とーます模話

自分の人生はすべてがわざとらしく作り上げたものだった。60歳を過ぎて、いまさら本当の自…

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自分の人生はすべてがわざとらしく作り上げたものだった。60歳を過ぎて、いまさら本当の自分をなんとか取り戻そうとしている。なんてひどい人生を送ってきたものだろうか。60年の嘘の人生を取り出して、いま確かめる作業に入った。無駄にしないためには、取り出して書く以外、方法はない。

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  • とーます模話少年小説

    少年期の思い出をもとに、書きました。

  • とーます模話 小説作品集

    自分の中の煙を吐き出し、取り出してみてみる。そして、それがどんなものであるかを確かめたい。いつの日か、何もかもありのままで自分を受け入れる時がくると信じたい。

  • 【少年・青年小説 食シリーズ】

    思春期、青年期の食への飽くなき探求の日々…なんちゃって

  • 還暦ロックにしゅうかつロックシリーズ

    還暦だってロック。しゅうかつだろうがロック。失われていくロック世代のだんまつま。なこたないさ。ボクにも言わせて、死ぬ前にみんなで語らいましょう。六十代だってうぇいすとらんどさ~。

  • ボクにも言わせて…「スポーツを語ろう」

    〇〇前に記憶にあるスポーツのすばらしさを語ろう

最近の記事

【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑯【人生初ステージ6】~」

Fたちのバンドのオリジナル曲が始まった。 イカ天に出ようぜ 下北沢に住んで 国分寺の古着屋で買った サイケな服を着よう イカ天に出ようぜ テレビに映ろう ギターを買おう プロになって本に出よう イカ天出るぞ イカ天出るぞ いまからおれたち ロックンロールスター Fの同窓生たちにはかなり受けていた。 嫉妬がわかないわけでもなかったユキオだが… こういうやり方があったのかという驚きと同時に… 「おれがやりたいのは 誰かにきかせる音楽じゃなくて 自分が聴きたい音を入れ込ん

    • 【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑮【人生初ステージ5】~」

      ユキオはFに引っ張られるようにして客席のいちばん後ろに行った。 ステージに出るメンバーがかたまって座っている。 さっき楽屋で穏やかに話していたWもYも興奮しているのか…殺気だっている雰囲気に変わっている。 たぶんいまのユキオもそんなふうに他人から映っているのかもしれなかったが…。 女子バンドが始まった。 忌野清志郎が替え歌にしたデイドリームビリーバーだった。 Fは大喜び。 Fのいいところだ。 気に入ると簡単に態度をかえて湧き上がる感情と同化できる。 しきりに「い~

      • 【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑭【人生初ステージ4】~」

        「S、なんでひとり?」 「精神統一?イメトレって感じすかね…」 「おまえ、緊張しないのか?」 「あんまりしませんかね?」 「他人事か?さっきビデオカメラでパーティ会場を撮影しながらで調子づいてたよな。余裕あるんだなと思ったよ」 「コグレさんはこういうとき緊張するんすか?」 「うん。昔卓球部の試合でも緊張して実力を出せない感じありさ。重圧に強くはないかな」 「おれ、運動部入ったことないんでわかんないす」 「何部?」 「ママとフラメンコギターやったり、ボランティア活動とか

        • 【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑬【人生初ステージ3】~」

          パーティが始まった。 ユキオは楽屋にとどまっていた。 始まる前には、SやK、Dたちもやってきて、緊張のせいなのか…やたら饒舌だったり、ビッグマウスだったり、はったりめいた言動でうるさかった。 さすがにユキオは25歳をこえていたこともあり、 そんなふうには振る舞わなかったものの… やはり、ステージの前の雰囲気にのまれていたといってよい。 チューニングを繰り返し、使用するピックをカラーテープを使ってピックガードに取り付けたり、イメージトレーニングをしたりしていたが、 パー

        【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑯【人生初ステージ6】~」

        • 【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑮【人生初ステージ5】~」

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        • とーます模話少年小説
          47本
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        • 【少年・青年小説 食シリーズ】
          4本
        • 還暦ロックにしゅうかつロックシリーズ
          78本
        • ボクにも言わせて…「スポーツを語ろう」
          8本
        • しゅうかつ新シリーズ~「日本の食文化の裏表を語ろう対談」
          3本

        記事

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」

          楽屋は静かでよかった。 WくんもYくんも性格がよく、ギターを見せてもらったり、ユキオのギターを見せたりした。 絵にかいたようなバンドの青春の思い出になりそうなたのしい時間だった。 Fがやってきた。 また握手を求めてきたので、断った。 一言いってやりたかったので、控えめに言った。 「調子よすぎるだろ。2回しか練習に来なかったくせに」 「相変わらずきびしいっすね…これ、パーティのプログラムなんで、どうぞ」 「おまえがつくったの?」 「ええ、コピーとかアイデアはおれです」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」

          小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~「深夜、深水埗のホテルに着いた」

          #創作大賞2024  香港に行くとそこかしこに「小心地滑」と書かれている。もちろん「小心者だと地滑りします」という意味ではない。小心は注意=cautionの意味で「地滑り注意」ということである。わかってはいるが「小心地滑」の看板等を見るにつけ――「あなた小心な人ね」と言われているようで、なんだかいやな感じがしたものだ。  今回の旅行はまさに日本出身の自分のスケールが小さいかという部分との邂逅でもあった。というわけで「小心地滑日記」のタイトルはここからとった。中国語的につける

          小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~「深夜、深水埗のホテルに着いた」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑪【人生初ステージ1】~」

          桜台という駅近くにあるライブハウスに向かう。 今日は人生初のロックバンドでのステージだ。 12月のクリスマスイブの日だった。 この日はクリスマスパーティということで、 Fたちの同窓生たちを中心にイベントが企画されていた。 ユキオはらち外なので、イベント全部に参加するつもりはなかった。 とはいえ、初ライブということで…何人か知人友人を呼んでいる手前、 客席に声をかけないわけにもいかない。 ライブハウスに17時すぎにについた。 イベントはもう1時間以内に始まる。 ライ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑪【人生初ステージ1】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑩【明日は人生初ステージ2】~」

          バンド内の軋轢とフラストレーションによる緊張でスタジオはひりひりしていた。 Fがいきなりカモンエブリバディのイントロをひきだした。 ユキオはスクラッチノイズをゆっくり弾きながらドラムのKに目配せする。 あわててKがたたきだした。 ジャカジャーンとコードが鳴る。 ベースが拳のようなリズムを刻みユキオの線の細い、神経質だがバックビートを利かせたリズムギターにせっかちな余裕のないドラムが重なる。 Sの陽気な声質のボーカルが入ってくる。 うまい。急造バンドとは思えないスピー

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑩【明日は人生初ステージ2】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑨【明日は人生初ステージ1】~」

          いよいよ明日がライブの日だ。 今夜、Sの住む街のスタジオでバンド練習がある。 Sが夕刊配達を終え、ユキオがマンガ編集のバイトが終わった後、午後7時からの二時間。 バイト先にギターを持ってきたのでそのまま水道橋に出て、高円寺駅に向かった。 ユキオが上京したての頃、野方のアパートからよく高円寺まで自転車で行ったものだ。 もう5年以上がたち、ずいぶん街も変わったようだった。 貸本やはなくなっていた。 はっぴいえんどのファーストアルバムの林静一さんのイラストに書かれている製

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑨【明日は人生初ステージ1】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑧【人生初ステージまであと1か月2⃣】~」

          Sが戻ってきた。 また通しで練習していた1曲目「カモンエブリバディ」だった。 止めるのが嫌なのでそのままひき続けた。 様子を察してSが加わる。 休んだせいか元気にはなっている。 Fがすっぽかすと同様にプラスDとKの計3人が来なくなり、Sとユキオでスタジオ代金を3回折半することがあって…さすがにぶちきれた。 Sは新聞配達をしているので、忙しいなか時間を割いて練習にきている。 しかも他の人間は自宅だ。 自活してるSの負担はバカにならない。 もちろん3人には後で代金を

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑧【人生初ステージまであと1か月2⃣】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑦【人生初ステージまであと1か月1⃣】~」

          「S、じゃあ、最初から4曲通しでもう一度ね」 「コグレさん、またですか?」 「あと、1時間しかないからさ…」 「休憩しましょうよ…」 「まだ1時間やってないじゃん」 「そんなに練習しなくてもいいんじゃないですか?」 「そうか…じゃあ、休憩して来いよ。気が済むまで休んだら戻ってきて通しでやれるだけやるからな」 「じゃあ、ちょっと電話してきます」 ユキオはひとりだけで初ステージの4曲を通して演奏し始めた。 1曲目 カモンエブリバディ 2曲目 ロマンチスト 3曲目 ドカドカ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑦【人生初ステージまであと1か月1⃣】~」

          【少年・青年小説 食シリーズ】「東京に食べるためにやってきた④~中野ブロードウェイ地下街、野方商店街編①~」

          上京して1か月以上が過ぎた。 ユキオはゴールデンウイーク期間中は予備校も休みだったこともあるが、 中野の街や野方や沼袋などを自転車で走り回ってまちの探索にいそしんでいた。 ユキオが驚いたのは中野のブロードウェイという場所であった。 ここにはあらゆる飲食店や販売店が入っていて、毎日が縁日のようだった。 特に地下のフロアが衝撃的だった。 広いゲームセンターにインベーダーゲームやギャラクシアンなどの古いゲームが20円だった。 5回できるのか。 興奮した。 さらに、地下フ

          【少年・青年小説 食シリーズ】「東京に食べるためにやってきた④~中野ブロードウェイ地下街、野方商店街編①~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑥【ヒデキ師匠登場②】~」

          「ユキオ、コーヒー飲むか?」 ヒデキはネルドリップで出してくれる。 それが喫茶店よりうまい。 ヒデキは喫茶店でも成功するだろうと確信した。 「うまいっすね。何をやってもいいのつくるよね。ヒデキさんは」 「ユキオ、そういうけど、コグレの血筋だからわかると思うがさ…この職人気質というよりは事務員気質がパラノイア的にくるったように入り込むってのか…いやんなるよな。こんな性分が」 わからないこともないが、ヒデキのお父さん、ユキオのおじさんやうちのおやじ、じいさんのコレクター

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑥【ヒデキ師匠登場②】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑤【ヒデキ師匠登場1】~」

          ユキオにはロックやギターの師匠にあたる人間が何人かいた。 ヒデキはいとこで5歳年上。 元プロギタリストで今は公認会計士をやっている。 若いが事務所を構えていて、ユキオにはやり手に映っていた。 名の知れたロック歌手のバックバンドのギタリストとしてロサンゼルスで録音経験があり、西武球場でセッションギタリストとして演奏経験もある。 しかし、そういうことを一切自慢話にしないところがヒデキのすごいところだった。 彼は東京郊外に事務所を構えつつ、自宅をその近くに建てていた。 ユ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑤【ヒデキ師匠登場1】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう④~」

          Fがハイテンションで入ってきた。 1時間以上の遅刻だ。 残り1時間足らず。 「コグレさん、ステージ成功させましょうね!」 臆面もなく、握手を求めてきた。 この手の握手を求めてくる奴にロクなやつはいない。 手を蹴飛ばそうと思ったが、まあ、仕方なく握手に応じた。 Fはメンバーに陽気に、かつ強気に遅刻をわびる様子もなく、 軽口をかわしながら、一人ずつに声をかけている。 要領のいい、「うまい男」なのだな。 メンバーからは、遅刻の件をぶつくさ言われつつも、 なんだか仲が良さ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう④~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう③~」

          サマータイムブルースが始まった。 Sは、いちおうサマータイムブルースを覚えてきたような感じだったが、 ドラムのKがその曲を知らないようだった。 「Kくんさ、サマータイムブルースはできないかな?」 「ええ、ちょっとまだ、準備してないんで」 「じゃあ、4曲の中でできるのはあるの?」 「全部できますけど、いまはわからないです」 日本語がよく通じない感じだった。 めんどくさいので、カモンエブリバディならなんとかエイトビートをたたいてもらえればできそうだから、ユキオはカモンエ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう③~」