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ひとりぼっちのヒヨドリ その8


    前のお話 ➡  ひとりぼっちのヒヨドリ その7


毎日のように冷たい雨が続いて、
じょうずに葉の茂みの下を選んで作ったひよどりの巣にも
雨がかかりはしないかと部屋の窓からのぞいてみると、
じっとヒナを抱いている親鳥が濡れている様子は無さそうで、
時々上を見て、
巣の上の葉の先から滴り落ちかける雨滴を見つけては
くちばしで吸い取っている様子にホッコリ
                   

  何羽うまれたのかなあ。
  ヒヨドリは卵を大体4個産むらしいけど、
  ちゃんと4羽生まれたのだろうか?

 
  それにしてもオスは何をしてるの?


よく家のそばの電線に止まっていて、
私たちが玄関を出たりしてメスが巣を飛び出してどこかに行く度に
ピーッ! と大きな声で鳴くのがオスらしいけど、
「警戒!」とメスに伝えているのだろうか。

 
4日目の朝、
私の部屋の窓のカーテンを開け、
ガラス戸をそおっと開けて巣を見た途端、

ヒヨのお母さんと目が合ってしまった!

その途端にサッと音も無く飛び出してしまい
その瞬間、
4羽のヒナが頭を上げるのが見えた。

まあるい頭に大きく開けた黄色のクチバシ。

   ワア、可愛い 

あんなに出かけてばかりいたのにちゃんと4羽生まれたのだ。


だけど、
私が見る限りでは
メスが時々エサを咥えてきて1羽のヒナだけに与えて
あとはエサを取りに行く様子も無くそのまま座ってしまい、
ジーッとヒナたちを抱いている。

  あれ? みんなに上げないの???
 

そして人の気配に驚いては飛び出してどこかに行ってしまう。
 

  オイオイ、
   ヒナたちが冷たくなっちゃうでしょう!
     ちゃんとゴハン足りてるの?

 
仕方なく私たちは外でやりたい事は最小限で我慢して
早々に家に引っ込まなくてはならない。


すると間もなく、何やら咥えてきて
また一羽にだけ与えて座ってしまう。

   エーーッ ? ? ?
    それだけ?  ほかの子には?


以前ここで営巣したヒヨたちは、
随分大きな虫(バッタとかセミなど)を咥えてきて
生まれたばかりのヒナの大きく開けた口に
そっと入れては戻して咥えなおし、
また入れては戻しを何回も繰り返して
やっと喉の奥に押し込むようにして、

  そんなに大きいのじゃなくて
    もっと小さい虫がいいんじゃないの?


と心配させられたものだけれど、
今年は寒い梅雨のおかげで小さな虫しか捕れないらしく、
「それっぽっちでいいの?」と心配になる。

それとも、私たちの居ない間に何回も出入りして
給餌をしているのだろうか・・・・・?
 
 

孵化後 8日目

親鳥がエサを運んで来ると一斉に首を伸ばして、
黄色いクチバシを大きく開けた4つの丸い頭がユラユラ。
              (#^ _ ^ #)


ヒヨドリは普通 孵化してから十日ほどで巣立つというから、
    (早すぎでしょ!!)
順調に育てば、あと2~3日で巣立ちを迎えるはず。
 ・・・・・なんだけど、

  親鳥があんなに巣を出てばかりいたし
  ロクなエサが無かったからねえ・・・


    
  ハッ!もしかして
  巣立ち直前になってノラ猫にでも襲われたら!!


庭の隅のイチイの木から小枝を切って来て
親鳥の留守の時にコブシの木の下にぐるっと敷き詰めた。

猫はこういうトゲトゲのある環境が嫌いなのだそうで、
せめてこうしておけば木に登ることはできないだろうと。

じつは1週間ほど前、
裏の畑で猫につかまりそうになった
巣立ったばかりのヒヨドリのヒナが
必死で飛び立って逃げ、
かろうじて助かったのを目撃したのだ。
          
巣を離れたらあんな危険もいっぱいあるだろう。
何かに襲われても逃げられるように、
どうかしっかり成長してから巣立ってほしい。



     つ  づ  く 



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