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【デッド・オワ・ライブ】(第一章) 『アフリカのカエル』

(漫画原作案である「デッド・オワ・ライブ」という物語のシナリオ(第一項)を ざっくり作りましたので、随時アップしていきます

もし お時間ございましたら、少しだけでも読んで頂けると嬉しいです…!

※これは小説ではなく「シナリオ」です)

※第一章からは どんな内容のストーリーなのかだけ分かるような、さらに噛み砕いたシナリオになります。


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【第一章】「目からオシッコ」


準決勝当日の朝を迎えた道雄。

雲一つない晴天の下

実に深い眠りから目を覚ます。


道雄「あれ…?今 何時だ…?

体感的にはコレ、100%寝坊っぽいんですけど…


って、やべ…!今日は大事なN-1準決勝の当日なのに…!」


焦りながら枕元に置いていたはずのスマホを探す道雄。

しかし どこにも見当たらない。それどころか

枕に布団、タンスや机などの部屋中の家具達…

そして なんと壁や天井まで…

全ての物が無くなっていることに気づく。


道雄「え…どういう状況…?

尋常じゃないくらい やる気に満ち溢れた空き巣に家ごと盗まれた感じですか…?」


その時、状況の理解が追い付かず完全にポカーンと立ち尽くしている道雄の背後から

謎の神々しい光を放つ 一人の女性らしき人物が声をかけてくる。


女神「お〜道雄 君。

ようやく目が覚めたんやな。

おはよーさん。」


道雄「え…!?だ、誰ですか…!?

(ま、眩しい…!)

どうして僕の名前を…?」


すると そのゴリゴリな関西弁の女性は

脇の下に挟んでいたA4サイズの資料のような物(脇汗で濡れてる)をペラペラとめくり初めた。(美人なのに脇汗すご…)


女神「だって、全部ここに書いてあんねんもん。

えぇ〜とナニナニ?


『津古 道雄、19歳 男 独身

身長174センチ 体重66キロ

血液型AB型 

東京出身で職業は芸人

結成2年目の お笑いコンビ「みっちーず」のツッコミ担当…』


へぇ〜自分、芸人さん やったんや…

てか、芸名ダサ…笑

なんやねん「みっちーず」て笑」

その女は小馬鹿にするような態度で道雄に接し続けながら、資料に目を通している。

「あら〜アンタ、まだ19歳なんやな。

まだまだ これからって時に…

ほんま お気の毒やねぇ…」


道雄「は…? お、お気の毒…?

てか何だよ その個人情報ダダ漏れの紙は…!」


道雄は その女から強引に紙を奪い取り、書かれている文字を見た。

すると、そこには予想もしていなかった恐ろしい言葉が記されていた…


道雄「し、“死亡認定書”…!?

なんだコレ…!どういう事だよ…!」


女神「あーもう、ほんま さっきからアンタ

ピーピーピーピーうっさいねん…!

1回聞け…!ちょっと黙っとけボケ…!

あと人のモン勝手に取んな…!」


そして その言葉使いの下品な女は道雄から紙を奪い返し

1度大きく咳払いをして独特の間を取った後、神妙な面持ちで静かに話を始めた…


女神「信じられんとは思うけど

一旦 黙って最後まで聞いててな。


まず、今アンタがいるココは

“天国”いうて

死んだヒトが来る所なんや。


アンタは2021年12月1日

午前0時57分。

自分ちの布団の中で安らかに息を引き取った…


ほんでヒトは死んだら まず

今みたいに、ウチら女神から

状況の説明を受ける事になっとる。


この資料は死亡認定証。死んだ者が生前どのような人間だったのかを詳しく記したモンや。


ココには個人情報の他にも

“死亡した場所”や“死亡推定時刻”

また“死因”などについても詳しく書いてある。


ウチら女神の仕事は

それらの情報を本人に伝え、死を受け入れてもらい

今後の天国での過ごし方についてアドバイス等をしてあげることなんや。」


道雄「そ、そんな

嘘だ…」


女神「いきなり こんなん言われて、急に受け入れろ言うてもムズいよなぁ…


でも、ここに来る奴 最初は全員

同じようなリアクションすんねん。


まぁ時間はかかるかもしれへんけど、時間をかけて徐々に自分の死を受け入れt…」


道雄「お前みたいな口調の悪い下品な女が“女神”なわけないだろ…!」


女神「いや、そっちかい…!

まずは 死を受け入れられん件(くだり)を経ろや…!」


その後、女神から現状を詳しく教えてもらう道雄。

最初は何もかも信じられないこと尽くしであったが

そもそも床がフカフカの雲になっていたり、よく見ると自分の身体が半透明だったり

夢にしてはやけに意識が鮮明で

温痛覚や触覚などの感覚も消失している為、肘の裏をいくら つねっても全く痛くなかった。


また この女が女神であるという事は

「私は女神だ!女神だ!」 と しつこく

話も一向に進まないし、何だか可哀想になってきてしまったので

仕方なく同情の意を込めて信じてあげる事にした。


道雄「そっか…俺、本当に死んだのか…で、でも いったいどうして…!?

俺、まだ若いし

大きな病気だって一度も した事なかったのに…


なぁ、俺は何で死んでしまったんだ?」


すると、道雄が死因を聞いた その瞬間

女神は急に吹き出し、その場に座り込んで腹を抱えて笑い出した。


道雄「お、おい…!

何が おかしいんだよ…!」


女神「ゴメンな…だ、だって…(笑)

アンタの死因…オモロすぎんねん…(笑)」


道雄「え…

ぼ、僕は…

いったいどんな最期を…?」


女神「聞きたいか…?(笑)ふふふ(笑)


アンタの死因はな…」


女神は 笑いをこらえるのに必死になりながら

資料の最後のページに書かれている文字をなんとか読み上げた。


「“ショック死”…


寝ぼけながら仰向けでスマホをイジっていて

手から顔面に滑り落ちてきたスマホにビックリした事によるショック死…


だそうです…!(笑)」


道雄の心の声(……………………………………

え、マジで…?聞き間違いじゃないよな??


ダサすぎん…?俺の最期ダサすぎん…?

いや、よくあるよ?

仰向けでスマホ イジってて

手が滑って顔にスマホ落ちてきて

ビクッ!!ってなるやつ

よくあるよ?


いや、でもそれで死ぬ奴いる??

そんなんで死ぬやついるぅ??

いねぇよなぁ…!!!

(©マ○キー君)


…え、マジで恥ずかしい。

葬式とか どういうテンションで行われてるんだろうか。

参列者の皆様も死因が死因なだけに

“笑ってはいけない葬式24時”みたいになってない…?)


女神「落ち込み終わったか?

じゃ、そろそろ

ここにサインしぃや。


“死亡認定証”って書いてある文字の

すぐ下ん所や。


ここに名前を貰って

ようやく、アンタの“死”が確定するんや。」


道雄「そ、そんな…まだ俺だって

自分の死を完全に受け入れられたわけじゃ…」


女神「細かい事は ええから

早くして もらえへん?


まだ この後もアンタと同じような死者達と

同じような手続き何件も せなアカンねん。

こう見えて女神も忙しい仕事やねんから。ホレ、はよ。」


そう言って、道雄は半ば強引にサインをさせられ

死者として天国の住人になる事となってしまった。


女神「んじゃ、こっからは天国での暮らし方について説明していくな。

まずは…」


道雄の心の声(あぁ、それにしても僕の人生は

なんて短く儚いものだったのだろう…

こんなしょーもない死に方で

芸人としての夢も希望も消え去り

今まで積み重ねてきた努力も全て水の泡になってしまうなんて…)


女神が淡々と説明を始めていく傍ら

道雄は 時間差で ようやく込み上げてきた悔しさの感情が涙として溢れ出す。


女神「泣いてんのか…?」


道雄「ちげぇよ…目からオシッコ出てるだけだ…(泣)」


女神「いや、強がり方のクセ!なんやねんそのワードチョイス!

汗とかにしとけや!目から排尿すな…!

アフリカかどっかの毒々しい色したカエルが威嚇する時か…!」


目からの放尿が止まらず、泣き崩れる道雄。

その様子を見兼ねた女神は説明を止め

今までの横柄な態度とは裏腹に

急に優しく寄り添い

真面目なトーンで話を変えた。


女神「アンタ、悔しいんやろ…?

まだ やり残した事があるんやろ…?

アンタの夢は なんや?

言うてみ?」


女神は道雄の身体をそっと抱き寄せ

優しく胸で包み込む。


道雄は女神がまとっていた羽衣(はごろも)的な何かに涙を吸着させながら夢を語った。


道雄「お、俺の夢は…

N-1グランプリを優勝して

誰にも負けない日本一のお笑い芸人になることです…!」


すると女神は道雄の目を見て

ニコッと微笑みながら こう言った。


女神「よし、アンタの誠意 

ほ〜んの少しは伝わったわ。

その夢、なんとか叶えられるように

ウチも ちょいとだけ協力したる。」


道雄「え…?でも、どうやって…?

俺、もう死んじゃったんですよね…?」


すると女神は道雄に

予想だに していなかった言葉を言い放つ。


女神「死んだら生き返ればえぇ。

それだけやろ、簡単な話や。


…自分、芸人やんな?


…今から漫才のネタ、一本 書けるか…?」



(二人の間を沈黙が走る)



道雄「…は?」


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(第二章へ つづく…)