逃れの町、あるいは2023年まとめ

2023年をまとめた記事でも書こうと思って書いていたら露骨に具合が悪くなりました。
そもそもつらい時期の記憶がなくなるタイプなのであんまり今年も記憶がないです。

したがって3行でまとめます。
・母親が亡くなった
・それでも同人誌を出したりしていた
・心身にキツめのツケがきたが回復しつつある

こんな感じの1年でした。
もったいないから詳しくは教えてあげない。

そういうわけで、母親を亡くしても同人誌を出したりしていました。
忌引(?)は忙しかったけど、現実逃避で原稿が進みました。

私にとって創作活動は「逃れの町」だと思っています。
「逃れの町」というのは、旧約聖書に記載がある、過失で殺人を犯してしまった人が復讐から逃れて安全に住むことを保証された町のことです。
詳しくはググってくれ。そんなに情報無いけど。

この町にいるときだけは、私は安全なのだと思えます。
漫画や小説をかいているときだけは安全でいられます。
東京ビッグサイトに置かれた会議机を半分にわけた90cm×45cmが、私の逃れの町の領土だと心の底から思っています。
私が普段何におびやかされていようとも、あの場では私は罪に問われないのです。

逃れの町が本当に古代のイスラエルにあったのかは知らないです。
でも、もしそんな町があったら救われた人はいただろうな、と思います。
優しい気持ちになります。
そして、私のこの世における逃れの町は創作活動だと思っています。
逃げ場があることそのものも幸せだけど、逃げ場があると思えることが幸せだと思います。

今のところ、出版の自由とか表現の自由とかがある国に住んでいて、とりあえず局部を修正して18歳以上に頒布を限定する程度で好き勝手やれています。
ありがたいことです。

もちろん、逃れの町での避難生活もつらいこともあります。
もうはっきり言うけど原稿がつらい。
でも、架空のキャラクターのことで四苦八苦するのは、自分の人生のことで四苦八苦するよりは楽しいです。
今の私には、自分を大事にするよりも、架空のキャラクターを大事にしている方が楽です。
最近は少しずつ自分も大事にしようとしているけど、難しい。

架空のことに思いを馳せているとき、私はこの世にいません。
ぷかぷかと違う国に浮かんでいるような気になります。
ここが逃れの町なんだと思います。
領土はたまのイベントの日にしか無いけれど、どこにいても、心ではいつでもあの町に行けると思うと、嬉しいです。
ちょっと離人感に近いのかもしれないな、と自分で書いていて思います。

とにかくそうやって空想して逃れて生きてきたので、地に足をつけて自分の人生を生きるのが難しいと感じます。
ストーリーものをかいているときはキャラクターの人生をちょっとだけ生きられるけど、私の人生を代わりに生きてくれる人はいません。

でも、自分の身体と心が元気でないと創作活動も思うようにいかないとこの一年でまた思い知りました。
少なくとも内心つらいと思いながらやっていると記憶を失うことがわかりました。

そういうわけで、5月の平徳本「杯(さかずき)、ほして。のみほして。」は、描いた記憶があんまりありません。
5月のイベントはアメリカの平徳フォロワーから原稿を貰ってPayPalでお金も貰って代わりに入稿して委託頒布とかもしてたんですが、そっちも若干記憶がふんわりしています。
自殺企図などをしていた2018年に出した「立海 関東制覇」(真田がループする全年齢幸真本)もあんまり描いた記憶がありません。

私は別にいいんだけど、本が可哀想に思えてくるのですね。
作者がよく覚えてないのに本ができてるの、本が可哀想ですよ。
覚えてないから制作秘話みたいなものも話せなくなるし。
あとね、つらい記憶をいちいち失くしてるとちゃんと普通に人生が空白まみれになります。
私の人生は虫食いの葉っぱのようです。

そういうわけで、来年はもうちょっと自分で自分を大切にして生きたいと思います。

追記①
私の代わりに本を読んで何かを思ってくれると本が浮かばれるかもしれません。

BOOTH

FOLIO


追記②
全部何もかも色々と、noteの有料記事で詳しく話そうかな〜とか思って2000字くらい書いたけど、やめました。
100円でも買う人いないだろうしな〜と思って100円で売るつもりで書いたんだけど、なんか途中から記憶と個人情報を売るような気持ちになってしまってやめました。
ただでさえ虫食いの記憶なので、私の中で大切にさせてもらうことにします。
ここまで読んでくれた人ありがとう。


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