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UIデザインの草創期からプロトタイピングを行うソフトディバイス代表に教わる「プロトタイピング」

この記事は、"武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース"というやたら長い名前の大学院での "クリエイティブリーダーシップ特論I" というこれまた長い名前の授業での学びを紹介する記事のシリーズ第五弾です。

この授業では、クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されている方々をゲスト講師として、60分講義・30分ディスカッションというセットで学びを得ています。

第五回 (2021年5月10日)は、八田 晃さんからお話を伺いました。

自己紹介

記事の本題に入る前に、簡単に自己紹介をさせてください。

私は、社会人として働きながら武蔵野美術大学の大学院に今月2021年4月に入学しました。仕事ではUXデザイナーとして働いており、大学院ではUXデザイナーの仕事に活かせる生きた知識を、体験も通して身に付けたいと思っています。

ゲスト講師のご紹介

ソフトディバイス/八田 晃

デザインコンサルティングファーム「株式会社ソフトディバイス」の代表。株式会社ソフトディバイスは、モノや情報と人の対話 = インタラクションの中で生まれる価値づくりを目指すヒューマン・インタフェース・デザインを核として、未来の製品やサービスのあり方を考え創造するデザインコンサルティングファームとして活動されている。
コーポレートサイトを参考に記載)

ゲスト講師の活動内容

事例の中から1つ、Toyota Fine Comfort Rideを取り上げてご紹介します

Toyota Fine Comfort Rideとは、東京モーターショー2017にてトヨタが展示した燃料電池自動車(FCV)のコンセプトモデルです。
水素と再生可能エネルギーの活用が進んだ低炭素社会におけるモビリティを想定した燃料電池自動車で、電動車ならではの自由なレイアウトと水素をエネルギー源とする大電力量を活かし、「プレミアムサルーンの新しいかたち」として提案するものでした。

ソフトディバイスは、自由なシートレイアウトを可能にすることで「個」の空間と「コミュニケーション」空間ができることに焦点をあててデザインされたそうです。

詳しくはこちら

授業から学んだこと

■「プロトタイプのためのプロトタイプ」と考え、とにかく早い段階でつくってみること
ソフトディバイスのデザインプロセスでの最大の特徴は「Sketch」だそうです。下図がコープレートサイトから引用したプロセスの図ですが、検討のかなり早い段階、ユーザーリサーチの途中段階でインサイトを絞り込み、Behavier Designを発散させる段階において、スケッチを描くようにラフなプロトタイピングをおこないブラッシュアップを重ね、常にユーザーが得る体験に近いかたちでプロセスを進めるそうです。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースに入学し、約2ヶ月ですがこの間に私が学んだ一番のことは「プロトタイプをとにかくつくる」ことでした。
空中線になりそうなら、具体に降りてプロトタイプをつくる。たとえば、ワークショップというアイディアが出て、その方向でよいのかわからないのであれば、ワークショップの詳細内容(タイムスケジュールや運用方法、ステークホルダーへのコミュニケーション方法など)まで踏み込んで具体化してみることで、チームメンバーの認識のズレもわかりますし、現実的にそのアイディアがどうなのかも理解することができました。

ソフトディバイスの場合、クライアントのノンデザイナーの方々も含めて、プロジェクトを進めなければなりません。そんなとき、デザイナーにしか使わない言葉の応酬をせず、プロトタイプにしてみせて認識のズレを理解したり、新たなアイディアへのつながりを生むためにプロトタイプが有効であることを、この約2ヶ月の学びを踏まえ、深く納得しました。

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コーポレートサイトより

■新たな試みを行い、型化すること
講演の中で4つのプロトタイピングの方法を紹介してくださいました。
このようにプロトタイプについても現状に満足せず、新たなプロトタイプをつくり、それを型化することでまた具体へ議論が落ちブラッシュアップされていくのだと学びました。

・Hardware sketch:必要最低限の機能だけをもったもの(MVP)を試作する。見た目にはこだわらない
・Acting Out:演技を通して、行動やコンテキストを疑似体験する。
・Photo Modeling:視覚化するために撮影した写真に実現イメージを描きこむ。
・Projection Modeling:視覚化するため空間にシーンやアイデアを投影する。


今後の活動につなげたいこと

「プロトタイプをとにかくつくってみる」ことは常に頭においておきたいと思いました。
また、今回のことから、プロトタイプを早い段階でつくってみるというのは、具体化・視覚化による議論の空中戦を防止なのだと理解しました。
日々の会議の中でもプロトタイプまでいかなくとも、図示・言葉による具体化や、ビジュアライゼーションを行なっていきたいです。

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