現代アート 友禅の多様性と独自性に触れる
東京藝術大学の美術館で開催されている上原利丸教授の退任記念展に行ってきました。
上原利丸教授のコメントが藝大美術館のHPに掲載されています。
「本展覧会は、東京藝術大学美術学部工芸科染織研究分野で学生の指導にあたってきた上原利丸の退任展です。上原利丸の研究と大学での活動を「文化・芸術・教育」の3エリアに会場を展開し、平面パネル作品や振袖等合わせて90点を展示します。
ビビットな色彩のコントラストとユーモアなイメージを凝らした意匠的造形美を駆使した作品は、平面でありながら奥から前面へと飛び出てきそうな錯覚を与える。
この特別な感覚には理由があり、キャンバスや紙に絵の具で描いた「絵画」ではなく、本友禅染の染色技法により生地を染料で染めあげることで描かれている。
本友禅染はもちろん日本伝統の着物の絵付けの一つでもあるが、私はそこに現代性を見出し現代のアート作品としての制作を続けていく」
1つ1つの作品は服飾・布地というより現代アートのようです。
学芸員さんに制作方法を教えてもらいましたが、友禅を重ねて絵画のようにしているそうです。
作品に近づいて見ると、子供の落書きのような文字があります。たまたま上原教授がいらっしゃったので、
「あの文字は何でしょうか?」とお聞きしました。
「子供が小さいころに落書きした紙をいろいろ保存してあり、それを下図に使っている」
とても面白い創作だと思いました。何十年も前に自分の子供が書いた文字を作品に使うということは、時間を超越した唯一無二の貴重な画材、です。
干支をモチーフにした「乙女桜 今年もよろしく」という題名の作品にも惹かれます。鹿児島出身の教授は地元鹿児島の焼酎メーカーとコラボされているそうです。
上原教授は大学を退任後、より自由に創作されるそうです。どのような作品に巡り会えるか楽しみです。
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