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社外取締役の仕事 ③

社外取締役の仕事としては、取締役会に出席する、自分が所属する委員会に出席する、そして取締役会議長・副議長を評価する、経営陣を評価するというものです。

取締役会の出席状況はアニュアルレポートに掲載され、出席数が少ないと株主から文句が出ることがありますので、よほどのことがない限り欠席できません。委員会も同様です。

取締役会の流れとしては、まずは午前中に委員会が開催され、そこで半日くらい報告を聞きながら議論します。私は監査委員会でしたが、時には社外取締役だけで議論します。

その委員会での議論の様子を、午後に開催される取締役会で委員長が報告し、委員会のメンバーが補足のコメントをします。

他の委員会を兼務している社外取締役もいますから、すべての委員会が同時間に開催されることはありません。

議論の内容はさまざまですが、監査委員会は、いわゆる3線防衛(Three defense lines)の最後の砦ですので、時には難しいテーマを議論することもあります。

翌日の取締役会では、決議事項を決議します。Board resolutionというものです。これが終われば解散になります。取締役会中は、出入りは自由です。長丁場ですから生理現象もありますので。

社外取締役は、議長・副議長の評価もします。これは、第3者機関からの訪問を受け、2時間くらい議長・副議長についてヒアリングを受けます。もちろん、匿名扱いですから誰がどのようなコメントをしたかは分からないようにしてあります。私の時には、議長が途中で任期満了で交代しました。余談ですが、最初の議長は典型的なクリーンズイングリッシュを使い、私が使った言い回しを、過去完了形に修正してくれたことがありました。歴史家でもあり、「それはCopper bottomと言って、~~~」と話しが止まらなくなることもありました。

そして、経営陣を評価します。議長・副議長の来訪を受け、それぞれから経営時についてのヒアリングを受けます。これには慎重なコメントが必要です。CEOのサクセションプロセス(後継者候補の選定)に入っている時には特にそうでした。旗幟を鮮明にするタイミングが難しいです。人の口に戸板は立てられないのは洋の東西同じだと思っていましたから、どちらがいい、などは最後まで言いませんでした。

時には、アドホック(一時的な)な委員会が設けられることもあります。株主からの要求に対する時なのです。このメンバー選定過程はいろいろあるでしょうが、いきなり指名ではありません。取締役会中に私がトイレに立ち、用を済ませて会議室に入ろうとした時に副議長が寄ってきて、「アドホック委員会のメンバーになってほしい」と言われ、その後席に戻ってから、議事が進む中で議長から「○○氏、△△氏、、、」と発表がありました。

事情により社外取締役を終える人もいます。その時には取締役会の最後に議長から「○○氏は最後だ」と発言があり、その人が挨拶します。私の時も同じでした。

社外取締役の役割は重いと思います。それゆえ、社外取締役も評価されます。次回はそれについて記します。

写真はNYのマンハッタンからの船上でみたNJです。

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