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指揮者は会社のマネジメントと同じ

アートがビジネスに役立つというような本の出版が相次いでいます。これには同感しますが、ここでは音楽がビジネスに役立つことを書きます。

音楽といっても様々なジャンルがあり、加えていろいろな楽器がありますが、クラシック音楽での指揮者のパフォーマンスはビジネスでのマネジメントに似ています。

クラシック音楽については私は楽器を扱うことはなく専ら鑑賞する側で、よく演奏会に出かけることがあります。生の演奏はCDとは違って、耳だけでなく全身で音符を受け止めるような感じがしますし、その時のパフォーマンスは二度と体験できないので、些細な部分も聴きもらすまいと全集中して臨みます。

楽器のパートでは弦楽器が好きですが、演奏中の指揮者を見るのが好きです。

オーケストラの奏でる曲は指揮者によって違ってきます。指揮者はオーケストラの団員1人1人の音を聞き分け、そのパフォーマンスを最大限に引き出そうとします。
そして、全体として調和のとれた音に仕上げていくのです。

団員の中にはその日の調子が悪い人もいるでしょうし、気分が乗らない人もいるでしょう。そういう人を盛り立て、落ちこぼれないようにし、オーケストラの力の120%を引き出します。
あるいは、団員全員の気持ちを高ぶらせ渾身の演奏を披露します。

指揮者がふる指揮棒の微妙な動きで、オーケストラが魔術にかかったように波のような動きをし、それまで聴いたことがないようなパフォーマンスになります。

私が好きなのは、グスターボ・ドゥダメル。ベネズエラ出身の指揮者です。この映像は若い時の指揮で、かなり動きが激しいですが、ここ数年は動作は小さく、手先を少し動かすだけでオーケストラを自在に操り、素晴らしい演奏を披露してくれます。
2017年1月にはウィーンのニューイヤーコンサートで指揮者を勤めました。
彼の指揮によってオーケストラのメンバーは催眠術にかかったかのようになります。私は、この指揮が見たくて、オーケストラの後ろの方の席をとり、指揮ばかり見ていたことがありました。

指揮とオーケストラと演奏会は、ビジネスでのマネジメントと同じだと思います。

組織のメンバーには、仕事のパフォーマンスが良い人もいれば、今ひとつの人もいます。その日の体調の具合もあります。心配ごとがあり、仕事に集中出来ない日もあるでしょう。そうしたメンバー1人1人の状態やパフォーマンスや仕事ぶりを把握し、彼ら彼女らの能力を最大限に引き出し、あわせて組織全体の調和を保ちながら、職務を遂行するのがマネジメントです。

時にはバイオリンのパートの弦が切れることもあるでしょうが、そのような時に備えるのも指揮者の役割です。マネジメントにおいても想定されるリスクに備えることが肝要ですが、当意即妙な対応をするのも指揮者であり、マネジメントの役割です。

団員との関係を良好に保っている、団員との信頼関係がある指揮者の演奏は安心して聴くことができます。これもビジネスでのマネジメントと同じです。

クラシック音楽ではリハーサルのことゲネプロといいますが、ゲネプロでの細かな団員への指示も、組織運営での朝礼のようなものです。
(ゲネプロとはドイツ語のGeneralprobe(ゲネラールプローベ)の略称です)

実際に演奏会に行かずともYouTubeで指揮者のパフォーマンスを簡単に見ることができます。ゲネプロもアップされていますので、覗いてみてはどうでしょうか。



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