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15歳の娘が男だと言い出した。(17)

何度か訪れている京都
旅行が解禁されて日も浅いということもあって、いつも人で賑わう三年坂に、ほぼほぼ人がいない。
お店は全部空いていたので、こんなにもゆっくり見て回れることに感謝した。

今回は、まだ見ていない神社仏閣に行こうと提案し、事前に行きたい場所をSに選択させていた。
その一つが、「縁切り神社」だった。
なるほど、そうきたか!と内心笑ってしまった。
思いのほか特徴のある神社で、縁を切りたい思いでここにおとづれた参拝者のお札を読ませていただいた。
Sが抱える、おそらく縁を切りたいと思っている「何か」は、他人の「縁を切りたい「何か」と重なるのか、それとも自分の抱える「何か」は他人のそれとは、取るに足らない小さなことだと思ったのかは不明だが、
「まま、なんか、すごい悩んでいる人が多いってこと、わかる場所だね」
「そうだね、こんなに大量に紙が貼られているとは思わなかったね。
しかも内容が。。。。めちゃめちゃ重いわ。。。
この思いを全部引き受ける神様は、大変だw」
「うん、、、」
「まま、なんか、縁を切りたいことお願いした?」
「コロナと縁が切れますようにってお願いしようと思ったけど、なんか圧倒されちゃって、まだ何もお願いしていないw」
「だね」
「お母さんあっちに行っているから、書きたいことがあったら、ゆっくりしてきていいよ。石も潜っておいでw」

参拝が終わり、大通りで母と待つ私の元に、戻ってきた娘の顔はなんだかとても晴れやかだった。
見たいものを見て、食べたいものを食べて、たくさんお土産を買って
帰路に着いた。

京都旅行の翌週、8回目のカウンセリングがあり、
その直後にカウンセラーに呼ばれた。
「お嬢さん、今日はとてもスッキリした様子でして、何かありましたか?」
「週末に旅行に行きましたが、それ以外は、特に変わったことはありませんでしたが。。」

「そうでしたか、良い気分転換ができたのですね」
「スッキリした様子って、どんな感じだったのですか」
「自分には、このカウンセリングはもう必要ないっておっしゃったんです。
あと2回残っているが、今まで教えてもらったことはこれからも続けていく、だからあと2回の内容を本日で全部伝えてほしいと、初めにお話になられて。
落ち着いた状態で積極的な姿勢でもあったので、私としても、本日で終了でもいいかなと感じています。」
「そうですか、本人が納得しているのであれば、カウンセラーさんのご判断にお任せしたいと思います。」

正直な気持ち、たった数日の旅行で、こんなにも気持ちが切り替わるのもなのかと信じられない不安もあったが、思春期とはそんなもんなんだと、ちょっとしたきっかけで簡単にうつ状態から切り替わることもあると言われた。

コロナ禍で抑圧していた気持ちや、ストレスから歪んでしまった子供同士の人間関係などが、絡まりあって、にっちもさっちもいかず、突発的に腿を切った(1回だけ)娘。
それにしても、カウンセラーが最後まで教えてくれなかった、娘と友人だったMさんとの間にどんなことがあったのか、気になって仕方がなかった。

これが中一の最後に起きた、ちょっとした騒動
それが、彼女が今抱えている、性自認の歪み(娘の場合はです、そうでない人もいます)につながっているのではないかと私は強く思っています。

過去の成り行きは大体これで終わり。
次回から、カミングアウトをした後の荒れ模様の彼女の話になります。
実は、昨日も娘と大げんか。もう心が折れてしまって、
私は一晩泣いておりました…

続く


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