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投資詐欺にあわないために必要なのは常識レベルの知識

説教じみた投稿が続き申し訳ありません。長女が大学に入学し独り暮らしを始めたので、どうしても子供たちのためにアドバイス的なことを書きたいという気持ちになってしまいます。

今回は投資詐欺をどうやって防ぐかの話です。
子供たちには、「騙そうとしてくる人はたくさんいて、しかも毎日どうやって騙そうとするか考えているプロなので、騙されてしまうのは仕方ない。大事なことは騙されているかもと思ったらすぐに身近な人に相談すること。まったく恥ずかしいことではない。お父さんも何度も騙されているからね。」と話しています。

Facebookの有名人を使った広告で、投資詐欺にあった話がよく出てきます。
金融リテラシーがないから詐欺にあうのだといういう意見はその通りと思いますが、金融リテラシーがなくても、よく考えてみればおかしいと分かることの方が多いはずです。

今回はよく考えてみればおかしいという話をしたいと思います。


1.投資のリターンとリスクはあっているのか

これは金融リテラシーの話になります。いきなりリテラシーの話から始めて申し訳ありませんが、とても簡単な話です。

リターンが大きリスクが低いという金融商品は基本的には存在せず、あったとしても庶民の世界には回ってきません。これはあとで述べます。

じゃあリスクって何?というと以下です。
‐ 価格が大きく変動する、ゼロになるときもある
‐ 流動性がない(売りたいときに売れない)

リターンは簡単ですね。どれだけ増えて戻ってくるかです。

一番リターンが低いのは、銀行の普通預金です。価格は変動しないし、いつでも引き出せるから流動性もばっちりです。だから低いリターンでお金を集められます。
銀行預金よりもリターンが大きい商品は、マイナスになる可能性があるか、すぐに引き出せないお金か(定期預金の利率が普通預金より高いのはこのため)どっちかあるいは両方です。

この法則に反する話は、マイナスの温度になっても凍らない水とか、100度を超えても沸騰しない水とか、自然界で起きえないことを起きると言っているのに等しいと考えていただいて結構です。

2.お金を集めるのは大変

資本主義の社会では、お金が余っている人からお金が足りない人にお金を回し、かつそれをみんなの力で大きくすることで個人ではできない規模の事業を行い、スケールメリットやスピードを手に入れリターンを増やすことができます。
このお金を循環させる役割を政府からの許認可のもと行うのが銀行、証券会社です。
銀行は間接金融、証券会社は直接金融の違いで、直接金融とは文字通り会社が自ら増資や社債発行で市場から直接資金を調達することです。

まっとうな行為と詐欺行為は入口が似ているから騙されやすいんですね。

でもお金を集めるのであれば、誰だってなるべく効率的に集めようとしますね。どうしたら一番効率的かといえば、大金持ちのところにいって、1回で必要な額を集めることです。
2021年12月27日の日経新聞の記事によれば、「世界の超富裕層の1%が世界の富の37%を独占」、「日本は上位10%の資産が57.8%でそのうち最上位1%は24.5%を占めた。下位50%は5.8%」です。

日本の9万世帯(1.8%)が超富裕層といわれる金融資産5億円以上です。

なんでわざわざ小口投資を、広告を売ったり勧誘して集めてくるんですか?といえば、超富裕層にとって魅力がない商品だからでしょう。本当に儲かる話であれば、金持ちがまず最初に取ります
彼らがおいしくないと思った2級品、3級品の投資の話が、一般レベル=プロではない人たちのところに落ちてきます。

なので、よく注意してみていてくださいね。証券会社、銀行とか金融機関の新聞広告、ネット広告です。かなりの確率で売れない商品=プロから見たら儲からなさそうな商品がのっています。
あるいは、広告を見て「ああこれが売れ残り商品なのか、彼らも大変だな」と判断することもできます。
繰り返しますが、儲かるのであれば、彼らの大事な大事な超富裕層、富裕層の顧客にまず持っていきます。そして全部彼らに取られてしまいます。われわれ庶民のところにやってくるのは売れ残りばかりなんです。

3.お金が何につかわれるのか?

証券会社にしても、保険会社にしても、銀行にしても、その会社の利益や社員の給料をどうやって稼いでいるのか考えてみてください。

例えば、保険会社を例にとって説明します。保険会社の方々、本当に申し訳ありません。
損害保険は、毎月あるいは毎年掛け金を支払うことで、事故が起きたときに損失をカバーしてもらえるという商品です。これは誰でも分かりますよね。この商売を考えたユダヤ人の天才たるゆえんです。分かりやすい。
事故が起きる確率、起きた場合の損失額が統計的に出せる(出せないものは保険商品にはなりません)ので、いくら以上の掛け金があれば、損失をカバーできると数理士が計算します。
そのうえで、彼らが必要な収益分をのっけて掛け金を出します。

これは実は宝くじやロトと胴元が違うだけでほぼ同じ仕組みです。宝くじに当たるとお金がもらえますが、国が胴元として4割以上取っていくので、もらう総額は支払う総額の4割引になります。保険は保険会社が胴元でオッズを決めて抜いている構図です。
どっちも掛けたお金が還元され、宝くじはあたるとうれしいですが、事故はあたると悲しい、それだけの違いです。

投資信託を買うとき大事なのは信託報酬です。手数料ですね。買うときの手数料、毎年運用するときの手数料で抜かれます。この手数料が彼らの取り分というわけです。
信託報酬が低い投資信託は、人の手がほぼ介在しない商品、インデックスに連動するやつですね。コンピューターが勝手に売買してくれます。
信託報酬が高い投資信託は、人手がかかっている証拠です。アナリストを抱えて毎日膨大な分析をし、アナリスト説明会に出たり、経営者にヒアリングしたり、レポートを書いたりしています。
また、組み入れ先を決めるファンドマネージャーがいて、彼の給料を払わなければいけません。

これだけお金を払った分、リターンが大きくなれば良いのですが、実際のところわたしが読んだ本、ネットに出ている分析結果では、長期間にわたりインデックスを打ち負かしている投資ファンドは稀とのことです。
伝説のピーターリンチが運用したマゼランファンドは、10年以上もの長期にわたってインデックスを打ち負かしたその当時唯一のファンドです。

ウォーレンバフェットのバークシャーハサウェイも投資信託ではなく株式ですが、インデックスを打ち負かしています。
ただし、バフェット氏は自分の家族には「資産運用はS&Pのインデックスを買っておけばいい。」と伝えていると聞いています。

長期間にわたりインデックスを打ち負かすのは滅多に起きないことだから、ピーターリンチもウォーレンバフェットも伝説とか神様と言われるんです。

広告費用を払って、運用している人たちの給料も払った上で、さらにもうけが出るくらいおいしい金融商品なんて、あったとしても庶民のところには来ません。
例えば、プライベートエクイティーやベンチャーキャピタルに出資することができるのは、アメリカの法律で一定の資産を持った人だけと決められています。
貧乏人や運用経験のない素人からお金を集めてはいけないのです。

なので、未上場株に投資をするとかいう話にも乗らない方がいいですね。その世界にはベンチャーキャピタルがたくさんいて、本当にいい会社であれば彼らから一度に何億円も集めるので、小口投資を集める必要などないです。

それに未上場のうちからそんな小口投資家をたくさん集めてしまうと、管理工数がかかりすぎてスタートアップが本来リソースを割くべき場所に割けなくなります。失敗するあるいは失敗が確定済のスタートアップです。

4.金融商品の販売は自由にはできない

金融証券取引法(金商法)という法律があり、出資を募ったり運用する業者は原則として登録を義務付けられています。
勧誘人数を49名以下に絞った私募扱いでも届出は必要です。

なので、投資をしませんかと言ってくる会社があれば、社名、住所、代表者と金商法の登録番号を教えてもらうのが良いでしょう。
登録していないのであれば、それを理由に取引しないとつげればよいと思います。
登録していれば安心というわけではないですが、一般の人から幅広くお金を集めて運用するのであれば、少なくとも登録くらいはすべきだと思いますと言ってあげてください。

5.理解できないものには投資をしない

これはウォーレンバフェットの言葉で、彼は理解できない会社の株を買わないことで有名です。とても偏っているのです。それでも大成功していますし、おそらく彼の理解できないは、通常レベルの人が理解できるを超えて理解していると思います。理解できるの水準がとても高い人なのです。
われわれのような並の人間であれば、さらに謙虚になるべきです。

詐欺に引っかかる人は、大抵の場合よく理解しないままお金を出しています。犯罪者がうまいこと誤魔化して理解させないようにしているんだろうと思います。
わからないのは恥ずかしいことではなく、当たり前のことなので遠慮なくわからないから教えて欲しいというべきです。
わかるように理解させるのは金を集める側の仕事ですし、出す側はやっぱり理解できないのであればよくわからないからやめておく、というべきです。

例えばわたしはクリプト、仮想通貨は買っていません。自分が理解できないものに投資をしないというルールに従っています。一応研究はしたのですが、株に比べるとわからなかったので、株を買っています。
金やプラチナといった商品も買っていません。不動産投資もしません。全部よくわからないからです。通貨FXもやりません。為替ヘッジのない外国株投資だけです。

株以外の話が持ち込まれたら全部断ります。

株の話は聞きますが、騙される確率は低いと思います。わたしは結構詳しいほうなので、騙す方は大変じゃないでしょうか。
そもそも短期売買で儲けようと思っていないですし、株を買うと原則売りません。必ず上がる情報はインサイダー情報くらいですし、わたしはちょっとでもインサイダー取引のリスクを感じたら絶対に手を出しません。
小銭を得るために犯罪を犯し信用を失うなど全く割りに合いません。

6.騙す時に使うテクニックに引っかからない

よく使われるテクニックがあります。
- あなただけ
- 今だけ
- お金をもらえる。ただし手数料がかかる
- 考えたり相談する時間を与えないで急がせる
- 権威のありそうな先、信用できる機関の名前を使ってくる

上記のいくつかに当てはまる話が来たら、まずは家族やしっかり者の友人に相談することです。相談相手はなるべく多いほうがいいですね。
次に、信用させるために使われた名前の先に連絡を入れて、活動実態を確認します。

まとめ

  • お金を出させようと勧誘してくるものは儲からない可能性が高いので、全て拒否して問題なし。大きな銀行や証券会社が勧めてくるものも全て拒否で問題ありません。

  • 儲かりますという話は全て無視して問題なし。本当に儲かるものはすべて金持ちに取られています。

  • 資金運用は、人が介在しなければしないほど抜かれる金額が減るので儲けやすい。オススメはインデックス投資。未上場株は絶対やったらダメ。個別株もやるならちゃんと勉強してからか、ちょっとだけなら可。

  • 人にお金を預けるなどもってのほか。介在の最たるものと考えてください。

  • 一度に3億円くらい動かせる人は、本当の儲け話が回ってくる可能性があるので、上記は当てはまりません。金融資産を5億円以上もっている超富裕層です。







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