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【プロ野球選手の嫁】(第1章「寝耳にミステリアス」)

(漫画原作案である「プロ野球選手の嫁」という物語のシナリオ(つづきの第1章)を ざっくり作りましたので、続きもこれから随時アップしていきます

もし お時間ございましたら、少しだけでも読んで頂けると嬉しいです…!

※これは小説ではなく「シナリオ」です)

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【第1章】「寝耳にミステリアス」

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猿渡「もしもし、夜分遅くに申し訳ございません。先日 お葬式の際に少し お話しした猿渡です。

改めて この度は ご冥福をお祈り致します…」


電話の相手は
旦那が所属していた
プロ野球チームの監督を務める
"猿渡 繁信"(さるわたり しげのぶ)であった。



飴宮「あ、監督さん…この前は どうも…」


猿渡「新人ながらチームに
大きく貢献してくれた
猫宮君を讃えて

実は この度
追悼試合とセレモニー
執り行うことに なりまして…

来週10/1のリーグ最終戦になります。
もし可能でしたら
観戦しに来て頂く事は可能でょうか…?

もちろん奥様の心と身体の健康もあります
ご無理なくで大丈夫なのですが…」


このままシーズンを無事に終えていれば
新人王のタイトルは間違いないような
活躍をしていた私の旦那を

チームは高く評価してくれていたという事実を
私は電話越しに改めて誇りに思った。


飴宮「とても ありがたい お話なのですが
まだショックから立ち直れていなくて…

行くかどうかはもう少しだけ
考えさせてください…」


私はそう返事をして
一度 電話を切った後
ふと周りを見回すと

溜まった洗濯物に放置された洗面台の食器や
髪の毛やホコリまみれのカーペットが目に入る


そういえば私、あの日(葬式)から
一歩も家を出てないんだ…

無気力で何をやる気も起きなくなって…

さすがに いつまでも
私が こんな様子じゃ

優さんも きっと
天国で悲しんじゃうよね…


そうして私は今の自分に区切りをつけ
次のステップへ進む為にも

旦那でありプロ野球選手だった
"猫宮 優"の追悼試合を観戦しに

東京アルバトロス
一軍試合球場

"東京アルバトロスタジアム"
行く事を決意したのだった。



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《  2022年10月1日 17:55  》
@東京アルバトロスタジアム


今日はリーグ最終戦
ということもあり
球場は超満員

そんな中で
バックネット裏の
特等席を用意してもらった私は

地味に初めて訪れた球場の迫力に圧倒されながら
小さくヒョッコリと座っていた。

そういえば私、優くん にいつも
「恥ずかしいから
球場には来ないで欲しい。」
って言われてて

応援はいつもテレビ越しだったなぁ…

球場って実際は こんなに広くて
人も こんなに たくさん入るのね…


そして時刻は18:00を回り
試合がスタート

肩に喪章を付けた選手達が
一気にグラウンドへと駆け出していく

鳴り響く歓声に
揺れるスタンド

そして透き通るような美声の鶯嬢により
スターティングラインナップが発表された。

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中 1   猪瀬 明「12」
二 2  赤田 洋介「8」
一 3  牛腸 賢太「2」
捕 4  鳥山 太一「10」
DH  5   タイガー•ジャッジ「3」
左 6   犬塚 恋「11」
右 7   近田 卯衣「4」
三    8   辰巳 魁星「56」
遊 9  根津 幹夫 「1」

先発投手    上神 寿人「0」

監督    猿渡 繁信「9」

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実況「おおっと、ここでランナー走った!
しかしキャッチャーは投げる事もできない!
なんという速さでしょう!」

早過ぎて見えない!?
気付かぬうちに次の塁を奪う
"怪盗塁王"

音速のスピードスター
「猪瀬 明」(いのせあきら)


実況「さて、バッター赤田
ツーストライクと追い込まれてからの3球目…

大きな空振り!三振!


…お、おっと!ここでキャッチャーが
ボールを後逸!

赤田、振り逃げで一塁へ!
いやぁ相変わらず今日もついてますねぇ…」


運も実力のうち?
振り逃げ、エラーで
トップクラスの出塁率

魅惑のラッキーボーイ
「赤田 洋介」(あかだ ようすけ)


実況「バッターボックスの牛腸
ピッチャーが投げると同時に一歩後退!

そして内角に食い込んでくる速球を芯で捉えた!

いったー!
これは文句なし!
ホームランです!」


相手の配球が見えている?
的確な読みと
卓越したバットコントロールで
どんな球でも打ち返す

読心術のアーチスト
牛腸 賢太(ごちょう けんた)


実況「ランナー走った!
しかし風を切り裂くような
豪速球が飛んでくる!

ランナータッチ!
アウトです!

キャッチャーのキャプテン鳥山
今日も相手チームの盗塁を一切 許しません!」


強肩強打のみならず
ダイヤモンドを俯瞰して
チームをまとめる司令塔

完全無欠の"ホークアイ"
鳥山 太一(とりやま たいち)


実況「さぁ今日も鋭い眼光で
バッターボックスに立ちます
タイガー•ジャッジ

相手投手も怯えた表情…

甘く入ったスライダーをとらえた!
バックスクリーンへ 一直線!」


圧倒的パワーと
猛獣の様な威嚇で
相手をビビらす
球場に迷い込んだ一匹の"虎"

アメリカの強面番長
「タイガー•ジャッジ」


実況「打った!鋭い打球!
これはレフト前に落ち…ません!

犬塚!なぜだ!
なぜ そこにいる!

まるで そこにボールが飛んで来る事を知っていたかのような守備シフトをとっていました犬塚…!

さすがです!ナイスキャッチ!」



鋭い嗅覚で危険を察知
未来を予知する能力者?

予想外のシフトマスター
「犬塚 恋」(いぬつか れん)


実況「ライト方向へ大きな打球!
入るか!?入るか!?

おーっと!ここでライト近田が
フェンスを蹴ってスーパージャンプ!

あわやホームランという打球をキャッチしました!超ファインプレー!」


脅威の脚力で
今日も球場を飛び跳ねる
チームの元気印

重力無視のバネ人間
「近田 卯衣」(ちかだ うい)


実況「ファウルゾーンにフライが上がった!
サード辰巳、全力で追いかける!

飛び込んだ!あぁーっと!フェンスに身体が直撃!

アウトには なりましたが、これは痛そうです…

肩を押さえながらベンチへと戻ります
これは交代でしょうか…


…い、いや!すぐにベンチから
走って出てきました!

先ほどまでの苦悶な表情は
一切見受けられません…!」


怪我をも恐れぬハッスルプレー
強靭な肉体を持ち
どこでも守れる守備職人

怪我知らずの
ユーティリティープレイヤー
「辰巳 魁星」(たつみ かいせい)


実況「さぁバッターボックスの根津
本日はここまでノーヒットです

カウントもツーストライクと
追い込まれていますが…


おぉっと!打った!
なんと看板直撃の特大ホームラン!

小柄な身体からは とても想像できない
素晴らしいパワーを発揮しました!」


追い込まれると
能力を発揮する!?
頭脳派プレーも光ります

頭脳明晰な意外性ファイター
根津 幹夫(ねず みきお)


実況「さぁピッチャー上神
振りかぶって…投げました!

ストライク!本日も出ました!
日本最速170km!

バッター 手も足も出ない…!」


的確なコントロールに
最速170kmの豪速球
チート級の"神"ピッチング

剛腕の神速エース
上神 寿人(じょうがみ よしと)


実況「ここで猿渡監督が
ピッチャーの交代を告げに
マウンドへと向かいます

今日も的確な起用で
チームを優勢に導いていますね」


鋭い洞察力と
的確な状況判断で
チームを指揮

冷静沈着なゲームクリエイター
猿渡 繁信(さるわたり しげのぶ)


実況「さぁクローザー有馬が
今日も試合を締めくくるのでありましょうか!

最後のバッターに対し…投げました!

打った!真芯で捉えられた!

…しかし、バットが
またしても へし折られてしまいました!

当たりはボテボテのピッチャーゴロです!」


力を込めた重い球で
相手のバットと心をへし折る
チームの絶対的クローザー

環境破壊のヘビーユーザー
有馬 真(ありま まこと)

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試合は終始 恐ろしいほどに
東京アルバトロスの優勢ムードで進み
見事 リーグ最終戦を勝利で飾った。


す、すごい…!

生で見る野球って
こんなに迫力があって面白いんだ…!

それに私、正直 今まで野球じゃなくて
旦那だけしか見えていなかったみたい

東京アルバトロスには
カッコいい選手達が
たくさんいて

こんなにも最強のチームだったなんて…!


…それにしても
このチーム強すぎでしょ…!

0-15 !?
圧倒的じゃない…


そして試合終了後
ヒーローインタビュー へと移る…


アナウンサー「今日のヒーローは この2人!

3打席連続ホームランで
チームの勝利に貢献しました…

頼れるキャプテン
鳥山選手

そしてもう1人は
8回を見事 無失点に抑えました…

日本最速のストレートを操る"神"
上神選手です!」


歓声に沸くスタジアム
続いて2人の受け答えが始まった


アナウンサー「まずは鳥山選手にお話を伺います!

今日も打撃絶好調で
ホームラン数リーグトップを独走していますね!

この絶好調を支えている要因は
何かあるのでしょうか?」


鳥山「そうですね…

やっぱり繰り返し
何度も何度も球を
打つ事ですかね

日々鍛錬ですよ
努力は決して裏切らないですから」

鳥山キャプテン…!
今までテレビの中継でしか
見たことなかったけど

プレーも言動も やっぱりカッコいいなぁ…!


アナウンサー「続きまして
上神選手に話を伺います!

170kmの豪速球が今日も炸裂していましたね!

試合中、どんなことを考えながら
マウンドに立っていましたか?」


上神「そうですね、やはりチームの勝利に貢献することですね。

でも、今日は特別な想い
一球一球 投げてました…」

アナウンサー「と、いいますと…?」


すると上神は 少し うつむき
肩に貼ってある喪章を触りながら続けた。


上神「先日、不慮の事故で
この世を去ってしまった

かけがえのない
チームメイトである
猫宮 選手

最高のパフォーマンスを
見せたかったんです。

短い間でしたが
彼は本当に
チームメイトからもファンからも
愛される存在でした。

日本プロ野球界は
本当に惜しい"宝"を失いました。

そんな彼に
今日の勝利を捧げます。

ファンの皆様、今日も熱い声援ありがとうございました!」


上神選手の粋な受け答えに
再び鳴り響く歓声と

球場内に響きわたる
「猫宮」コール。


私の眼からは
涙が止まらなく溢れ出た…

旦那はチームの一員として
みんなから こんなにも愛されていたんだ。

私も旦那も本当に幸せ者だ…


試合終了後に行われた
追悼セレモニーでは

改めて選手一人一人から
お別れのメッセージが述べられ

感動のムードのまま
猫宮 の追悼試合は幕を閉じた…


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《  2022年10月1日 23時10分  》
@飴宮 真凛の自宅


素敵な試合だったなぁ…

私も いい加減
頑張らなきゃダメだ…!


旦那の追悼試合を見届け
自宅へと戻ってきた私は

家事をまるで放棄し続けた
無気力の賜物の室内を

一つずつ片付けていくことにした。


そして掃除機を手に取り
カーペットの掃除に取り掛かろうとした
その時だった。


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??? 「ガタンっ!!」(何かが倒れる音)


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誰もいないはずの
旦那の部屋の方から

突然大きな物音が…


飴宮「なに…!? 何の音!?」


急いで音がした方へ向かうと

普段は鍵が閉められていて
一度も中に入らせてもらった事がない
旦那の部屋の扉が うっすらと開いていた。

旦那は結婚と同棲において
一つだけ私にルールを課していた。

それは…

寝室とリビングは一緒でも
互いの部屋にだけは絶対に入らない
というもので

旦那曰く、2人の関係性の
長続きの秘訣だそうだが

私はそこに関してだけいえば
正直 怪しい気持ちを抱いていた。


飴宮「あれ…?この扉、元々 開いてたっけ?

もしかして…誰かいるの!?」


恐る恐る扉を開け
初めて目の当たりにする旦那の書斎。

半開きになっている窓ガラスに
大きく波を打つように揺れるカーテン
そして机の上に倒れている
金属製の小さなトロフィー。


飴宮「なんだ…風でカーテンに絡まったトロフィーが
倒れちゃった だけね

ビックリした…」


そうして倒れていたトロフィーを立て直し
窓ガラスを閉め

部屋を後にしようとした その時


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???「ブルルルルルル」(振動音)

???「ピーーーーー」(機械音)

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謎の振動音と
小さな機械音が

旦那の部屋の
机の引き出しの中から
かすかに聞こえた。


飴宮「な、なに…?
今度は何の音…?」

引き出しを開け
中を確認すると

そこには大きなイヤホンのようなものが
左右セットで入っており

イヤホンの先からは何やら
小さく何か言語のような音が聞き取れる気がした。

私は恐る恐る それを耳に装着し
何を言っているのか聞き取ろうとすると

ハッキリとした機械音声で
次のように聞こえてきた。

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???「生体認証中…生体認証中…

ピピッ…

"ネコミヤ スグル"と異なるユーザーを確認

ただちに生体解析システムを開始。」

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次の瞬間

装着していたイヤホンの下部から
糸のように細い針が
一瞬だけ勢いよく飛び出し
耳たぶを一刺し…

数滴の血が滴り落ち
針はすぐに引っ込んでいった。


飴宮「痛っ…!なにこれ!?」


ーーーーーーーーーーーーーーー

???「血液よりDNA解析中…

解析完了。

解析結果:登録ID:67458931

国籍:日本   性別:女性

年齢:27   名前:飴宮 真凛

ユーザー  猫宮 優の配偶者と確認。

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突然 目の前で起きた
奇妙な出来事に
怖くなった私は
付けていたイヤホンを咄嗟に床へと投げ捨てた。

すると転がり落ちていったイヤホンから
今度は耳に装着しなくても
聞こえるほどの大きな音声で
機械音ではなく人間の肉声が流れてきた。


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???「飴宮 真凛…

お前だな、私の大事な部下を
たぶらかした奴は…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

飴宮「だ、誰…!?

たぶらかすって…いったい何のこと!?」

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???「ごちゃごちゃ騒ぐんじゃない

とりあえず詳しい話は後だ

今は端的に
重要な"真実のみ"を伝える。」

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そして次の瞬間
イヤホンから聞こえてきたのは

とても信じがたい
衝撃的な一言だった。


「お前の旦那の死は

不慮の事故などではない


東京アルバトロスという球団に

"殺された"んだ」



(第2章へ つづく…)

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