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そういうハナシですよね?

昨年12月上旬のある夜、
二男からLINEが入っていることに気付く。

「事故った」と。

時間を見ると
通知から30分ほど経過している。

二男は運転免許を持ちながら
クルマを持たず、
普段の生活には自転車を使っている。

自転車で事故…

一瞬ぎょっとしたが、

LINEが出来る状態なのだと思い直し
返事をしようとしたら着信音が鳴った。
二男本人からだった。

「LINE見た⁉
オレ、事故ったんだけど!」

私が通知に気づかないでいることに
声がちょっと怒っている。

「痛い!」でも「苦しい…」でもなく、
普通に、私に怒っている。

怒りの感情が優先されている。
腹に力の入った、良い声だ。

ひとまず安心。

事故の状況を聞くと
二男が青信号で渡っているところへ

相手方のクルマが
右折で横断報道へ侵入してきて
自転車に接触されて転倒。

が、なんとドライバーは
そのまま行き去ろうとしたため

二男はとっさにそのクルマを追いかけて
窓ガラスを激しく叩いて止めたという。

転んで、すぐ起き上がって走れたのね…

私の脳内にビーチフラッグの
競技の光景が浮かんだ。

肉体も問題なさそうだ。

しかも、
「すいません…どうしたらいいですか…?」
と、うなだれるドライバーに

「ひとまず警察へ電話でしょーが!」
と、指図して

程なく駆け付けた警察官に
「今日はここ、同じパターンで3度目だよ」
肩をすくめて苦笑いされ、

「自分にぼやかれても困ります!」

文句までいっている。

いつもの二男だ。
元気だ、良かった良かった。

クルマと自転車の接触事故、

二男の状態に大したことがなくて
おまわりさんも安心して
ついこぼしちゃったんだね。

更に、どうやって帰るのか尋ねられて

「パトカーで送ってもらえないんですか?」
と、打診するも

「歩けてるよね?」
と、あっさり断られ

壊れた自転車を引きずって帰宅。

「あーもー!
おんなじとこまた擦りむいたわー!」

びくびくした手つきで
膝小僧にマキロンを塗りたくる。

ちょうど半月前にも
暗い夜道で縁石の段差に気づけず、
転んだばかりだった。

「塗ったろか?」

「笑うことちゃうだろ⁉」

ニヤニヤ見ている私に二男は
なぜか半ギレだった。


よしよし、痛かったね~…


それから二日後、
相手方の保険で二男は新品の自転車を買った。

ロードバイクとかいうタイプらしい。

幾らしたのか聞くと
前の自転車の5倍と言う。

保険適用額を最大限利用したっぽい。

「びっくりするくらい軽量~♪」

ちょっとはしゃぎ気味。
膝小僧、痛いんじゃないの?

「災い転じて福となすってヤツだな~」


・・・


高級な、その'福'が来た日から
二男は盗難が心配で

軽いとはいえ、
毎日、その'福'をかついで4階の部屋へ
息を切らして階段を上っている。

「災い転じて~じゃなくて、塞翁が馬だよね」

そう笑うと

「ことわざの是非のハナシちゃうし!」
ムッとして言い返して来た。


あら、ごめーん。


え?
じゃあ、どういうハナシ?




新年早々の記事として、
センスがどうなのってハナシですかね?

投稿直前に気づいたこと

















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