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2年ぶりのB'z有観客ライブでn回泣いた話。(追記あり)

2019年8月、僕はサマソニで初めて日本人ヘッドライナーを務めるB'zのステージを見るため、ZOZOマリンスタジアムにいました。パンパンに人が入ったアリーナは、新鮮な空気を吸うためには池の鯉のように顔を上に向けないといけないほどでしたが、B'zがステージに登場すると僕は我を忘れて拳を振り上げ、薄い酸素を目一杯吸って大歓声を送りました。

この先2年もB'zの有観客ライブがないなんて、微塵も思っていませんでした。他のミュージシャンのライブも延期、中止の発表が繰り返され、出口の見えない暗く長いトンネルの中にいるようでした。

しかし2021年8月、待ちに待った有観客ライブの開催が発表されます。しかもMr.ChidrenとGLAYとの共演。チケットを手に入れるための紆余曲折は↓を読んでいただくとして…

2021年9月29日、ついにその日がやってきました。家を出ようとしたら、今までそんなことなかったのに冷蔵庫に腰を強打し、タクシーに乗ったら運転手さんが交差点から発進するときに急にドアを開けるという、僕も周りもアタフタした状態でしたが、無事会場の横浜アリーナに到着しました。開演1時間前の午後4時30分。

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(ヨコアリくんと同じ気持ちです。買ってはいないけど)

事前に発券したチケットには整理番号が書かれているのみで、座席は当日わかるシステムです。僕はラストのセブンイレブン先行で当選していたので「会場に入れるだけで幸せ。座席はどこでもいい」と思っていたのですが、座席についてみるとステージの真横、花道から一番近いスタンド席でした。1人で参加したので興奮を誰にも伝えられず「座席ヤバいです。今後コンビニはセブンイレブン以外行きません」とツイッターに嘘の投稿をして気持ちを落ち着けました(セブンイレブンに感謝したのは本当です)。

ちなみに定員1万7000人と言われる横浜アリーナですが、今回の観客は5000人。座席は前後左右ひとつ飛ばしで、となりも後ろも空席でした。

座席に着いたのは開演30分前。ステージ上にはGLAY用の楽器がスタンバイしていて、それを眺めているだけでどんどん時間が過ぎていきました。B'zが最大の目的ではありますが、初めての生GLAYもとても楽しみでした。

GLAYがブレイクした1990年代後半は、オリコンチャートが人気の重要な指標になっていて『REVIEW』というベスト盤が400万枚を超えたときは「おいおい、B'zの300万枚(アルバム『LOOSE』の売り上げ)が霞むやないか」と高校生の僕はやっかんでいました。

しかしやっかんではみるものの、曲を聴けば「うーん、いいねぇ」となるのがGLAYで、『BELOVED』『pure soul』『HEAVY GAUGE』あたりは当時聴き込んでいたし、今回ライブに参加するにあたって2000年以降のシングル曲やライブの定番曲をYouTubeやサブスクで予習し、どんな曲が来ても楽しめるようにスタンバイしていました(この予習が楽しかったりしますよね)。

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(会場内のいたるところに、今回のために設置された消毒剤が)

午後5時25分、場内アナウンスが流れます。感染対策の諸注意が行われた後の「今後の音楽業界、エンターテインメント業界のためにも、ルールを守ってご参加ください…」という言葉に、このイベントが持つ意味、このイベントを開催し成功させるという運営側の覚悟を感じました。

テレビ業界で働くようになって初めて知ったのですが、この開演前のアナウンスは基本「開演5分前」と決められています。だから開演5分前を過ぎてもアナウンスがなければ開演が押す…ということです。こんな豆知識、ここでいらないですよね。いや、午後5時25分にアナウンスがあった時点で「定刻開演か。さすが大人なバンドやな…」と思った、という話です。

(※以下、ネタバレを含みます)

午後5時30分、会場が暗転。声が出せないので大きな拍手が巻き起こります。B'zの新曲『UNITE』のイントロに合わせて、ビジョンの中でCGがうごめきイベントタイトルが出た瞬間に、さらに大きな拍手。いよいよGLAYの登場…と思ったら、ビジョンの中のVTRは続きます。

GLAY、めちゃくちゃふざけるやん。

配信でご覧になる方もいると思うので詳細は触れませんが、高まっていた緊張感が自然とほぐれて、でもGLAYの空気にグッと持っていく素晴らしいVTRでした。

VTRが終わるとメンバーが登場し、始まったのは『サバイバル』。おー20万人ライブのやつ!ちょっとやっかんでた頃の曲!一発でテンションが上がります。その後も90年代後半のヒット曲が連発。僕は高校生のころに戻ったような、不思議な感覚に襲われました。なぜなら、GLAYの4人がめちゃくちゃ若いからです。肉眼で見てもビジョンで見ても、僕が一番聴いていた20年前の印象そのまま、いやそれ以上のパワフルさです。特にJIROさん。あんなに可愛い顔のまま48歳になる人がこの世にいるんですね。

今回のライブで聴きたかった曲のひとつである『pure soul』が演奏され、グッときていたところに、いよいよB'zが登場します。2人ともあの話題のTシャツを着ています(結局買いませんでしたが)。

何の曲を演奏するのか…ドキドキしていたら始まったのが『彼女の”Modern…”』!稲葉さんとTERUさんが交互に歌い、サビは2人で!6人ともめちゃくちゃ楽しそう!ギターソロは3人でリレー!最高!と思ったら泣いていました。1回目。

50代を迎えた人たち(松本さんは60歳)が、心から楽しそうにしている姿を見て「50代になってもこんなにテンションが上がることがあるって素敵やな…」と、めちゃくちゃハードな曲なのにうっすら泣いてしまいました。

あっという間に共演は終わり、GLAYの終盤戦もしっかり楽しんだ僕はすでに前半で大満足。何より轟音のバンドサウンドを体に浴びる幸せが体に染みわたります。

ただ、ひとつだけ問題がありました。左どなりの席の男性の手拍子が裏打ちなのです。わざとなのか、リズム感がよろしくないのか、座席がひとつ飛ばしとはいえ、リズムがグチャグチャになって自分が間違っているのかと勘違いしてしまい、若干集中できません。「左側をなるべく視界に入れるな、俺…」と自分に言い聞かせます。

20分の休憩も、ステージ上にB'z用の楽器がセッティングされていく様子を見ているだけであっという間に過ぎていきました。そして再び場内アナウンス。そう、5分後に再開です。ちなみに、場内アナウンス後にGLAY用のドラムセットを片付けようとした若いスタッフが、チーフみたいな男性に「もうええねん!」みたいなジェスチャーでめちゃくちゃ怒られていました。こんな光景を見られるのも、ステージ横ならでは醍醐味です。自分なら絶対見られたくないですけど。

午後7時過ぎ、突然「喜んで―!!」という声が聞こえてきました。ステージ裏での気合い入れです。B'zのライブに行くようになって25年、初めて生の気合い入れを聞きました。セブンイレブンさん本当にありがとう。この先ローソンもファミマも行くけど、なるべくセブンイレブンに行きます。

場内が暗転し、ついにB'zが登場です。やはり声は出せませんが、会場のボルテージが一段と上がったのがわかります。1曲目は新曲の『UNITE』。ちなみに、GLAYのようなおもしろVTRはありませんでした。まぁB'zがオープニングからふざけているところを見たことないですが。

『UNITE』は声が出せない分、手拍子で一体感が出る曲です。となりの男性もこれだけわかりやすければ…いや、これも裏いってる!怖い!というかそんなことどうでもいい!と我に返り、B'zの生音を味わいます。

2年ぶりです。あーヤバいなー…と感極まりかけていたら、2曲目は『愛のバクダン』。さらに『juice』『IT'S SHOWTIME!!』と、泣く暇も与えてくれない怒涛のセットリストです。稲葉さんが途中で「なんか普段のライブの後半がずっと続いているような…」とぼやいていましたが「選曲したのはあなた達でしょ!」とみんなが思ったはずです。

5曲目は、なんと『恋心』。5年に一度のPleasureでしか聴けないと思っていた曲が、ここできました。振り付けがあってみんなで踊る楽しい曲ですが、僕は踊りながら泣いていました。2回目。これには理由があります。

去年以降、無観客の配信ライブが主流となり、僕はしばらくB'zの有観客ライブが行われることを半ば諦めていました。その時に「2023年の35周年ツアーは開催されて『恋心』をまた踊れたらいいな…」と思っていたのです。

そんな『恋心』が演奏されたもんですから、もうたまりません。周りから見たら青春時代の恋を思い出して泣いているように見えたかもしれませんが、10代の頃はろくに好きな人もいなかったので、そんなことはありえないのです。寂しいですか。ほっといてください。

サプライズはまだ続きます。6曲目は『孤独のRunaway』です。イントロが鳴った瞬間に声をあげてしまいそうになりますが、我慢して飲み込みます。こういう選曲はやめてほしいです(やめてほしくない、という意味の「やめてほしい」です)。

ちなみに『彼女の"Modern…"』の中の「愛を殴って 夢を蹴る」という歌詞は、『孤独のRunaway』の「愛を殴ってみよう 義理を蹴飛ばしてみよう」からインスパイアされたものだそうです。ということはこの日、夢と義理は1回ずつ蹴飛ばされ、愛は2回も殴られていたのです。だから何という話ではありませんが。

その後もタオルが振りまわせないから演奏されないだろうと思っていた『ギリギリchop』が演奏されたり、声が出せないから演奏されないだろうと思っていた『裸足の女神』が演奏されたり、選曲は驚きの連続でした。

ちなみに『ギリギリchop』はイントロで稲葉さんがタオルなしで腕をくるくる回したところから「エアタオル回し」が始まり、会場中に不思議な光景が広がっていました。

ライブの後半になると、となりの男性の存在は忘れていたのですが、ふと見たら間奏のギターソロでめちゃくちゃエアギターをしていました。たぶんサポートギタリストの大賀さんより弾いていたと思います。いらないですね、この男性の情報。もうやめます。

2017年から2018年にかけて、声の調子が良くないときもあった稲葉さんですが、この日は絶好調。57歳という年齢の概念がぐにゃぐにゃにゆがみます。そして松本さんのギターの音もぶっとく、イヤホンやスピーカーからでは絶対に味わえない音圧を全身で受け止めます。

GLAYとの共演は『ultra soul』でした。あっちでは稲葉さんとTERUさんが、こっちでは松本さんとTAKUROさんとHISASHIさんが…と、ステージ上に見どころが多すぎて、追いきれません。配信するときは、なんとかしてマルチアングルで見せてほしいと切に願います。

ライブの終盤、稲葉さんから改めてこのイベントの意義が語られました。

「このライブが、ロックコンサートの次のステージの礎となるように…」

礎という表現は使ってなかったと思いますが、そのようなことを丁寧に話されました。音楽業界の再スタートを自分たちが切るのだ、という覚悟を改めて感じるMCでした。泣きました。3回目。

いよいよ最後の曲です。松本さんがアルペジオで弾きだした瞬間『兵、走る』かな…と思ったのですが、始まったのは『さよならなんかは言わせない』でした。もう号泣です。4回目。また絶対ライブをやるんだというメッセージが込められた(と思われる)この曲は、涙が止まりませんでした。

曲が終わると、再びGLAYの4人をステージに呼び込んで記念撮影。6人ともやっぱりめちゃくちゃ楽しそうです。GLAYのメンバーがステージを降りたあと、稲葉さんはいつもの言葉でライブを締めくくりました。

「また絶対会いましょう!」

もうすっかりいい大人なのに、この言葉を聞くたびに「2人との約束を果たすために、次のライブまで絶対生き抜いてやる」と心から思えます。そう思えるだけのパワーがB'zのライブにはある、そう思います。

オリンピックのメダリストみたいなことを言いますが、関係者の皆さん、このライブを開催していただき本当にありがとうございました。最高でした。

イベントタイトルの『UNITE(団結)』は、最初ミュージシャン同士の団結を指しているのだと思っていましたが、ミュージシャンと観客の団結、観客同士の団結、そして会場には来れなかったファンの方々の団結、全てが含まれているなと感じました。今回のライブが第2回へと繋がることを願っています。

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(ワクチン2回接種の証明書を見せたらもらえたステッカー)

さて、ライブに参加できた方もこれを読まれてるかもしれませんが、様々な事情でライブに参加できなかったのにも関わらずこの長い記事をここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございました。絶対いいことあります。保証します。そのいいことが、次のライブに参加できることであるように、心から祈っています。

ちなみにこの日の夕飯は、帰りにセブンイレブンで買ったオムライスでした。美味しかったです。

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【以下、2021年10月16日追記】

ライブから2週間後に、ライブ全編が配信されました。かつてはライブが終わってからパッケージ化されるまで数か月はかかっていたので、信じられないことです。昔、ライブが終わった直後に「それなりの額は払うから、今日のライブの映像を売ってほしい!」とツイッターに書いたことがありましたが、それがまさに現実になっているのです。

ワクワクしながら映像を再生したのですが、最初僕はGALYのライブに集中できませんでした。その理由は、僕がちょいちょい映像に映っていたからです。舞台下手のスタンド最前列(低い方ではなく、壁の上)に白いTシャツで小太りの僕が映っていました。GLAYの時は周りが座っていたので余計に視認しやすくて、最初はスタンドが映るたびに「お、今のカットは映ってた?」と気になってなかなか集中できませんでした。(一応書いておくと、左隣の男性の裏打ちは認識できませんでした)

しばらくすると自分が映っているかなんてどうでもよくなり、前半最大の見どころである『彼女の”Modern…”』まできました。そこで稲葉さんはGLAYの曲を歌い倒し、フェイクもガンガンに決めて、最後に大ジャンプまで決めたのに、歌い終わった後の一言が小声で「失礼しました…」だったところが稲葉さんらしくて好きだなぁと思いました。ちなみに、歌う前に曲名を言う前の一言も「失礼します」でした。どれだけ謙虚なんでしょう。そして配信でも6人の楽しそうな姿を見ていると泣いてしまいました。5回目。

『恋心』では踊っている僕の後ろ姿がチラッと映っていたのですが、後ろ姿だったので”泣きながら踊っている変な奴”は認識できなかったです。映っていたら映像の邪魔になったと思うので、顔が映っていなくて良かったです。

全曲感想は書けるのですが、配信を見ている方も多いと思うので割愛します。ただ『さよならなんかは言わせない』の最初のギターは、改めて聴くと『兵、走る』なわけがなかったのですが、現場では脳の処理が追い付かないくらい予想外の選曲だったんだと思います。そしてやっぱりあのあたたかいメロディとメッセージ性の強い歌詞に涙が出ました。6回目。

配信ライブの利点は、スマホで再生できるので移動中でもイヤホンで聴けることです。そこで改めて思ったは「稲葉さん歌うまっ!」「松本さんギターうまっ!」という、当たり前のようだけどとても尊いことでした。きっと2人のたゆまぬ努力の結晶なのだと思います。デビューから33年経っても新曲にワクワクして、最新のライブが最高と思えるなんて、本当に幸せです。B'zのライブを観ると生きる活力をもらえるとともに、背筋が伸びます。

ライブ開催決定から2カ月半、怒涛の日々でした。大きな声援を送りながら参加するライブが早く開催できることを願いながら、6000文字を超えてしまったこの投稿を終えようと思います。ちなみにタイトルにあった「n」は「n=6」が正解でした。ありがとうございました。

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