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脳の掃除はアウターを売ることから始めよ

勘の良い人ならタイトルだけで内容が予想できるでしょうけど、勘の悪い人のために続けます。この言い草はホントやめたほうがいいだろうな。

15年くらい前、ハイブランドではないけど、そこそこのブランドのアウターを買いました。当時そのアパレル会社の株を持っていて、その株主優待セールでも18万くらいでした。
かっこいい黒のコートでした。ウサギのファーが首周りにあって、ゴージャスかつ上品なコートでした。
ただサイズがSとLしかなかったので、かなり迷いました。
Sはぴったりすぎで、中に肩の張るジャケットを着れば窮屈そうです。Lではやや大きい感じで、Mがおそらく最もフィットすると思われたのです。
しかし株主優待セールなので、取り寄せなどできません。
迷った挙句、Lを買ったのでした。

ボクの身長は176cm、日本人としてはやや高いほうの部類に入ります。
なので長らく自分のサイズはLという感覚がありました。
厳密には日本サイズでMとLの境目です。
しかし、この身長は国際基準ではSなのです。
当時はそれを明確に理解していませんでした。そして世の中には日本サイズと国際サイズが混在していることもよくわかっていませんでした(今も混在してます)。
しかも当時は2000年代に入ったばかりで、ちょっと大きめ、ゆったりめがかっこよかったとされる1990年代の空気を、ボクはまだ引きずっていたのです。

要するに、2サイズ大きいコートを買ってしまったということです。
さすがに大きすぎるので、次第に着ることがなくなっていきました。

そして2年後くらいに、また同じブランドで今度は10万くらいのブルゾンを買いました。サイズはMでした。
まだ自分が国際基準でSという認識がなかったのでしょう。
やはりその後、着るたびに少し大きいかなという違和感があって、次第に着なくなっていったのです。

ちなみに持っていたアパレル会社の株は、ユニクロを持つ会社に買い取られて完全子会社となってしまい、株主優待セールがなくなっていたのでした。
柳井め。なんてことをしてくれたのだ。

そんなこんなで、着なくなったアウター2着がクローゼットの隅に10年ほど眠ることになったのです。
ごくたまに近所に出かける時に着る程度でした。
定価で合計30万を超えています。
高級外車を買ったけど、コンビニにしか乗って行かないようなものです。
違うか。

両方ともデザインは気に入っていました。いつまでも古臭い感じがしません。
モノとしても、かなり良いのです。
それでも二度と着ない要らないモノということは理解していました。
クローゼットを開けるたびに、何やら心へ”ささくれ”がチクリと刺さるのです。
自分はサイズ違いの買い物をして、大失敗をしてしまったんだと認めたくない事実がクローゼットにぶら下がっているのです。

さっさと売るなり捨てるなりすればよかったのです。
サンクコスト(sunk cost;沈んだコスト)が大きすぎて、決断が鈍っていました。

それがようやく昨年、これらのアウターをリサイクルショップで売ったのです。
2着で3900円でした。予想は3000円-5000円でしたので妥当でしょう。
行って帰ってくるまでに費やした2時間には見合ったとしても、10年以上に及ぶ心へのチクチクした痛みを贖うことはできません。
それでも処分できたことで、とってもハッピーです。
心の”ささくれ”から解放されたからです。この冬は心晴れやかにクローゼットを開けることができました。
もっと早く売ればよかったとクヨクヨしても仕方ないので、とにかく売ってよかったと思うようにしています。

さてなぜ突然、売ろうと決意できたのか。
我田引水のようですが、自分で書いた記事がきっかけでした。

そう言えば、自分は脳のメモリー消費をもっと大切なことに向けるため、お金(小銭)でさえもゴミ箱へ捨てていたのです。
もっともっと脳のゴミを掃除しなければ。
そうだそうだ、あのアウターだ。売りに行こう。
ということなのです。
今回は勘の良い人の想像通りの展開でしたね。

もう二度と服の買い物で失敗しない自信はあるのだけど、そんな自信を持ってから、なぜか新しい服が欲しいと思わなくなりました。もう2年以上服を買っていません。
ということは、何かに自信がないと、服が欲しくなるのでしょうか。
なんだかこの辺りの思考は、自分でも予想しなかった深い展開なので、すこし温めておくことにします。

そもそも、もっとオシャレに気を使っていれば、買い物で失敗することはなかったのです。
何をどう着てもそれなりに似合ってしまい、いつもオシャレですねと人から言われ続けたからか、かえってオシャレ感性が鋭くならなかったのでしょう。
自分の素材の良さを恨むことにしよう。それではまた。

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