍ジャパンの構造だなぁと。このままじゃ本当にダメですね。

そして、やはり海外を知るのはとても重要ですね。やっと国境も開いてきてますので、みなさんぜひ積極的に出国されることをおすすめします!そして現地では車を使わずに歩きを中心にしたり、五感でまちを感じましょうw

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