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海外移住でわかる、家族の絆

娘の高校留学を機に、メルボルンに移住して409日となりました。日に日に秋が深まるメルボルン。人恋しくなる時期ですから、ちょっと日本にいる夫のやりとりについてお話します。


期間限定の家族別居、1年が経過

私は昨年、娘の高校留学をきっかけに母娘ふたりきりでメルボルンの小さなアパートに住んでいます。日本には夫がひとりで暮らしています。つまり、私たち家族は期間限定の別居生活をしているワケです。

夫はイタリア料理店を営んでおりまして、オーナーであり、シェフでもあります。店をはじめてかれこれ20数年が経ち、夫は料理が好きで、店が好きで、車が好きで、そして、家族が大好きなとてもやさしく尊敬できる人です。

夫がメルボルン に来たのは最初の1週間のみ

私たちが結婚したのが1999年4月ですから、もうすぐ25年になります。あっという間とは言いませんが、気づけば四半世紀経っています。

夫は昨年の4月、メルボルンに引っ越しした時に1週間だけこちらで過ごしました。娘の学校を案内したり、家探しを一緒にしたり、メルボルンの街を3人で歩いたりして、いい思い出です。

あれから1年以上過ぎましたが、夫はメルボルンに来る気配はまったくありません。というのも、大切な店がありますから。夫がいなければ、店を開けることはできません。それに、何度も言いますが、店が、料理が大好きな人ですから。

ネタがなくても、毎日連絡

私はほぼ毎日、夫にLINEでビデオ通話をしています。店がちょうど閉店する時間帯の22時~22時30分ごろでしょうか。オーストラリアと日本は時差が1時間(サマータイムは2時間)ですから、連絡が取りやすいので助かっています。

とくに話すネタがない日も、かけています。
「どうも、どうも。今日、どうだった?」
そんな感じです。お互いネタがなくても、状況確認、安否確認をしています。3分もあれば、30分の日もあります。忙しくてすぐに電話を切られてしまう日もあります。

それでも、私は毎日、連絡をしています。
いちばんの理由は、つながっている、ということ。
離れているからこそ、時間をおいてはいけません。

私は、小さな問題でも夫も一緒になって考え、悩んでいます。もしかしたら、私と娘ふたりで解決できるかも知れませんが、それでも私は夫と話し合い、一緒に考えます。

毎日連絡しているもうひとつの理由は、鮮度です。
その日にあったこと、うれしかったこと、悲しかったこと、悔しかったこと、笑えることなど、何でもいいんです。その日のことを、その日のうちに共有することで、夫と時差がなくつながることができます。

毎日連絡しているものですから、先月、夫の母が他界して一時帰国した際もほとんど距離感を感じませんでした。“何から話そうか…‥‥”ということがありません。しかもビデオ通話をしているので、お久しぶり感がまったくありません。

日本にいる時からすれ違い家族


じつは私たち家族は日本にいる時も、ほぼ毎日ビデオ通話をする仲でした。夫が帰宅するのが深夜を過ぎるために、私と娘は先に寝ることがほとんどでした。加えて朝は娘と私が朝早くに出かけることが多く、夫は起きるのが10時ごろ。生活リズムが違うので、一緒に暮らしていても合うことはほとんどありません。まさに“すれ違い家族”。一緒に過ごせるのは、店の定休日の月曜日だけ。でも平日ですから私も娘も日中はほとんどいませんでした。

つまり、LINEでビデオ通話するのはメルボルンに移住したことがきっかけではなく、日本にいた頃から私たち家族の“つながり”だったわけです。

このビデオ通話は、私と夫ふたりだけではなく娘もほぼ参加しています。3人が画面にいて、話したいことを好き勝手に話す、それだけです。

娘が先日、こんなことを言いました。
「あのさ、メルボルンで暮らしてからより一層、家族が愛おしくなってきたよ」
私も同じことを思っています。離れているからこそ、相手を想う気持ちが募ります。

もうすぐ、夫にビデオ通話をする時間です。今日もとくに話すネタはありません、でもそれがいいんです。

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