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特番放送前夜。(放送翌日の追記あり)

今回は酒も飲めない僕が、特番放送前夜に素面で弱音を書き綴るだけのnoteです。気分じゃない方は楽しい記事を探すか、トップに固定している夢精の記事をお楽しみください。


明日(9月26日)夜『里帰り代行します!』という特番が放送されます。5月に第1弾が放送されて、その第2弾です。前回は日曜午後に1時間の放送で、TBSとMBSの2局ネット(流れるのは関東と関西だけ)でしたが、今回はMBS/TBS系全国ネットのゴールデン2時間です。

僕は総合演出として企画立案から仕上げまですべてに携わりました。先ほど(9月25日夜)搬入が終わり、あとは放送を待つのみという状況です。自分の作った番組がどんな風に受け入れられるのか、楽しみでありワクワクもします。

でも一番の気持ちは「怖い」です。

日曜夜のこの時間は、普段『日曜劇場』と『初耳学』が放送されています。ドラマの放送がない期末期首は2時間の特番が放送されることがありますが、MBSとしては『初耳学』がセットされるのが普通です。

でも今回『里帰り代行します!』が放送されるということは、「今回は『里帰り代行します!』を放送するべきです」と推してくれた人と、それを了承してくれた人が社内外にいるということです。

番組のセールスも、レギュラー番組である『初耳学』の方がきっとスムーズでしょう。でも番組が放送にこぎつけたということは、過去に一度しか放送したことがない番組を売ってくれた人たち、買ってくれた人たちがいるということです。

そして、番組制作に携わってくれた制作チームの存在。上京後に知り合い、これまで3年間色々な成功と失敗を重ねながらやってきたチームです。徐々に信頼できる仲間が増えていき、今回は大阪時代の戦友ともいえるディレクター陣にも加わってもらい、これまでで一番の布陣で収録に臨めました。もちろん編集マンや音効さんなど、制作以外の人たちも力強いメンバーです。

番組内容も、僕が大阪で培った「街の方だからこそ出る面白味」と、全国ネットならでは豪華な出演者との化学反応がそこかしこで起こり、今の自分だからこそ作れた番組であるという自負もあります。

ただ、そんな色々な人たちと一緒になって完成に至った番組も、視聴率が悪ければ木っ端みじんになります。それが怖いのです。

テレビ番組は、テレビ局にとって商品です。誰がどんな思い入れで作ろうが、基本的に商品は売れなければいけません。それは仕方ないことだと思っています。

気づけば41歳になりました。「全国ネットのゴールデン任せてもらえた!ひゃっほー!」という時期はとうに過ぎています。「全国ネットの番組をヒットさせないと、東京で働いている意味がない」とはもう思っていません。でも「あと何回、総合演出としてフルスイングできるんかな…」という思いは常にあります。

モノを作って売るというのは、社会人としては当たり前にやるべきことのひとつで、何をグダグダ言ってんだと自分でも思いますが、誰かを誘ってワーワー騒いで天命を待つということもできない時期なので、ここで吐露させてもらいました。

なお、この投稿は視聴率が悪ければ自動的に消去されます。ご静聴ありがとうございました。


【以下、放送翌日(9月27日)追記】

結果からいうと、視聴率はよくなかったです。でもこの投稿は消去しないことにしました。なぜなら「この番組を木っ端みじんにしてはいけない」と思ってくれた人たちがたくさんいたからです。

視聴率が悪いと、心を込めて作った番組が一瞬「ダメな番組」に思えてしまいます。正直、心が1回折れます。「何がダメだったのだろう」と、悪かったところを探してしまいます。

今回もそうでした。でも番組関係者だけでなく、たくさんの方から前向きな感想をいただきました。何度かちょっと泣きそうになりました。この番組にしかないものを改めて確認していくと「やっぱりこのままで終わらせてはいけない」という気持ちがムクムクと立ち上がってきました。

日々テレビマンは数字に一喜一憂していて、僕が書いた内容なんて日常茶飯事です。何も特別なことではありません。でもヒット番組を手掛ける演出家たちの裏には、こんな風にジメジメしたりモヤモヤしたりしながら日々番組を作る人たちもいることを知っていただけたら幸いです。(もちろん、ヒット番組にはヒット番組の苦労があり、その方が楽だと言ってるわけではありません)

「数字が悪ければ木っ端みじん」なんて考えは捨てました。第3弾があるかは今のところ全くわかりませんが、あがけるだけあがいてやろうと思います。

この投稿がいつかいい思い出になりますように。改めてご清聴、ありがとうございました。