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万葉集を読んで 素朴な歌詠み感

数ヶ月かけて万葉集を読み終えました。文庫本で4巻。約4500首が収録されています
今更、万葉集を読もうと思ったのは、古今和歌集・新古今和歌集をボロボロに批評した正岡子規が万葉集を高く評価しており、その理由に近づきたかったからです。

正岡子規は「歌よみに与ふる書」で、貫之は下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集に有之候、と批判し古今集と紀貫之の名声はガタ落ちになりました。
正岡子規は万葉集と源実朝を評価していました。実朝の歌についてはnoteに書いたことがあります。
万葉集は4500以上の歌があり時間がかかりました。通底するのは素朴さです。


万葉集は日常的な人間味のある言葉が使われいる感じがします。公家社会の雅はあまりありません。奈良時代前後の歌ですから、平安時代の公家文化を背景とした古今・新古今とは違うのは詠まれた時代が違うからでしょう。

実朝は京に憧れながらも鎌倉の地に留まらざるを得なかったため、公家文化とは異なる作風です。

正岡子規が古今を批判したのは当時の歌壇の諍いもあったようですが、万葉の素朴さを評価したのでしょう。

私は国文学を学んだことはありませんので素人感覚ですが、正岡子規が言いたかったことに少しは近づけた気がします。

万葉集は将来への予祝をこめる一首をもって終わります。最後の歌として相応しいと思います。

(4516)
新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事
新しい年の初めの初春、先駆けての春の今日この日に降る雪の、いよいよ積もりに積もれ、佳き事よ。

「新版 万葉集 1、2、3、4 現代語訳付き(角川ソフィア文庫)Kindle版」
「歌よみに与ふる書 正岡子規 岩波文庫」


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