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最近読んだ本 2024/01/12

こんにちは。ぽこです。

最近読んだ本を書き連ねていきます!
漫画も小説もその他も色々あります。
読んだ順番もバラバラです。
基本的には出版社とかのリンクを貼ってますが、Amazonのリンクもたまに貼ってます。
アフィリンクじゃないので安心してください。





『ハンチバック』/市川沙央(文藝春秋BOOKS)


第169回芥川賞受賞。
選考会沸騰の大問題作!

「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」

井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。

Amazonの紹介のとこ

障碍のある作者が書いた障碍のある女性が主人公の小説。
障碍者を気味が悪いと思うようなやつらはこの世にごまんといるだろうけど、この本はどちらかといえば健常者が痛い目に遭うので気味が良かった
靭帯をズタズタにして以来高いヒールが履けなかったり走れなかったり精神科にかかって鬱やADHDの薬を飲まされていたりするだけの程度の私でもスカッとした。
というと書き方が悪いのだけど素直に元気が出た。
健常者は「はっとさせられた」とか書くんだと思う。
私からは別にその感想は出てこなかった。

あとこれはエッセイとかではなくて小説という表層であることに意味があると思った。

紹介のとこに「大問題作!」って書いてあるの、「そうか?」と思う。
「ぽこさんって変わってるね」って言われるくらい「そうか?」と思う。

あらすじ紹介。

井沢釈華(しゃか)の背骨は右肺を押しつぶす形で極度に湾曲し、歩道に靴底を引きずって歩くことをしなくなって、もうすぐ30年になる。

両親が終の棲家として遺したグループホームの、十畳ほどの部屋から釈華は、某有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とつぶやく。

ところがある日、グループホームのヘルパー・田中に、Twitterのアカウントを知られていることが発覚し——。

文藝春秋のとこにあったあらすじ

身近な人間にTwitterアカウントがバレる話が芥川賞獲ってるのアツい。
でもTwitterアカウントがバレるってそれほどのことだもんな。

あとそれからすごく大事なことなんだけど(そうでもない)
主人公が18禁TL小説を書いているために「抽送」という単語が今これを読んでるぽまいらの考えてるあの「抽送」の形で出てくる。意図的に。
pixivでエロ小説を読んでるぽまいらにおかれましては思わずニヤッとすると思います。

『メタモルフォーゼの縁側』/鶴谷香央理(KADOKAWA)

ふと立ち寄った書店で老婦人が手にしたのは1冊のBLコミックス。75歳にしてBLを知った老婦人と書店員の女子高生が織りなすのは穏やかで優しい、しかし心がさざめく日々でした。

Amazonの紹介のとこ

風邪引いてた日にピッコマで全話無料だったので読んで記念にKindleで全巻買った。(ピッコマで買ってやれよ)

何故この作者は「BLが好きでちょっと暗いけど本人にもそれなりに自我があって頑張ってる女子高生」をこんなに瑞々しくのびやかに描けるんだ。
私もこんな感じだった気がする…?と勘違いしそうになる。
高校時代とか覚えてないからわかんないんだけどさ。

メタモルフォーゼの縁側っていうタイトルが伏線回収タイトルでめちゃくちゃ良いです。
まさしく縁側とかに置いてこの本とひなたぼっこがしたい。

全然関係ないのですが私が女子高生時代に仲の良かった女子高生のおばあちゃんはめちゃくちゃ優等生でしたね。
「学び直し」の奴らは面構えが違う。

『戦場まんがシリーズ①スタンレーの魔女』
『戦場まんがシリーズ⑤衝撃降下90度』
/松本零士(小学館)

一時期銀河鉄道999のアニメを見ていた。漫画も昔ちょっと読んでた。
私がメーテルだったら「鉄郎…やめなさい…駆け込み乗車は…」と言いたくなるくらい鉄郎は毎回駆け込み乗車で999に乗っていた気がする。駅員が見たらストレスで死ぬんじゃないか。あとビフテキ。

なんやかんやあり劇場版の「さよなら銀河鉄道999 —アンドロメダ終着駅—」を見た。
銀河鉄道999の劇場版もいくつかあるらしいのだけど、鉄郎がイケメン作画になってるアレです。(オールドタイプのオタクの中では一般教養だと思う)

「あ〜〜〜描きたいのってこれなんだな〜〜〜」というものがいくつか伝わったのだけど、その一つが戦争というテーマだった。

というわけで松本零士の戦場まんがシリーズを読んだ。
なんでこの2作かというと「衝撃コピー誌90部」という好きな同人ネタパロディ漫画の元作品だったから。

衝撃コピー誌90部は同人活動してる奴みんなに読んでほしいギャグ漫画
番外編?単話?みたいなもんだしハチャメチャで元ネタとかどうでもいいからお気軽に読んでほしい。

話が逸れました。

戦場まんがシリーズ、哀しいという単語ではまとめられないほどとにかく「哀」ばかりがある。
「戦争」ではなく「戦場」まんがなのも哀しい…なんつーかな…。
ごめん仮想敵だけどここで「男にしかわからない哀しみ…」みたいなこと抜かすやつはマジでアホです。
百歩譲って私が聞くのは戦場に駆り出されたことのある男の言うことだけだわよ。
人が哀しい思いをするのはつらいなあと思いました。

松本零士先生が(たぶん)戦闘機や銃を綿密に描いている(と思う)のにミリタリに興味ない私にはすべて同じに見えるのでほんまにそこはごめん。マジで全部戦闘機と銃。ごめん。
でも日本軍の戦闘機のオノマトペはカタカナで描かれてるのに、アメリカ軍の戦闘機のオノマトペは英語で描かれてるのすごい良かった。



『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』/栗原康(岩波書店)

女性を縛る結婚制度や社会道徳と対決し、貧乏に徹しわがままに生きたアナキスト、伊藤野枝。パートナーの大杉栄とともに国家に惨殺されるまでの二八年の生涯を、体当たりで描き話題を呼んだ、爆裂評伝。「あなたは一国の為政者でも私よりは弱い」。一〇〇年前を疾走した野枝が現代の閉塞を打ち破る! 解説=ブレイディみかこ

岩波のサイトにあるやつ

あゝ、習俗打破!習俗打破!

めちゃくちゃ物騒なタイトルなんだけど、このタイトルが良い。
暮らしにアナキズムとフェミニズムの粉をまぶそうと思って買いました。
電子書籍が無かったから読むのに時間がかかった………。
鞄の中でぐちゃぐちゃになって…数カ月の果てに…読み終えた…。読みやすかったから読んでた時間自体は全然少なかったけど…。

伊藤野枝というのは青鞜(歴史でやったね、平塚らいてうの作った雑誌だよ)とかでものを書いていたりした人でアナキスト(無政府主義者)で最終的に憲兵に殺された女性。その伊藤野枝の生涯を書いた本です。
これはたぶん人を選ぶ本です。私はかなり好き。
私は社会に向いてないうえに成功もしていない社会のボトムズなのでとても面白かったです。
社会で成功している人はこの本を楽しく読めない気がするなあ…。成功したことないから知らないけど…。

この栗原康という本人もアナキズムを研究している人の文体が絶妙に軽快で愉快で読ませます。

「わきまえない女」とかいう言葉があったりしますけどもね、伊藤野枝はモノホンを見せつけてくれます。
そらもうこのタイトルにもなりますよ。

美味いものをたらふく食って、グースカ寝て、したいときはセックスをして、人間として充足したい。
満ち満ちた活力でもってのびのびと生きていたい。
人間の人間らしい生き方を見失っているときに読みたい本です。

『環と周』/よしながふみ(集英社ココハナ)

「たまきとあまね」と読む。

環は仕事の帰り道、空き地で娘の朱里が同学年の女の子・則本さんとキスをしているところを目撃してしまう。帰宅して夫に相談するが、夫は思うところがあるようで…。実は、夫も朱里と同じ中学3年生の時に同級生の男の子を好きになった事があった──。

わたしたちの間に存在する、様々な“好きのかたち”を描く珠玉のオムニバス連載。

ココハナのサイトのあらすじ

あーあーあーあー!!!!!!!!!!
本当に!!!よしながふみ先生は!!!漫画が!!!上手い!!!!!!!!!!!!!!

もう嫉妬もしないくらい上手い。
「愛」が描かれています。

私はよしながふみ先生では『愛すべき娘たち』が大好きなのですが、「愛」をよくもまあこんなに描けるな〜と思います。

なんかマジで非の打ち所が無くて勘弁してくれと思う。
漫画が上手すぎる。勘弁してくれ。

一つ言うならば、結婚とか離婚とか子育てとか介護とか、なんでもいいけど、そういうの何もやったことない人よりも、ある人のほうに刺さるかな〜と思った。
読者層の話ね。
人生は生きていると「折り合いをつける」とかそういうことに慣れてしまうものだけど、その「折り合い」の中にもたしかに愛はあって、そこをぎゅっと抱きしめてくれるような作品だった。


『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』/小野寺拓也,田野大輔(岩波書店)

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b628046.html

「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。

岩波書店のページ

「いやナチスが良いことしたわけないだろ」と思っている人間が読んだので意外性はそんなに無かった。
いやナチスが良いことしたわけないだろ。

でも「ヒトラーは民主政治で選ばれた」「ドイツの民衆はそれなりにナチスを支持していた」とかは私も思っていたので、そのへんはめちゃくちゃに乗じてめちゃくちゃをやらかしていたこととか知れてかなりよかった。
読むとわかるんだけど本当にめちゃくちゃなんだよな。ほんまにクソです。カスです。
一見「これはアリなのでは?」みたいなやつも内実がクソです。カスです。
「良いこともした説」を一つ一つかなり丁寧にぶち壊してくれるので、読んでてすごいな〜優しいな〜と思った。
「悪玉プロレスラーが実はいい人だった説」とかは信じててもまあ害悪にはならんけど、ナチスが良いこともしてたみたいなのは信じてたら普通にアカンということを教えてくれます。
あとなんでそんなアホバカ言説を信じたくなっちゃうのかみたいなあたりも書いてある。

風の噂で「ナチスは良いこともしたらしい」とか思ってたり、
あと「いやそう簡単に物事を決めつけるべきではない」とか「学べるところはあるだろう」みたいなことを言いつつインターネットで日々他人を冷笑して自分に客観性があると思っている人に読んでほしい本。

無いらしいです。


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