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ビジネスにアート思考が求められる②

今回は企画部門とアート思考について書いてみます。

企画部門は会社全体の方向性を企画する役割があります。この「企画」というのは「考える」と言えますが、様々な情報を収集し、それらを解析し、世の中の潮流を先取りし、経営方針を出していきます。
経営(社長)の参謀として、経営が描きたいことを描き、経営に気づきを与える役割を担います。

時に経営にとって耳障りなことも描く必要がありますが、耳障りなことにも目配せし、それが経営にとってリスクである、あるいは今の方向性を修正しないといけないなら、経営に伝えなければなりません。誰しも耳障りな話は聞きたくありませんが、それを伝える技術も必要になります。

経営方針を作成する時に必要なのは、様々な情報に惑わされない軸、会社をどうしようとしているのかという哲学・思想が必要です。この哲学に基づき会社の方向性をデッサンしていきます。
社会や会社のミッションに対して真に、そして正しく、美しい姿にしていくか、真善美が問われます。

会社の方向性をデッサンするのは、絵画のようです。作風をどうするか、時代の流れをどう読むか、時代の一歩先を進むものをどう描いていくか、それをどう表現するか。

音楽の領域になりますが、会社全体を指揮するためには指揮者が必要になり、それは経営トップ(社長)の役割です。それを影からプロデュースするのは企画部門の役割です。オーケストラの楽員の特徴をよく知り、その能力を最大限に引き出し、ハーモニーを奏でる経営トップを支えるのが経営部門です。
絵画で言えば、経営トップが描きたいだろうビジネスプランのために、画材をよく知り(モノ)、筆の特徴をよく知り(ヒト)、お金と時間という予算を意識する(カネ)、それがプロデューサーである企画部門の役割です。

企画部門の重要なミッションの1つが中期計画を作ることです。会社は1年単位で結果を示す必要がありますが、中期的(3年~5年)にどうようなことを目指しているのか示すのが中期計画になります。

情報を収集し、構想を練ってから基本デザインを作る、会社のありたい姿の構図を整え、その姿を描き込みます。情報を収集する時には、鋭敏な感性が必要になります。鈍感な感性や理屈では世の中の動きをキャッチすることはできません。

中期計画はこれまでのことを否定し方向を変える機会でもあります。
これまでの画風を変えるには勇気がいりますが、反対論者がいても、新しい時代に相応しい絵姿に信念をもって表現していきます。
それを対外的に打ち出すために、視覚的に効果的なプレゼンテーション資料を作り上げます。
この一連のプロセスは絵画を描くようです。

会社には様々な課題があります。目先のすぐに解決しないといけない課題、先送りしてもいい課題。それらを優先順位つけることも企画部門の役割です。それを判断するときに、数字で計測して判断することも重要ですが、数字で計測出来ない時には直感で判断しないといけません。
空気感を読む力とも言えます。反対者が多くても、直感を信じて断じて敢行しないといけない時もあります。その時に求められるのは、軸、哲学です。

複雑化する事業環境においては、数字だけでは判断できない、あるいは描き切れないことが多く、直感や美意識によって会社の方向性をデッサンすることが求められていますが、企画部門においてはより必要になっています。

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