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【海外記事】デジタルデザインがオワコン化しそう

本日はこちらの記事を読んでいきたいと思います。なお、画像も以下から引用します。

本日もよろしくお願いいたします。


なぜデジタルデザインは終わりを迎えるように見えるのか

(Image: Jose Antonio Gallego Vázquez, Pexels / jantakacs.com Illustration)

もしあなたがデザイナーで、インターネットを使っているなら、辛い状況でしょう。タイムラインやフィードには"UXは死んだ、我々が殺した"や"デザイナーは存亡の危機に直面している"や"友人みんながデザインを辞めてしまった"などなど。
彼らが自分のキャリアや業界の将来について考え直しているのも不思議ではありません。しかし、この悲観主義的な流れは単なるノイズのようなものでしょうか。実際にもっと深刻なことが起こる前触れなのでしょうか。

10年の繁栄の後、デザインのゴールドラッシュは終わった

過去10年ほどの間、デジタルデザインは黄金時代を迎えていました。
経済的な繁栄を背景に、スタートアップ企業が急成長し、デジタル化が推し進められました。それらはゼロ金利によって下支えされていました。

この期間、デザイナーは非常に求められ、利便性や使いやすさを向上させるために頻繁に重要な役割を担わせられた一方で、ユーザーの期待や業界全体での体験性はかたちを変え続けてきました。

これらはまた稼ぎやすい時代でもあったと言えます。良好な市場状況が新たなデザインの仕事を生み出し、デザインは特に新興市場において大きな活況を見せました。

長い間、企業はデザイナーを次々に雇い続け、UXは主要な要素になり、デザイナーが世の中に溢れていきました。

そしてコロナ禍の間、あらゆるものが変わっていきました。デジタルデザイナー(やその他の技術職)の需要はさらに増大し、高額な給料と魅力的な仕事とともに求人募集も増加しました。

そのような中多くの人々が転職をしました。UXはあらゆるところに存在するようになり、私達は謎の資格を持った多くの人材が業界内に流入していくのを目撃していました。

未来は太陽のように明るく見え、業界はこのまま突き進んでいくように見えましたが、そうではありませんでした。

(Image: Jose Antonio Gallego Vázquez, Pexels / jantakacs.com Illustration)


大きな変化が起きているが、これが終わりではない

世界的な不況の到来とパンデミックによるテック系業界のバブルは、多くの人に痛みと大きな反省をもたらしました。次々とレイオフも行われました。
突然、人々は飽和した市場の中で少ない転職求人を奪い合うことになったのでした。

仕事においては、デザインブームを後押しした経済的な好調期が失われつつあるため、ビジネスへの極度なプレッシャーが重くのしかかっています。
多くの世界的企業がビジネスにおけるデザインの役割を再評価しだし、デザインの価値に対して以前より疑問視されることが多くなってきました。

その最たる例が衝撃と恐怖をもたらした自動化とAIの勃興です。
その進化のスピードは追いつくことが難しいほどで、自然とデザインに限らずあらゆる業界の人々が、AIによって自分の将来がどうなるのかを考えるようになりました。

これらすべてを組み合わせると、デザイナーがこの業界の次の10年に適応できるかどうかの重要な時期に直面していることは明白です。

特に欧米市場以外において、この業界の多くの人々がまだ若いことを考えると、この兆候は彼らにとっては初めて遭遇する劇的な変化と言えます。そしてそれは当然のことながら恐ろしい経験です。

私達がそのような恐ろしい兆候を示すオンラインの記事を読んだ時、希望を失う時が来たと白旗を上げるのも不思議ではありません。

ただし、その前にこれらについて立ち止まって考えてみたいと思います。この目まぐるしいまでの変化の兆候は業界内で巻き起こっており、これらを無視することはできません。しかし、わたしはこれは終わりではなくむしろ新たな長い旅路の始まりにすぎないと考えています。

前に進むことは大変でしょう。私達が好むかどうかは置いておいて、あらゆる人にインパクトをもたらす世界的なデザインエコシステムについて認識しておくべき新しく、そして厳しい現実がいくつか存在しています。
それらの主要な要因をいくつか見ていきましょう。

  • 新しい市場状況は、純粋な顧客中心のアプローチからよりビジネス中心な思想に変化しつつあります。ビジネスモデルと製品経済について理解し、貢献することは創造性や共感性と同等に重要なものとなりつつあります。

  • 現在ではプロセスではなくインパクトがすべてです。ステップバイステップのプロセスに対して盲目的になることは現代においては危険です。今日におけるデジタルプロダクト開発の現実はより煩雑であり、一直線に思い描いたようなプロセスで完遂することはほとんどありません。
    注意:同様のことは自己紹介やポートフォリオ、ケーススタディにおいてもいえます。プロセスばかりを主張するケーススタディには誰も興味がありません。インパクトはプロセスに勝るものです。

  • 新しいAIテクノロジーによって、アイディア出しはかつて無いほど意味のないものとなりました。単なるお絵描き屋ではなく、プロダクトビルダーである必要性がますます高まっています。

  • いくつかの業界は成長をしていますが、一方でいくつかは停滞しています。これはデジタルデザインやデザイナーが各企業において必要とされることは考えづらくなっています。これは探求すべき新たな領域が生まれてきたのと同時に、何かが失われていくことを意味しています。

  • 平均的な人材はもう不要です。過剰に飽和した市場において、現在ではよりユニークで、際立った専門性のある人物が求められています。未だに多くの求人がありますが、それらを獲得するには今ではより多くの努力を必要とされています。

過去の繁栄の時代とデジタルデザインの黄金時代は終わりを迎えようとしています。勝者と敗者の間に大きなギャップが生まれることで、非常に不平等な将来的な見通しがなされています。 (Image source: jantakacs.com)


従来の分野の境界を超えることは避けられない

近年の動きを眺めていると、デザインへの再投資に向けた劇的な貢献が求められていることがわかります。ここに最近の気付きをベースとして、いくつかポイントをまとめました。現在の重要なキャリア選択をよりよくするための実践的な経験則と、展望について述べていきたいと思います。

  • 他分野にまたがることが非常に重要です。これによって、急速に進化し続ける時代に対しての適応力が向上し、大きな便益をもたらしてくれます。コーディングスキルやデータ分析、コンピューターサイエンスはデザイナーにとってこれまで考えられなかったような機会を与えてくれるものとなるでしょう。近年では高品質な資料やChat GPTのようなツールによってかつてないほど学習が簡単になっています。一方でこれには多くの努力と自律性が求められ、それによって今後も成長を続けられるか不要な人材となるのかの不平等性が生まれていきます。

  • ビジネス知識や商業的な感覚は現在では必要不可欠なものとなっています。デザインがどれくらい利益に対して影響力を持ち、そのビジネスモデルや開発組織経済について理解することは必須要件となりつつあります。単にビジネスに精通していることが競争力となる時代は終わりを迎えました。現在においてはいかに財務状況の改善ができるかが求められています。

  • 私達は起業家精神においての新たな黄金期の目撃者となるかもしれません。AIによって個人(及び小規模なチーム)が過去に見たこともないレベルでの生産性を獲得する可能性があるため、フルタイムの仕事にだけ集中するような働き方が一般的ではなくなるかもしれません。プロダクトをリリースしたり、オンラインでサービスを提供するなど、1人で収入を得るための多様な働き方が生まれている時代において、起業家やフリーランスの新しい黄金時代の到来を私達は目撃することになるかもしれません。すでにデザイナーたちが会社を立ち上げるような新しい波が起こっています。

  • AIブームによって、優れた知識を得ることや実践的な経験則を生成AIが導き出し、デザイナーにとてつもない競合優位性や収益性をもたらしてくれることについては誰もが驚きもしない時代になりました。セコイアはAIの進化に言及し「この一つの価値創造の変化は人類史上最も大きなものだ」と述べました。しかしその恩恵を受けることができるのは、それに対して準備をした者のみとなるでしょう。

(Image source: Leio McLaren / Unsplash, jantakacs.com Illustration)


結論

私はデジタルデザインの将来が単なる衰退のストーリーとはならないと信じています。これは一つの進化です。我々が(少なくとも)過去10年の間で最も困難な状況におかれていることを考慮すると、現代においては簡単で小さな変化が私達が望んでいる機会を与えてくれる可能性は低く、多くの業界再編が必要となることでしょう。将来得られる幸福を享受し、新たな世界へ突き進み、そのために伝統的な枠組みを超えていくことは困難を極めますが、きっとその価値はあるに違いありません。


感想:AI時代におけるデザイナーの存在意義を捉え直さなければならない

AIがもたらした業界へのインパクトは大きく、デザイナーに限らず作曲家も動画編集者もあらゆるクリエイターがAI時代の自分の立ち位置を模索しているような時代にあると思います。この記事は自分がここ数年考えていた内容と非常に近しいものを感じ、「そうだよなぁ、うんうん」と思いながら読んでいました。

この記事では今後のデザイナーのあり方としてビジネス知識やマーケティング、あるいはコーディングなどの開発知識(ともちろんAIの知識)を得ながら多様なスキルを駆使して働いていく必要性が説かれていました。

ここに一つ自分の考えというか補助線を引くのであれば、今後はもっと人を組織して、集団の中に文化や規律を醸成させていけるような指導者的な立ち回りができるデザイナーの必要性が高まってくるように感じます。
技術力の高さはある程度がAIで再現できてしまう時代に求められるのは、もっと土臭い人間力みたいなものに帰結していく気がしています。

この流れで宣伝となってしまうのですが(本当にごめんなさい)5月14日に行う自分の勉強会では、そういった考えに立脚して、旧態依然とした組織の中でデザインをどのように機能させていくべきか、という内容について話してみたいと考えています。

正直「ためになる!」というよりは個人の研究発表のようなものに近い性質の内容で恐縮なのですが、もしご興味のある方(そして大阪市近辺にお住いの方)がいらっしゃったら遊びに来てください。※過去の勉強会はnoteのマガジンにまとめています


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