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模擬生前葬をしたら、夢が叶っていた。

先日、模擬生前葬をしました。

そもそも「生前葬」がよくわらかないのに「模擬」ってなんやねん、という方がほぼ全員だと思います。実は僕もよくわかっていませんでした。

今回は模擬生前葬に至るまでの経緯と当日の様子、実際に行ってみて感じたことをまとめようと思います。

なぜ模擬生前葬を行うことになったのか?

そもそも「生前葬」の話が出たきっかけは、GAGの福井くんと守谷日和と3人でやっているRadiotalkの番組『ラジオ居酒屋1980』でした。1980年生まれの同い年でやっている番組で、毎週月曜23時から生配信しています。

11月28日の配信で僕が話したのは「葬儀のシステムに納得がいってない」ということでした。葬儀では、親族や同僚、知人たちによる故人の思い出話に花が咲きます。でも、話題の中心である故人は、その話が聞けないのです(魂が聞いているという可能性は否定しませんが、いったんそれは置いておきます)。

僕はそれが嫌なんです。僕の話をするなら、僕が生きている間にしてほしい。「とっておきの思い出話を聞けないなんて納得いかない!」というのが僕の意見でしたが、福井くんと守谷日和2人ともまったく共感されませんでした(その気持ちもよくわかります)。

そこで話したのが「生前葬がしたい」ということでした。死ぬ前に仲間に集まってもらって、自分の話を盛大にしてほしい。人生最後のチヤホヤタイム…それが僕の願いでした。

ただ、僕はやるなら早くやりたい。年齢を重ねて70歳や80歳でやるのは違うんです。変なリアリティも出てくるし、「そのうち本当の葬儀やるやん」と思いながらの生前葬では意味がないんです。

そんなことを話していたら「じゃあこのラジオでやっちゃおう」という流れになりました。ただ、本当の生前葬ではないので、あくまで“模擬”生前葬です。他人を巻き込んだ盛大なリハーサルです。

そもそも生前葬とは何なのか?

ここでようやく「生前葬とは何か」を、ちゃんと調べました。

テレビコントの影響なのか、葬儀を模したセットの真ん中にある遺影がくり抜かれていて、そこに主役が顔をはめている…そんなイメージでしたが、全然違いました。

「生前葬」とは「主役の挨拶や余興もある、結婚披露宴に似た明るい式である」だったのです。なんかバラエティ的なことができそうだ…そう思いました。

思い出話をしてほしい人が頭に数人浮かびました。福井くんならどんなコメントも対処してくれるでしょう。そして守谷日和といえば、余興の達人です。ピースが揃った気がしました。

模擬生前葬の準備

生配信の翌日、僕は3人に電話をして「模擬生前葬をするので、僕に関する思い出話を送ってほしい」と伝えました。後輩、4つ下の弟、そしてアインシュタインの河井くんです。全員がしっかり困惑していました。当たり前です。生前葬すら言葉しかしらないのに、それをラジオでやろうと言うのです。

弟からは「どんなメッセージを送ったらいいのかわからないので、概要をください」と言われましたが「そのわからないのも込みで書いてほしい」と突き返しました。だってあくまで模擬です。最悪、大失敗でもいいのです。

とはいえ、世の中にはどんな生前葬があるのかネットで調べてみました。しかしいくつかの葬儀社の「生前葬とは」というページはあったものの、どこも具体的な事例はありません。

とりあえず前週の配信で「葬儀のお寿司を食べてるときの雰囲気ですかね?」という発言があったので、福井くんと守谷日和、そして番組を手伝ってくれているギャルスタッフにLINEギフトでお寿司を送りつけました。

YouTubeでも探したのですが、出てきたのはアントニオ猪木が数年前に行ったものと、大病を患った70代の男性が行ったもの、2つだけでした。

アントニオ猪木はリングの上の棺桶をたたき割り、最後に「炎のファイター」にのってサンバ隊が踊るという、あまり参考になるものではありませんでした。大病を患った男性の生前葬は、男性を慕う人々が主催したもので、僕のように「チヤホヤされたい」という浮ついたものではなく、今回やろうとしていることとは雰囲気が違いました。

芸人さん2人がメインである番組で、裏方の僕が主役となるという、誰も求めていない企画をやる以上ちゃんとしなくては…と、毎日仕事が終わってから構成を考えました。

「そもそもチヤホヤされるってどういうことなんだろう…」と、変な迷路にハマったりしているうちに、模擬生前葬当日を迎えました。

式次第がこちら。

模擬生前葬当日 

2022年12月6日、午後11時。Radiotalkの生配信で、模擬生前葬が始まりました。

主賓あいさつ

模擬生前葬はGAG福井くんの主賓あいさつから始まりました。生前葬についてしっかり調べてくれた福井くんから、生前葬のメリットとデメリットの説明がありました。

ざっくりいうと…

【メリット】
・元気なうちにお世話になった方々に感謝の言葉を伝えられる
・礼儀作法や段取りにしばられない式ができる
・家族への時間・金銭的な負担が減る

【デメリット】
・周囲の理解を得にくい

おっしゃる通りです。周りで聞いたことないし、1週間前に模擬生前葬をすることをラジオで言っても「私もやりたいと思ってました!」という人は誰一人現れませんでした。

福井くんからは「僕が生前葬をやりたがっている最な理由」、僕との思い出として『今でも河原にエッチな本は落ちているのか?』というロケでサイパンまで行ったこと(長くなるので詳細は割愛)が語られました。ありがたいことです。

本人略歴

続いて、本人略歴。書いたのはもちろん僕です。個人的にはある程度簡略化したつもりだったのですが、読み上げていたギャルスタッフに「長い…」と苦笑されました。お恥ずかしい限りです。

親しい方たちからのメッセージ

続いて、親しい方たちからのメッセージです。

まずは後輩の渡邉さん。新入社員の時に、出会うや否や僕が「M-1出たことある?」とM-1マウントを取った激イタエピソードから始まり、守谷日和を番組に出したいがために「風つっよいなぁぁぁ」のネタを会議で自ら披露して大スベリしていたという、黒歴史の披露が続きました。が、ここでなぜか守谷日和が「いやぁ、そんなことがあったなんて…。感動してます…」となぜか感無量に。泥酔していたのでしょうか。

2人目は弟。弟の結婚式で、僕が「弟は僕のエロビデオを勝手に見てました」と話して大スベリしていた…というまたも黒歴史が。

最後はアインシュタイン河井くん。「Twitterでバズった感覚が忘れられず、あの手この手で再びバズろうとするも万策尽きたのか、狂ったようにB’zのことをつぶやきだした」と、プロからしっかりめの分析をされて恥ずかしいやらありがたいやらです。

リスナーの方からのメッセージ

親しい方からのメッセージのあとは、リスナーの方からのメッセージの紹介。前日に急遽募集したのにも関わらず、6人の方がメッセージを送ってくれました。それも皆さん文章がお上手。ありがたいことです。

でも「バズったツイートを固定しているの最高です」など、言わなくていいぞ!というものもありました。ありがたいんですけどね。

余興

余興は「余興王」の異名を持つ、守谷日和にお願いしました。僕が守谷日和と知り合ったきっかけにもなった「風、つっよいなぁぁぁ」を音声バージョンで披露。生前葬とか抜きにしてめちゃくちゃ面白いかったです。感動しました。

本人あいさつ

生前葬らしく、感謝も込めて色々話しました。かたい話ですが、死と向き合うことについてもちょっと触れました。でも長いのでここでは割愛します。

模擬生前葬を終えて

最後に福井くんが言ったことに、僕はハッとしました。

「ただただイジられ続けるだけの1時間。それをずっと笑い飛ばすしてるなんて、昔の山内さんからは考えられない」

その言葉に、福井くんと会った12年前の自分を思い出したのです。なんとか実力で認められたいと、自分本位で思いやりのかけらもなかったあの頃。自分の思い通りに進まないことに常にイライラし、周囲に嫌な思いをさせていたあの頃。熱意はあったかもしれませんが、それとは釣り合わないくらい攻撃的でした。僕の人生の中でも、最低な時期だったと断言できます。

あの頃、イジられている先輩がうらやましかった。軽口をたたかれて「おいー!」と大声を張り上げている先輩を見ながら「俺にはこんなことは一生ないんだろうな。いつかイジられるような先輩になれたらいいのにな…無理やろうけど…」と本気で思っていました。

福井くんがいう通り、模擬生前葬は「チヤホヤされたい」というのが振りになった、大イジリ大会でした。そしてそれが最高に楽しかったし面白かった。

尖ってる人に触れたら傷つくけど、丸くなったら気軽に触って(イジって)もらえるようになる…理屈ではそうですが、自分がそうなったかはなかなか気づけないことでした。

全く予期せぬことでしたが、僕の夢は42歳にして模擬生前葬で叶ったのだとわかったのです。もちろんそれにはメッセージをくれた3人、リスナーの皆さん、福井くんと守谷日和、ギャルスタッフという、あたたかくて面白い人たちのおかげです。

ある種、番組を私物化してしまった配信でしたが、僕自身にとってはものすごく大きな意味をもった1時間でした。30代半ばにして「こんな自分は嫌だ」と思って、意図的に変わろうとしたことが少しは意味があった気がします。

皆さん本当にありがとうございました。いつか本当に生前葬をやった時には、是非ご参加ください。待ってます。

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※模擬生前葬の全貌が聴きたいという方がいれば、是非アーカイブでどうぞ


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