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三日坊主日記 vol.126 『菖蒲湯で古を感じてみる』

菖蒲をもらって来た。


古来中国では季節の変わり目には病気や厄災が蔓延していた。その邪気を払うために菖蒲を使用した行事があって、それが奈良時代に日本に伝わったのが端午の節句のルーツだそうだ。菖蒲の強い香りが邪気を払うと信じられていたらしい。菖蒲をはじめとした薬草を浸した湯を浴びたり、酒に浮かべて飲んだりしたということだ。


旧暦の5月5日ということは、今でいうと6月の末頃か。確かにジメジメしてるし気温も高い嫌な季節かもしれない。エアコンや除湿機のない時代では過ごしにくい季節だったろう。


それにしても、最初に菖蒲を薬草として試した人はなんともチャレンジャーだ。菖蒲に限らず薬や毒は試して初めて効果がわかるんだから、実験台にされた人も多かったんだろう。貴族たちは平民を実験台にしていたのかも知れない。弱者が煽りを喰うのは昔も今も同じということか。


昔は今では信じられないほど病気で簡単に命を落としただろうから、一か八かで自らトライする人も多くいたかも知れない。どうせ死ぬのなら、一縷の望みに賭けてみるのも手だ。


昔はこうして自然の力を借りて、知恵を絞り、自分たちの暮らしを守る習慣がたくさんあったのだろう。僕が育った昭和の時代もまだまだその習慣は残っていた。当時はとても面倒臭く無意味なことに感じていたけど、今になって思えばとても大切な文化なんだと思う。


合理化という名のもとに、こういう必要な無駄がどんどんなくなっている。習慣というのは文化であり、歴史であり、民族のアイデンティティーなんだから、きちんと伝えていかないといけないのだ。このままでは日本が根無草になってしまう。


各家庭で残すことができないとするならば、学校の授業で教えるとかなんとかできないもんだろうか。貴族や武家社会、政治家の歴史ももちろん大切だけど、その他大勢の名もない庶民の歴史もやはり大切だと思うのである。


ということで、今夜は菖蒲湯に入って古に思いを馳せてみたいと思う。リラックス効果・血行促進・肩こり・腰痛予防・冷え性・筋肉痛・リウマチなどに効果があるらしい。知らんけど。



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