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岡崎宿BAKENEKO白之介

あらすじ


終戦のひと月前、愛知県の岡崎市はB二九の空襲を受け、中心市街地が灰燼に帰しました。
その夜、勤労動員で紡績工場で働いていた本多民子は工場で友人二人が焼夷弾の直撃で死亡するのを見てしまいます。
震え上がっている彼女を助けにきたのは家で飼っていた白猫でした。
白猫は民子を家に送り届けてくれると言いました。白之介に手を引かれて、民子は明大寺から菅生川沿いに明神橋付近まで下り伊賀川を伝わって甲山寺に着きます。
その間に見たのは空襲による地獄のような岡崎の姿。甲山寺の山で、逃げてきた避難者と共に岡崎が燃え上がるのをみました。
そこで出くわした近所のたばこ屋のおしのは、民子の家も燃え、両親は亡くなったと彼女に告げました。
翌朝、脱力しながらも、家に戻った民子は我が家が燃え残り、父母と涙の再会をしたのですが・・・
さあ、この先どうなるでしょうか?

登場人物

白之介
本多民子
本多孫一(お父ちゃん)
本多勝子(お母ちゃん)
本多京一(お兄ちゃん)
鈴木洋子
久田美佐江
佐々木主任
菅野市長
発掘監督
発掘作業員

市役所職員数人
避難民十人以上


◎幕前

⚫️舞台スクリーンに東海道五十三次の絵図。そして岡崎宿の二十七曲の街道筋の絵図が映されながらナレーション。

ナレーション「東海道五十三次、江戸から数えて三十七番目。岡崎の宿は徳川家康公ご生誕の地として矢作川の水運、東海道の陸運の要として「五万石でも岡崎様はお城下まで船が着く」と、お座敷歌に歌われ、総門をくぐって三河木綿問屋や醸造蔵が軒をつらね、岡崎城下を二十七回も曲がりくねりながらお味噌で有名な八丁から街道一の大橋・矢作橋を渡り矢作、そして熱田へとつながってゆく街道を代表する宿場町。
その繁華を極めた宿場には少しかわった『名物』が。それは化け猫。岡崎宿には、いにしえよりはげに恐ろしき化け猫にまつわる伝説が残されています。
これもひとつの化け猫物語。さてはじまりはじまり。
(かんかんかん、と拍子木)

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