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その色を変えていけ【群青日和 #17】

【試合結果】
4/19(金) 東京ヤクルトスワローズ
●3-4
[勝]大西
[敗]伊勢
[S]石山


◇ ◇ ◇

「〜〜〜っっったっ!」
落ちたっ!と大きな声で言いたかったのを全力で我慢した。
ここは家のリビングじゃない、都内の地下鉄車内だからね。
なんとかマスクの中で小さくつぶやく程度で済んだ。
走行音が比較的やかましい路線なので、おそらく近辺の皆様へのご迷惑は最小限にとどめられた、はず。

落ちたのは、牧がライト方向に打ち上げた打球。
今日の神宮はあちこちの方向に向かって風が吹いている。
セカンドの赤羽とライトの青木が共に同じくらいの速度でその真ん中目掛けて走ってくる。
打球は打ち上げた角度から予想していたよりもだいぶ伸びて、ライン際、駆けてきたその二人の間に落ちて跳ねた。
一球速報の画面に切り替えて見ると「ポテンヒット」の表示。

跳ねた後のボールを捕球した赤羽が、一塁側ブルペン付近で足元を何かに取られてがくんと上半身を折るような姿勢になっている。
カメラが切り替わり、次に彼を映し出した時には地面から起き上がるような姿勢から二塁に送球。あ、これもしかして転んだのか?

実況中継でよく聞く言葉で言うとするなら「打ち取った当たり」だし、「綺麗なヒット」ではない。
でもフェアゾーン内に打球が落ちればそれは打ち取られていないことになるし、得点圏にランナーが居れば当然タイムリーヒットになる。

かつて佐伯解説員はこんな事を言っていた。
「ラッキーなヒット、なんてよく言いますが、ラッキーなヒットというものは存在しません。バッターがしっかりと振り抜いた結果です」

そういう事です。

◇ ◇ ◇

選手のことは目の前で起きていることだけに焦点を当てた『点』ではなく、極力『線』で話がしたい。

今日の先発投手は東克樹とサイスニード。
先週と全く同じマッチアップで、球場だけが変わった形になる。
野手のスタメンは打順と外野手が一人変わっただけ。

分かりやすく打順が上がっていたのが、関根大気。
先週の4月12日は6番
→今日の4月19日は2番

正直、先週のサイスニードには全くといっていいほどスイングが合っていなかった。そもそも最初の打席は三球で見逃し三振と、スイングすら許されなかったのだけど。
4打席無安打。
変化球を待っているのが見透かされたように、ストレートの割合多めで押し切られた。

今日の関根はじゃあどうだったかというと、4打席無安打、先週と同じか……と思いきやそうじゃない。フォアボールの打席が2回もある。
5回表は8球粘り、9球目のインハイをしっかり見極めた。
その後佐野がヒットで続き1、3塁となり牧の犠牲フライで生還。

9回表はツーアウトからインローの誘い球2球、アウトハイの速球2球を我慢してフォアボールとした。

フォアボールは単打と同等の価値がある。
2番打者に求められることは何かと多く思われるけれど、そのうちの一つが
「二の矢になること」。
当然ながら1番の次に回ってくることが多い打順なのだから、出塁が求められる。
打てなくたって、塁にさえ出ればこちらの勝ち。
初回はファーストのエラーで出塁しているので、4打席中3出塁。
打率こそ上がらないものの、シングルヒット3回分と同等の仕事ぶりといえる。

特に、9回表で逆転のランナーとして出塁した関根は実に頼もしい顔つきをしていた。そうだ、そんな顔が出来るならまだやれる。まだ食らいつける。

ひとつ勝てれば肩の力も抜けると思うんだけどね。
黒い星が並ぶのはこれで5つ目。

とはいえ、見てくれほどどん底じゃないと思うよ?

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