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三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常16「ある占い師との思い出④ 終わり」
マリネ先生の占いが終わった。
マリネ先生の食事の用意が、いま座っている席とはまったく違うカウンターに置かれた。
私が占いに呼ばれた。
こんな最低な気分は久しぶりだった。
マリネ先生の占いが終わるとき、占いの先生はマリネ先生の背中に手を入れ、マリネ先生の片手を水晶玉のようなものの上に置き、そのうえに占いの先生の手をのせて…なにやらスピリチュアルな施術のようなことをしていた。
それが意味するも
三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常15「ある占い師との思い出③」
マリネ先生と私は、近くの喫茶店に入って待機することにした。喫茶店に行く前に、喫茶店に入るのもなんだかお金がもったいない気がしたが…マリネ先生がおごってくださるという。
駅の脇にチェーン店のおいしいコーヒーの店があったので、そこに入った。そこで私はマリネ先生から、今回の喫茶店についていくつかのことを聞くことができた。
このお店での占いは無料で…ただ、食事か飲み物と一品を頼むというルールがあった。
三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常14「ある占い師との思い出②」
マリネ先生の鑑定が終わったのは、午後3時頃だった。
「着替えるから待っててね」と言われ、
播磨坂の桜並木にたたずんで待っていた。
5月はもう終わり。
梅雨入り前のつかの間のさわやかな日を味わっておこうと思った。
桜の葉も濃くなってきた。
私は、この夏に向かう桜並木もすごく好きであった。
樹木の花粉の香りがただよう。
しばらく忘れていた、
青臭い女性への気恥ずかしい自意識を思い出していた。
小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~【現地日記下書きメモ編①:1月23日土曜日~】
引っ越しのときに、捨ててしまったと思っていたはずの、
「香港旅行」の日記の下書きというか…絵日記が出てきた。
すでに、作品として書き出しているので、
内容は重複というか…同じ内容なのだが、
当時私の習慣に絵日記をつけることがあって
(いまはすっかりやめてしまったが)ホテルの部屋で、
スケッチをしたり、その日を振り返って鉛筆で書きつけたりしていたのだった。
発見していちばんうれしかったことは、「
三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常13「ある占い師との思い出①」
茗荷谷鑑定研究所のマリネ先生のセッションを受けに行った。
土曜日の午後、恒例の給料日後の週末のごほうび鑑定だった。
今日のテーマは「両親、実家への埋もれていた憎しみの感情」についてだった。
ガイドからのメッセージや、マリネ先生のアドバイスが胸にしみた。
「いろいろな取り組みの努力は認めていますが、
やはり、自分を嫌いであるという本当の感情に気づくことをしないままでは、真に自分を好きになり、受
とーます模話のこざこざシリーズ 10「ざせつといえる最初のざせつのこと①【悪魔との出会い】」
初めての就職。
大卒後に入ったルートセールスの会社だ。
小さい会社だったが…親会社は名の通った会社だった。
就活では名前の知れた、興味を持った会社をかたっぱしから受けた。
企業研究などといっても…まだ40年前は体制もいまのように行き届いてはいない。
先輩を頼って、就職セミナーもどきだとか、知りもしない癖に知ったかぶりをするなんだかよくわからない講習会のようなものに行ったこともある。
就活を紹
しゅうかつロック、ボクにも言わせて 「第64回 ロック対談_だぶる模話模話模話〈サッカリン 洋楽 Rock 解説 弾いてみたチャンネルの素晴らしい解説をたたえよう①〉~~」
模話1「久しぶりだね」
模話2「東京に戻ったそうだね」
模話1「おう。あたぼうよ」
模話2「あたぼうってなんの略か知ってっか?」
模話1「あたりめえでえ、べらぼうめ」
模話2「正解(笑)。なんか東京らしいとこに行きましたか?」
模話1「三社祭だったり、千束稲荷の祭だったりしたね。樋口一葉先生ゆかりの千束稲荷のお祭を見に行ったよ」
模話2「どうだった?」
模話1「地元のためのお祭だか
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1〈終〉~初めてのステージに立ってみよう⑱【人生初ステージ8】~」
やっちまった…。
ユキオは、速弾きのリフが成功したと思ったとたんになぜか意識が飛んだ。
ラストのギターソロの終わりの部分が弾けずになんとかごまかした。
演奏が止まるようなミスではなかったが…多少動揺した。
気を取り直してラストのソロはうまく弾けた。
客席はあまり気にしてないように盛り上がってくれたのはうれしかった。
最後はFのドラムにSとユキオだけでサマータイムブルースをやる。
ソロはコー
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑰【人生初ステージ7】~」
司会進行の女子に呼ばれてユキオはステージに向かった。
リハーサルなしのため、素早くアンプとギターにシールドを差し込み、床においてあるチューナーで改めてチューニングをした。
Fたちのバンドが終わったばかりで、客席もまだ騒がしかった。
かなり受けていた印象がユキオに多少の緊張をもたらしたが、いざステージに立ってみると、思ったほど舞い上がった状態にはなっていなかったことは意外の感じがあった。
やるこ
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑯【人生初ステージ6】~」
Fたちのバンドのオリジナル曲が始まった。
イカ天に出ようぜ
下北沢に住んで
国分寺の古着屋で買った
サイケな服を着よう
イカ天に出ようぜ
テレビに映ろう
ギターを買おう
プロになって本に出よう
イカ天出るぞ
イカ天出るぞ
いまからおれたち
ロックンロールスター
Fの同窓生たちにはかなり受けていた。
嫉妬がわかないわけでもなかったユキオだが…
こういうやり方があったのかという驚きと同時に…
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑮【人生初ステージ5】~」
ユキオはFに引っ張られるようにして客席のいちばん後ろに行った。
ステージに出るメンバーがかたまって座っている。
さっき楽屋で穏やかに話していたWもYも興奮しているのか…殺気だっている雰囲気に変わっている。
たぶんいまのユキオもそんなふうに他人から映っているのかもしれなかったが…。
女子バンドが始まった。
忌野清志郎が替え歌にしたデイドリームビリーバーだった。
Fは大喜び。
Fのいいところだ
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑭【人生初ステージ4】~」
「S、なんでひとり?」
「精神統一?イメトレって感じすかね…」
「おまえ、緊張しないのか?」
「あんまりしませんかね?」
「他人事か?さっきビデオカメラでパーティ会場を撮影しながらで調子づいてたよな。余裕あるんだなと思ったよ」
「コグレさんはこういうとき緊張するんすか?」
「うん。昔卓球部の試合でも緊張して実力を出せない感じありさ。重圧に強くはないかな」
「おれ、運動部入ったことないんでわ
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑬【人生初ステージ3】~」
パーティが始まった。
ユキオは楽屋にとどまっていた。
始まる前には、SやK、Dたちもやってきて、緊張のせいなのか…やたら饒舌だったり、ビッグマウスだったり、はったりめいた言動でうるさかった。
さすがにユキオは25歳をこえていたこともあり、
そんなふうには振る舞わなかったものの…
やはり、ステージの前の雰囲気にのまれていたといってよい。
チューニングを繰り返し、使用するピックをカラーテープを
【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」
楽屋は静かでよかった。
WくんもYくんも性格がよく、ギターを見せてもらったり、ユキオのギターを見せたりした。
絵にかいたようなバンドの青春の思い出になりそうなたのしい時間だった。
Fがやってきた。
また握手を求めてきたので、断った。
一言いってやりたかったので、控えめに言った。
「調子よすぎるだろ。2回しか練習に来なかったくせに」
「相変わらずきびしいっすね…これ、パーティのプログラムな