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【プロ野球選手の嫁】(プロローグ)

(漫画原作案である「プロ野球選手の嫁」という物語のシナリオ(プロローグ)を ざっくり作りましたので、続きもこれから随時アップしていきます

もし お時間ございましたら、少しだけでも読んで頂けると嬉しいです…!

※これは小説ではなく「シナリオ」です)

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【プロローグ】

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『東京アルバトロス』


巧みな戦術と奇想天外なプレーで
日本プロ野球界に新風を吹かせる
リーグ屈指の強豪 常勝軍団…

そんな最強球団に昨年の入団テストにて
見事合格を果たした私の旦那
"猫山 優(ねこやま すぐる)"

プロ1年目から華々しい活躍を見せ
チームの主軸の1人と言っても過言ではなかった。


…とある練習中の不慮の事故で
命を落とすまでは。



《 2022年9月12日 12:04   》



球団からの突然の一報に言葉を失った私は
一体何が起きたのか
状況を全く理解することが できなかった。

球団の屋内練習施設での自主トレ中
暴走したピッチングマシーンの速球が頭部を直撃…

病院に運ばれるも既に重体
診断名は「外傷性くも膜下出血」

私が病院に着いた時には
旦那は既に息を引き取っていた…


突然 愛する旦那を失った深い悲しみの最中
執り行われた葬式と告別式。

???「飴宮 真凛(あめみや まりん)さん…でしたね。旦那様には本当に お世話になりました。

この度はご愁傷様です。
心よりお悔やみ申し上げます…」

そう言いながら名刺を
差し出してきた1人の中年男性

彼は東京アルバトロスを
長年 指揮しているチームの監督
"猿渡 繁信(さるわたり しげのぶ)"であった。


猿渡「デビューから走•攻•守 揃った素晴らしいプレーでチームの勝利に貢献してくれました。彼には感謝してもしきれない…

まさか こんな事故に巻き込まれるなんて…
私の管理が行き届いていないばっかりに…」


涙を流しながら謝罪を続ける監督に
労いの言葉をかけながら
私も大粒の涙を流していた。


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そして旦那の死から2週間ほどが経った。

火葬を終え、旦那の写真と遺骨を
彼の好きだった金木犀(キンモクセイ)
の花と共に仏壇に添え

心の傷が癒えていない私は
毎日のように写真に向けて
1人、話しかけていた。

「優くん、どうして こんなことに…

急に いなくなっちゃうなんて酷いよ…」

そうして私は涙ぐみながら
彼の写真を手に取り
彼との想い出を振り返っていた。

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《 〜3年前〜 》(回想)

飴宮「本日は お忙しい中、このような時間を作って頂き誠にありがとうございます!

それでは さっそく伊達製薬が今年度 開発しました
新薬について ご説明させて頂きますね…!」

飴宮 真凛(あめみや まりん)25歳
職業:MR(医薬情報担当者)

私の仕事は

病院、診療所、調剤薬局などの医療機関に訪問し
私が勤めている製薬会社「伊達製薬」の

薬品の品質や有効性、また適正使用法など
様々な情報提供を行い

それぞれの医療機関で使ってもらえるように
アピールしていく事…!

1ヶ月も前から苦労して作った資料を元に
私は今日も我が社の薬品の普及に努めていた。

飴宮「というわけで この錠剤は副作用も少なく、非常に使いやすい物となっておりまして…」


病院の医者「ちょっと待って、少ないって言うけど実際"0"では ないわけでしょ…?
どんな副作用が出る可能性があるわけ??」


飴宮「え、えぇと…そうですね…
少々お待ちください…」(慌てて資料をめくる)

病院の医者「えぇ?分かんないの??
こっちも実際に患者さんに使うかどうか
迷ってる薬なんだからさぁ
ちゃんと調べてきて貰わないと困るんだよ…」

飴宮「す、すみません…私の準備不足で…」

その時、入社して間もなく
2年目の私に研修で着いて来ていた
新人社員、猫宮 優が口を開いた。

猫宮「副作用に関しては主に掻痒感、皮疹等の皮膚症状を訴える方が稀にいらっしゃいます。

しかし これは1%以下と非常に低確率であり
症状自体も命に別状は無く
非常に軽いものになります。

リスクとベネフィットのバランスを考えても
本薬品は非常に優れており

我が社が今 自信を持って推奨できる
薬品の1つでございます。」



猫宮 優の素晴らしいフォローで
なんとか その場をやり過ごすことに成功。

す、すごい…入社1年目の新人で
今日は研修で来ている だけのはずなのに

入社2年目で
先輩のはずの私が
情けないことに助けられてしまった…


それが私と彼の初めての出会い…

それからは私も彼の事を
少し意識しては いたけれど

どちらかと いうと
彼から私へのアプローチが
尋常ではなかった事を思い出す。

初めて会った その日に連絡先を聞かれ
すぐデートに誘われた。

最初は距離の詰め方がヘタな人なのかな?
なんて思ったりもした。

会う度に容姿も中身も褒めに褒めちぎられ
少し恥ずかしいくらいではあったが

彼といる時間は とても楽しく
私も自然体で いられる気がしていた。

そして なんやかんやで付き合い始めた私達は
2年間の交際を経て無事結婚

優くんの希望で夫婦別姓となったが
私は寿退社というやつで専業主婦となり
私達の新しい生活が始まった。

そして結婚して数ヶ月が経った ある日
旦那から突然の報告…


猫宮「真凛ちゃん、あのさ
実は大事な話があって…


俺、伊達製薬を退社する事にしたんだ。」


飴宮「え!どうして急に…!?」


猫宮「いや、実は俺…
馬鹿げてるって
思われるかもしれないけど

小さい頃から"プロ野球選手になる"
っていう夢があって…

来月  "東京アルバトロス"っていう球団の
入団プロテストを受けようと思うんだ…!」

最初は冗談かドッキリか
何かだと思ったが
彼の目は本気だった。

それに小学生の頃から野球をやっていて
経験自体は長いという話も聞いていた為

私は彼の夢を応援する事にした。

それから彼は猛特訓を開始し
家でも外でもトレーニングを欠かさず…

2021年12月1日
東京アルバトロス 入団プロテスト当日を迎えた。

会場には応援などの関係者を
入れることは一切禁止とされていた為

家で彼の合否を待つ…

そして1日と長きに渡るテストの末
帰宅してきた夫の顔には笑顔があった。

(回想終わり)

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旦那の遺骨に手を合わせ
うつむき また頭が真っ白になる

最近こんな感情の繰り返しだ。

無意識に溢れてくる涙をこらえ
寝室に向かおうとしている時

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📞「プルルルル」(電話の音)

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突然 鳴り響く一本の電話。


飴宮「こんな時間に いったい誰…?」

恐る恐る受話器を取ると
電話先の相手は意外な人物だった…


(第1章へ つづく…)

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