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最後に笑うのは 正直な奴だけだ【群青日和 #13】

【試合結果】
4/13(土) 東京ヤクルトスワローズ
●2-5
[勝]吉村
[敗]ケイ
[S]清水


◇ ◇ ◇

目の前で今まさに試合が行われていると、ついついその一つの試合、一つのプレーといった「点」に焦点を当てがちなのだけど、私はできる限り「線」に近い形で捉えてその選手のことを話したい。

◇ ◇ ◇

今日のスタメン発表を見て驚いたのは
横浜DeNAベイスターズ・2番捕手 山本祐大
東京ヤクルトスワローズ・2番サード 村上宗隆
この二人ももちろんなのだけど、

横浜DeNAベイスターズ・8番レフト 梶原昂希

この選手の起用におっ?と期待を持った。
開幕以降レフトは佐野の定位置だったが、ファーストのオースティンが故障離脱したことで佐野がファーストに入り、一つ空きポジションが出来た形になる。
開幕スタメンこそ逃したものの、次カードの阪神三連戦以降ではスタメン起用が続いた関根がそこに収まっていた。
ところがそんな関根も、4月5日巨人戦を最後に15打席連続で安打が止まっていた。

そうなるとセンターは守備に確実性の高い桑原が入るとして、レフトは誰が選ばれるんだろう、と思っていた矢先の抜擢。
開幕以降桑原に代わりセンターに入っていた梶原が、今季初のレフト起用。
ファームではもうやる事が無いであろう梶原の打席数を確保し、実戦感覚を養うためかな。ちょっと調べてみた。

【レフト起用可能性のある外野手 出場試合数・打席数】※4/12時点
梶原 昂希 5試合/9打席
佐野恵太 12試合/48打席
関根大気 11試合/34打席
楠本泰史 4試合/4打席

代打適性の高い楠本は除外するとしても、やっぱり一軍にいるレフト起用の可能性がある選手の中でも梶原は特に出場回数が少ない。
不安なことがあるとするなら、経験があるとはいえ開幕以降レフト守備につくのは今季初めてであることぐらいかな。
とはいえ昨シーズンの実績がある関根に出場機会が割かれていたものの、当たりが止まってきたなら若手の抜擢は全然不思議じゃない。

プロ野球選手に与えられるチャンスは平等にやってこない。
なんとか食らいついて欲しい、そんな事を思いながら午後2時の試合開始を待っていた。

◇ ◇ ◇

不運もあった。
4打席は確保出来るはずが、チャンスと打順の巡りの都合で2打席連続申告敬遠を告げられた。こればっかりはどうしようもない。
そして4月6日以降、3日と空けず代打起用はあったもののこうしてまとまった打席機会に恵まれたのは3月31日以来のこと。
なかなかアジャストするのは難しいんじゃないだろうか。

そして、6回表の守備機会。

梶原の走力があるからこそ落下点には間に合ったし、梶原の身長が189cmもあるからこそグラブに当てるまではなんとか行けた。
ただ、ボールをグラブの中に収めることは出来なかった。
青木の放ったフェンス際ぎりぎりまで伸びたその打球は、結果的に今日の決勝打になった。

久々のレフトでの守備。
ボールの伸び方やフェンスとの距離感、落下点への入り方、グラブの入れ方、不慣れな要素がいくつも重なった結果、と思っている。
もちろんプロ野球選手なので、そんなことは言い訳には絶対にしないでしょう。
ただ、今日のミス一つで起用が今後無くなる、とも思えないわけで。

◇ ◇ ◇

昨シーズン、グラウンドで梶原のこんな表情を見ることはあまり無かった。

ルーキーの井上絢登とストレッチ。
経歴や入団年は違うけど、同い年の二人。

ファームで好成績を残して一軍に昇格してきた時、梶原の周りに同年代・年下の選手はほとんど居なかった。
唯一、当時ルーキーだった林琢真がいたものの、一軍とファームの入れ替えタイミングなどで共に過ごした時間が少々短かったせいか、あまりこの二人は一緒に連れ立っているシーンはそんなに見受けず。
当時一軍にいた外野手(佐野・関根・楠本・桑原・大田)は皆5歳以上年上。
試合前のアップでも、いつもどこか少し緊張の色を残した表情をしていた。

そんな去年と比べてみると、今年の一軍メンバーの顔ぶれはだいぶ変わった。
まず、ルーキー野手が二人もいる。
投手ではあるが同期入団の徳山も開幕一軍入り。
そして、オースティンの故障によりまたもやルーキー野手、かつ同い年の井上が昇格してきた。
一軍の空気に慣れたのもあるかとは思うが、梶原の表情は去年よりもずっと柔らかい。
同年代の選手たちと一緒に横浜スタジアムで野球が出来るのが本当にうれしい、そんな気持ちがあふれているような。

度会が開幕2試合連続ホームランを打った翌日の試合では、彼がグラウンドに出てくるとすぐに称えるように肩をポンポンと叩き、しばらく話していたかと思うと最後にがしっと握手をして、自分のウォーミングアップに戻って行った。

プロ入りするやいなやド派手なデビューを果たし、キャラクターもその明るさが目立つドラ1ルーキーの外野手はどう考えても強力なライバル。
でも、梶原のこの姿勢は決して目の敵にするようなものじゃない。

私が梶原昂希を応援したくなるのは、フルスイングが魅力的なバッターだとか、ベイスターズの中では貴重な俊足だとか、そんな能力の話以上に、才能あふれるライバルに対して卑屈にならずに「ほんとすごいな、俺も負けてらんないな、頑張るわ!」という姿勢になれるまっすぐさが感じられるから。

今日でたったの13試合しか終わっていない。
梶原の力が必要になる場面はこれからきっと来る。
オープン戦で見せたのは、その予告編。

これから、まだまだ楽しみにしてるからね。

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