住んだ街の思い出

休みの日はいつも決まって散歩をする。

コースは大体いつも決まってて、歩いて15分くらいのわりと大きめの公園まで行って、一周して帰ってくるのが王道コース。だけど今日は気分を変えて、もう少し遠い歩いて25分くらいの公園まで行ってみた。天気も良いし、気温もちょうど良くてすごく気持ちいい。ちょっと疲れたので、帰り道のコメダでひと休み。

今のアパートに住んで1年半。僕は今住んでいるところを結構気に入っている。東京や名古屋のような都会と違って、田舎には駅ごとに街の名前がついていないので、(高円寺とか中野とか)この辺としか呼べないのだけど、僕はこの街がかなり好きだ。

住んできた街ってそのときの自分を結構強く形作っている気がする。風水的なことを気にするわけじゃないけど、住んでいる街を好きになれないと、その時の自分の人生もうまくいかなかったり。てなわけで、ちょっと今までに住んだ街を振り返ってみたくなった。

①ド地元(愛知県豊橋市)

ちなみに現在も僕は豊橋在住だが、豊橋は結構広いので、今住んでいるところと実家のあるところは雰囲気も全然違ったりする。

市内でもわりと山間の方の地域だけど、一応住宅街で、スーパーもコンビニも小学校も全然近いので、不便はしない。車で数分走ればマジもんのど田舎なので、ド田舎の入り口って感じ。

正直、僕は地元にはあまり思い入れがない。中学受験をしたので地元に友達もいないし、思い出も通っていたエリアの方にあるので、本当に帰る場所といった感じ。思えば、本当にここだけで全てが完結していた小学校時代も、数年前一度実家に戻っていたときも、あまり好きではない時期だった。

ちなみに、地元では区画整理と新しい住宅開発でどんどん街が変わっていて、僕が通っていた小学校も僕の在学中に運動場が移転し、裏山もぶっ壊され、通学路の抜け道としてみんながこっそり使っていた細道も全部綺麗で舗装された道路になった。なので、幼少期のかすかな思い出の風景は、マジで心の中にしか存在しない。今では新しい住宅が増えたことに伴ってか、ドラッグストアが異常なスピードでニョキニョキ生えてきている。

②大学4年間を過ごした街(長野県松本市)

僕が初めて一人暮らしをした街。

大学の周辺ってどこもそうだと思うけど本当学生街って感じで、どこに行っても知り合いと会えるみたいな、本当に「俺らの街っス」みたいな大学生特有のパヤパヤ感の中で生きていた気がする。間違いなく僕の青春の街。

地元も山が見えるところだったけど、信州の山は規模が違う。毎朝大学へ行く道で見える壮大な山々が好きだったし、秋から春にかけて山の上の方が白く染まるのには感動していた。

松本は、とにかく坂のイメージ。どこかに行くとしたら、絶対行きか帰りで坂道に苦労する。若かったし、エネルギーを持て余していたから、チャリしか移動手段がなくても生きていられた。

近所に浅間温泉という温泉街があって、散歩が本当に楽しかった。夜に歩くと、オレンジ色の街灯に照らされた温泉街に、まるで観光に来てるような気分になった。そんな非日常感が、あの4年間を濃く象徴しているような幻想的な風景だ。

③病んだ街(愛知県知立市)
大学を卒業し、就職した場所の近くに住んだ街。本当に水が合わなかった。というか、ちょうどコロナ禍になったというタイミングも、就職先のミスマッチもあると思うけど、好きになれなかった。知立在住の方、すみません。

地元の豊橋よりは名古屋にうんと近いはずなのに、家の周りには田んぼとB級のコンビニと、B級のスーパーしかなかった。(B級のスーパーとは)市街地までもチャリで20分と地味に遠い。何故あそこに住んだのだろう。

僕がメンタルを病んでしまい、仕事を辞め実家に帰ることになったとき、引っ越しを手伝ってくれた母に「ここにはなんとなく悪い磁場を感じた」とかいうスピリチュアル発言をされた。母は僕と姉の受験に付き添って受験先に来た時に、「ここには縁を感じる」と思ったところには合格し、逆に「ここじゃない」と感じたところには落ちたとも言い張っている。後からならなんとでも言えるじゃねえかとその時は思ったけど、今では一理あるかもなぁと思う。

確かに、人との第一印象をすごく大事にする僕は、街の第一印象も概ね覆ることはないということを、この街に住んで学んだ。「なんか違うな」と思った街は、住むべきではないし、職場としても通うべきではないというライフハック。

④現在の街(愛知県豊橋市)
地元・豊橋に戻り、楽だけど窮屈さに耐えかねた僕は、地元の違う街で暮らしている。

同じ市でも、実家とは駅を挟んで反対側にある今の街は、来たときは本当に知らない場所みたいだった。

豊橋駅からはそこそこ距離があるが、住宅街に位置しコンビニもスーパーも飲食店も豊富にある今の街は生活に不便することはない。それどころか、今まで住んできた中で1番便利な街だ。

田舎だけど本当の不便は知らない人生を送ってきた僕にとって、この街はちょうど良い。散歩をしても、一本違う道を行けば知らない景色に出会えるゴチャゴチャ感もある。いつかは都会のどこかの街に移り住みたいと考えている、ちゃんと付近で街として完結しているエリア特有の感じがあるのが好きだ。いつかの予行演習。

たまに、ふと魔が差して、「次の契約更新のタイミングで引っ越しでもしようかな」という気持ちが芽生えることがあるが、今日の散歩を通して、もう少しこの街で自分らしい暮らしを送ってみようという気持ちになった。次、僕がこの街を離れるのは、居心地の良さを手放して、新たな一歩を踏み出す決意がちゃんと出来たとき、な気がする。

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