秋の京都の寺巡り① 東福寺、光明院
今年の春に東京国立博物館の東福寺展に行った時、展示室内に再現されていた紅葉の通天橋の美しさに感嘆し、いつかその実景を見てみたいと思っていました。
7月に東福寺を訪れましたが、梅雨の最中の驟雨で肌寒く、新緑のもみじの木々の庭にも、通天橋にも人はまばらで、広大な東福寺がより大きく感じられました。
奈良の竜田川に行った翌日の平日にその東福寺を再訪しました。
東福寺にはJR奈良線の東福寺駅から歩いて行きます。通天橋のチケット販売時間が9時からということなので、朝一なら人が少ないだろうと思い、その時間に合わせて京都駅の奈良行きの電車に乗りました。
平日の朝ですが車内は通勤客より観光客らしき人たちでかなり混んでいました。この人たち全員が東福寺に向かうのか、と思うと気持ちが急ってしまいます。変なところで妙な競争心がもたげてくる自分の性格に苦笑してしまいます。
東福寺駅は京都駅から一駅。快速電車も停車します。電車が駅に着くと車内から吐き出される人が足早に改札口に向かいます。ドアが閉まる電車の車内はまだ混んでいましたが、奈良に向かう観光客も多いようです。さすがに全員が東福寺に行くのではないと分かり、ほっとしましたが私の歩く速さは変わりません。早くチケット売り場に並ばねば、という競争心のせいで。
駅から向かう道の紅葉も綺麗で、チケット売り場の列の長さが気になりますが、見とれてしまいます。
東福寺の敷地に入るとチケット売り場からすでに列が出来ています。あの列の曲がったところに売り場があったはずなので、それほどの人数でもないことが分かり安堵し、9時になるのを待ちました。
9時になると列が動き始め、10分ほどで庭に入ることができました。
庭→通天橋という一方通行の順路になっています。紅葉のピークを過ぎているとはいえ、朝日に照らされた真紅の風景は言葉が出ない美しさです。
庭から通天橋を見ると橋の上には人がまばらです。休日になると団子状態だと聞いていましたが、これならゆっくり鑑賞できそうです。
庭を一巡りして橋の上に移動します。幸い人はまばらです。
紅葉がピーク時の休日の混雑は大変なものだと聞いていましたが、それはそうだろうと納得する美しさです。
「ナポリを見て死ね」と言いますが、「通天橋を見て死ね」と言ってもいいかもしれません。
秋の通天橋に記憶が上書きされてしまいましたが、夏の時の写真を見ているとひとけの少ない落ち着いた雰囲気の東福寺を思い出しました。
「秋の通天橋だけでなく夏の東福寺も見てから死ね」、ですね。
東福寺を後に夏に訪れたことがある光明院に向かいました。徒歩で5分ほどのところにあります。
通天橋と違って人は少なく、お堂の縁側に座ってゆっくり庭を鑑賞できます。
光明院の紅葉も綺麗ですが、初夏の凜とした新緑の枯山水の印象が鮮明に残っています。その時には長い間ぼーっと庭を眺めていました。
畳のアートのイベントの時には、通常はお堂はどんな風なんだろうと思いましたが、今回はそれも分かりました。
東福寺と光明院には7月に訪れてから5ヶ月後に再訪しましたが、5ヶ月でこんなにも印象が違う風景を見せてくれることに、日本は四季に恵まれているなあ、としみじみ思いました。
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