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都道府県別一時停止率(JAF調べ)に思うこと

みなさんは、車を運転しているとき、信号機のない横断歩道に歩行者がわたろうとしていたら一時停止されているでしょうか。
と言うより、そんな道路交通法があることをご存知でしょうか。
前も書いた記憶があるのですが、大阪の車はまったく止まろうとしません。この数年は止まった車を見たことがありません。大阪の自動車教習所では、この法律を教えていないのではないかと思うほどです。
あるいは大阪だけ法律が違うのかな。

しかしながら、大阪市のすぐ西隣の兵庫県尼崎市に入ると突如として止まるようになります。実際に月に1回は遭遇しています。
尼崎市へは用事で月に数回行きますが、ボクは大阪市に住んでいますので、信号機のない横断歩道を歩行する機会は大阪の方が圧倒的に多いのです。
片や毎日すごしていて数年に1回、片や月に数回なのに月に1回。確率的には数十倍以上の開きがあります。

この違いは何なのか。府・県民性が違うのか。
県民性と言っても、ヒョーゴスラビアと言われているほど兵庫県はバラバラすぎて、大阪と比べにくいですし、尼崎市はむしろ最も大阪の引力を受けている街です。
神戸から大阪へ向かっていくと、明らかに街並みが変わるのは西宮市(兵庫県)を過ぎて尼崎市に入ったあたりからです。
それに尼崎市だけ市外局番が大阪市と同じ06です。

そんな大阪に片足を半分以上突っ込んでいる街なのに、一時停止する車の割合が圧倒的に違うのです。本当に不思議な現象です。

ボクはそんな疑問を放置できないタチなので、もちろん調べてみました。
するとボクが欲しい情報にかなり近い調査がありました。
都道府県別の一時停止率です。2022年のJAF調べです。
それによると、まず上位3県です。
1位:長野県 82.9%
2位:兵庫県 64.7%
3位:山梨県 64.6%
おー兵庫県、入ってますなあ。以下、静岡熊本岐阜青森島根福島と続きます。
比較的山の多い県が上位な感じです。

そして下位3県です。
1位:沖縄県 20.9%
2位:和歌山県 22.5%
3位:京都府 23.5%
そして佐賀北海道新潟香川茨城大阪となっていました。大阪はワースト9位で、26.4%でした。
平坦、もしくは海寄りの県が多いようです。
ここに出ていない他の関西圏の奈良滋賀も30%程度で下位に沈んでいました。なぜか兵庫65%だけが関西で突出しています。

ただ順位として兵庫と大阪が離れているのは納得できるとして、大阪の一時停止率が26.4%? 4台に1台以上? そんなには止まりません。
感覚としては、0.264%くらいです。千台に3台くらい。

よくよく調査内容を見ると、これはなかなか緻密な調査でした。
制限速度や交通量、道路幅など道路の特徴をだいたい同じ条件の場所で統一しています。それを各都道府県2箇所を選び、歩行者は決められたタイミングで50回ずつ横断しているのです。
なかなかたいしたものです。実験系エンジニアだったボクも舌を巻いてしまいました。
JAFさん、1円にもならないのに、やるなあ。

しかし気になるのは、各都道府県に2箇所ずつ(調査場所は非公表)というところです。
どんなに地域が広くても、たったの2箇所です。
その場所の背景に引きずられそうです。関西で兵庫県だけ突出しているのと、長野県だけ数値が極めて高いのは、2つの調査箇所に偶然の何かがあるかもしれません。
標識やゼブラゾーンが見えやすいとか。警察署が近いとか。

大阪の場合、ボクの感覚とかけ離れ過ぎているので、お行儀の良い地域で調査が行われた疑いを持っています。
ちなみにJAFの大阪支部は茨木市にあります。ここはかなり裕福な土地柄です。
「えーとこに住んでまんな」と言われるような市と言えます。
ここで調査していたのなら、大阪は相当な下駄を履いていることになります。それでも全国ワースト9位ですが。

しかも調査時間帯は平日10時〜16時です。営業車のプロボックスなどが必死に走っている時間帯ではなく、有閑マダムが高級車を転がしている時間帯です。
あるいは配達の時間帯です。配達車は交通ルールを守りがちです。違反すると死活問題になるからです。

あと、調査にあたった歩行者はJAF職員がされていることも気になる点です。
もしJAFの制服を着たまま実施していたら、数値を引き上げるでしょう。
あのオレンジ系の服は、消防関連から警察を連想しかねませんし、そもそも目に付きやすいでしょう。
服装に関してはどこにも記述がないので何とも言えませんが。

正確に調査しようとすれば、スマホのGPSデータを拾うのがいいかもしれません。
今時の渋滞情報はすべてスマホを追跡しています。似たようなものだから、調べるのは難しくないでしょう。
歩行者か自転車か自動車かくらいなら判別可能です。そしてそれらが、横断歩道において、どう止まったのか。その相互関係はどうなっていたのか、それほど難しいアルゴリズムでもないように思えます。
場所別、曜日別、時間帯別など、たちどころにわかるでしょう。
JAF職員がてくてく歩かなくても。
データをGoogleなどから貰う手続きが一番難しいでしょうね。

それにしても、この手の調査ものとしては、超マトモでした。
調査が2箇所である以外、致命的なツッコミどころがありません。
大抵はダメダメ調査なのに。
ボクにかかれば、科学雑誌「Nature」に載るような世界的研究結果でも切り刻んでやるのに。(そんな記事を書きましたがいちいちリンクは貼りません)

ちなみに、もしツッコミどころが多かったら、こんな調査は大抵意図を持ってリードしようとしているのだ、だから見る側の目を磨くのだ、という論理展開にするつもりでした。
古いけど「社会調査のウソ」(文春新書)という本を紹介して、データリテラシーやリサーチリテラシーは大切なのだ、そしてChat-GPTは間違う可能性があるから、常に眉に唾しておくのだ、などと書くつもりでした。
しかし予定が狂いました。

そしてオチですが、よく「国別のS◯◯回数比較などで、日本は最下位、1位の◯◯国は週◯◯回!」などの調査があるけど、単にその国の連中はアンケートで聞かれたら嘘をつくか、ふざけて盛っている奴が多いからだ、日本人は正直に答えるのだ、という内容を書いてオチとして落とすつもりでした。

真面目に書き進めたと思わせ、最後は下ネタへ落としながら記事を締めようとしていたのに。
突っ込ませず(悪路スタック)、
落とさせず(落輪)、
閉めさせないのか(インキー)。
JAFだけに。
うーうまくない。それではまた。


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