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関係のデザイン

本町商店街は今も現役バリバリの専門店街であります。其々の事業規模はけして大きくなく守備範囲も広いとは言えませんが、この部分だけは知識もサービスも自分こそ世界一!的な誇りを持った人々が商いをしている街です。

グローバリゼーションの潮流の中、今ありとあらゆる分野で均一化や集約化が進み、表層価格と利便性ばかりが優位性を決めてしまう傾向が益々強くなっていると感じます。市民にはまだ完全に物が行き渡らなかった時代は売る人も買う人もお互いに真剣でした。そこには有機的な一手間や会話が存在していました。しかし一度物が行き渡り先の見えない時代が長く続くとその有機的な要素が合理化によってかき消され、結果消費への期待や関心がいつの間にか薄れてきている様に思えてなりません。

くらし座には商店街活性化等の課題で大学生がよく来られるのですが、度々学生さんの口から出る「買い物はただの作業であり楽しみではない」という言葉にショックを受けることがあります。焦点は行為ではなくその先ある喜びとか豊かさだと思うのですが。そんな彼らに僕は言います。「大変と思えば大変な時代だけど、国民全員が将来を悲観している国は絶対に良くならない。悲観で小さく見積もった可能性の枠の中で互いの富を奪い合うより、皆が其々の専門性を活かしそれを少しでも膨らまそうと考えたならベクトルは変わるよ。」って。

この時代は特に専門店の役割は大きいと思います。そこで立ち上げたのか本町デザインムーブメント。21世紀のデザイン運動を本町から世界へ!物の価値を提供する私達とそれを評価する消費者、つまり流通を川に例え河口部分の意識改革をしよう!そしてその改革の熱を水源である物づくりの現場へ押し上げ、価値リレーの在り方を磨き直すことで、作る・売る・買う、それぞれの立場の「~甲斐」を取り戻そうというのが目的です。
現在はその一環として稲作も始めました。売り買い二者の立場が共に田植えから販売までを体験することで、改めて価値というものに向き合いませんか?という内容です。

場所の原点は人、商売や街づくりは人の繋がりをデザインすることでもあり、その良し悪しは人によって決まると考えています。時代への対応力といいますが私達は本当の意味でのそのあり方、「調和」を模索し続けています。


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