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若い作家さんをフォローし、作品の変化を楽しむ

何人かの若い作家さんをフォローしています。30歳前後の作家さんたちがインスタやTwitterで発信する情報が中心ですが、個展やグループ展が開催されると行くことにしています。
個展もグループ展も頻繁に開催されませんから、だいたい半年に1回のペースです。

実際の作品を見ると、SNSの写真では伝わってこない作品の微妙な変化が分かります。おそらく作家さん本人は気が付いていないかもしれません。
作風が変わる場合もありますが、半年ぐらいですと作風が変わるのではなく、作家さんの思索・哲学というようなもの、言い換えれば作品を通じて伝わってくる作家さんの思いの変化や深掘りようなものが伝わってきます。
私は絵画の技術的なことは全くの素人ですが、それでも描き方の変化なども気がつきます。
こうした作品の変化、作家さんの変化を感じ、その印象を作家さんと話すのは、ピカソ展などの美術展では出来ない楽しみです。
また、大家と言われる大作家さんには、恐れ多くてとても印象など話すことはできません。
だからといって、素人の私が若い作家に対して思ったことをずけずけ言うことはしません。1つ2つの印象を話し、それについて作家さんから感想を聞く程度です。

今回は東京の京橋で開催されている個展に行ってきました。この作家さんの作品はいくつかお迎えしたことがあり、自分で額装したこともあります。
個展をまだ開催される前の頃に購入させて頂きました。
古代ローマをテーマに水墨画で描かれています。

まずこの作品を見て、雲の描き方が変わったように思いました。
「ヨーロッパらしい雲ですね」
雲を描くのは難しいそうです。最近は空の空間部分に雲を描くようにしている、とのことでした。

以前の作品では建物が印象的でしたが、今回は雲が印象に残ります。その雲が建物を引き立ているように感じます。

さらに、遠くの塔がぼやけているので遠近感が鮮明になっています。
「この塔がぼやけて描いてあるのでより3Dに見えますね」

これも濃淡のある雲が手前の遺跡を引き立てているように思います。白い和紙の地の色を上手く使った表現だと思います。

作家さんは和紙にも気をくばっています。この作品の和紙は200年前の中国製とのこと。ややセピア色の和紙ですが、その和紙が持つ色のお陰で真夏のローマのような作品になっています。

この作家さんからは和紙についてもいろいろ教えてもらったことがあります。越前和紙の人間国宝の岩野市兵衛さんのこと知り、これをきかっけにいろいろ調べました。
書店や百貨店で、店員さんから作品の説明を受けることがありますが、
「これは越前和紙を使っています」
「越前和紙ですか。岩野市兵衛ですか?」
「おっ、お客さん、お詳しいですね。この和紙は、、、、」
というような会話につながって行くようになりました。和紙に詳しいわけではないのですが。。。

若い作家さんの個展やグループ展に行って、その作品の変化を感じたり、作家さんと話しをするのは展覧会と違う絵画鑑賞の楽しみ方です。
同じ作家さんのフォローしていると、作品の変化だけでなく作家さんの心境の変化なども知ることができます。
素人ですから専門的なことは分かりませんし、批評家でもありませんから、感じた印象を控えめに言うだけですが、期待を伝えることもあります。

「ぜひ、ルクセンブルクに行って、あの3Dの景観を描いてほしい」
「アルプス以北の、雲を描いてほしい」
「ローマ帝国の最北の町のドイツのトリアを描いてほしい」

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