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僕らは今を作ろう【群青日和 #23・24】

【試合結果】
4/27(土) 読売ジャイアンツ
●1-2
[勝]横川
[敗]ケイ
[S]大勢

4/28(日) 読売ジャイアンツ
●2-6
[勝]堀田
[敗]上茶谷

◇ ◇ ◇

負けが続くと、私は過去の私に「ねえねえ今頃どうしてた?」と交信を図ることにしている。

昨年4月の私はというと、今日と同じく石川達也を見つめていたらしい。
過去のブログにはこう書いてあった。

快投、って言って差し支えないんじゃなかろうか。
試合が終わった後、ベンチ内で石川を労うように肩を叩く斎藤コーチの姿を私は見逃さなかった。
あと一段、階段を登って欲しい。
今の大きな番号から、もう一回背番号変えたれ。

一昨年の今頃は、背番号101だった。
去年の今頃は背番号95。
そして今年から、昨季チームを離れた尊敬する左腕リリーバーの先輩から「お前に着けてほしい」と託された46番を背負う。
私が願っていた通り、いや私の願いなんて別に関係なく、石川本人の努力でこの3年間階段を登り続けている。
そして石川達也は現在の一軍で唯一の、左のリリーフだ。
チーム編成のバランスとしてそれはどうなんだろう、とも思うけど首脳陣がそれだけ石川に信頼と期待を寄せているとも思える。

昨シーズンの成績は28登板、3ホールド、防御率1.97。
ビハインド展開の回跨ぎ登板も、火消しのワンポイント登板も、僅差のリードした展開も、そしてCSでの登板も経験した。

身長178cm、上背は決して大きくない。
でも、三桁を背負ってリリーフカーから降りてきた2年前と比べて
「大きくなったなあ」
なんて感じてしまったのは何故だろう。
入団当初は線が細くて、その頃と比べれば体格の厚みが出たのは確かなんだけど。
一番変わったのは多分、面構え。

三浦監督からボールを受け取る時、大きくひとつ、ふううっと息を吐く。
そしてどこか少しだけ憂いを帯びた表情で遠くを見て、もう一度正面を向く頃には鋭い目つきで投球練習を始めていた。

巨人打線は先頭から始まり連打で2点を加え、まさに今火が点いたところ。
石川の仕事は、Oのランプの3つ目を灯してくること。
まずこのイニングを終える。
相手の勢いにのまれそうになってしまった時、そのシンプルな目的がいかに難しいのかを痛感する。

「勝ちパターン継投」
そんな言葉をよく耳にするけど、じゃあ他の状況で名前が呼ばれる中継ぎ投手は「負けパターン継投」の一角なのかというと決してそうじゃない。

相手の勢いを止め、テンポよくアウトを取りその次のイニングで野手が攻撃に入りやすいリズムを作る。
敗戦処理、なんて言葉もたまに見かけるが、私はその言葉はあまり好きではない。
この時点ではまだ敗戦と決まった訳ではないし、処理という程に取り捌けるような仕事にも思えない。
守護神・クローザーが時にストッパーと呼ばれることもあるけれど、どっちかというと相手の勢いを止めるこういう役回りの方がストッパー、と呼ぶのに相応しい気がする。

石川達也は、今日求められた役目を最大限果たした。
6回表の3つ目のアウトを取り切って、回跨ぎをこなし7回表も無失点で終えた。

勝ち負けの定まらない場面で、彼のような投手が先発投手が降りた後もアウトを重ねていくことは決して簡単な役回りじゃないし、こう、言い方を選ばなければ「なめんな」とつい言いたくなってしまう。

負けパターン?敗戦処理?
リリーバー、なめんなよ。


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