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「M&AをUpdateしよう」M&Aクラウドが目指す“経営者の意思決定に役立つメディア”とは

M&A・資金調達のマッチングプラットフォームを展開してきたM&Aクラウドが、2024年4月8日にM&A特化型メディア「Update M&A」を正式リリースしました。運用開始から3年を経たオウンドメディア「UPDATE M&Aクラウド」の知見をもとに、M&Aに関心のある幅広い読者に、M&AやPMIに関するオリジナルの連載企画やインタビューを発信していくという構想です。

M&Aクラウドが今、メディアを通じて発信したいメッセージとは。CEOの及川厚博と「Update M&A」編集長の相馬留美が対談しました。

“ドライなM&A”からの脱却

相馬 2021年に運用を開始したM&Aクラウドのオウンドメディア「UPDATE M&Aクラウド」がリニューアルされます。新メディアはM&A特化型メディア「UPDATE M&A」――、4文字取っただけですが、“M&A”を発信する媒体へとアップデートされますね。

及川 そうですね。一般的にM&Aは金融の世界で使われる「ドライなM&A」というイメージが強いじゃないですか。「ハゲタカ」とか「テイカー」といった、ゼロサムゲームのような見方です。M&Aそのものが閉じられた世界だったのですよね。私たちは起業家や事業家の視点に立ち、M&Aを事業戦略から捉える発信を目指しています。

相馬 ファイナンスの側面だけでなく、M&Aの多面的な情報を提供することで、ドライなイメージを払拭したいですね。

及川 その通りです。経営者の意思決定に役立つメディアにしていきたいんですよ。

相馬 やりましょう!今後、各社のM&Aの戦略やさまざまなM&Aのスキームの解説など、事業に役立つコンテンツをどんどん発信していく構想を持っています。及川さんとしては、今後発信していきたい具体的なコンテンツのアイデアはありますか。

及川 たとえば、「注目のスタートアップM&A」シリーズは良い例です。「時価総額は8年で200倍、ヘルステック領域で14社をM&AするJMDCの『データで儲ける』経営戦略」の記事のように、M&Aを単なる「点」ではなく、競合企業の動向や経営状況を踏まえた「線」として捉えることが重要です。そうした視点からのコンテンツを提供し、経営戦略に役立ててもらえればと思います。

「M&A=起業家のキャリアチェンジ」に注目

相馬 グループインする側の企業の経営者目線のコンテンツについてはどうですか。

及川 「UPDATE ENTREPRENEUR」というコンテンツを発信していますが、これは“M&A=起業家のキャリアチェンジ”というメッセージから生まれた企画でした。私も自身が起業した会社を売却し、2度目の起業を経験したことで、M&Aは起業家にとってキャリアの一環であることを実感しました。

相馬 M&Aをした起業家のキャリアの話題は、あまり語られることがありませんね。

及川 ブラックボックスになっていると思います。私は学生時代に初めての起業をして、設立して3年後に売却するんですが、そのときに相場より安く売ってしまったんです。M&Aについて情報を収集し始めたとき、ネット上にはあまり情報がなく、M&A業界には「情報の非対称性がある」とそのとき知りました。その経験があったからこそ、買い手側の情報をオープンにしたエントリー型の仲介サイトを構築するという発想が生まれ、M&Aクラウドの設立という2度目の起業につながっています。

ですから、M&Aは起業家の転職であり、起業家のキャリアパスの一つであると多くの人に知ってもらえたらいいなという強い思いがあります。M&Aを経験したことが起業家のキャリアにとって必ずしもネガティブなことではないということを、私は伝えたいと思っています。ですから、起業家がキャリアを考えられるようなコンテンツを発信していきたいですね。

M&Aのリアルな情報を届けるメディアへ

相馬 もともとnoteで始めたM&Aクラウドのオウンドメディア「UPDATE M&Aクラウド」は、2021年1月に運用を開始しました。私がこの会社に加わったのは昨年7月ですが、入社面接のときにリニューアルの構想について話がありましたね。なぜ、リニューアルを考え始めたのでしょうか。

及川 市場の変化が大きな理由ですね。ここ数年で、M&Aを事業戦略として捉える企業が増えたり、企業価値を上げるためにM&Aという選択をする企業が出てきていることから、情報発信を強化し、M&Aを検討する際の参考にしてほしいと考えています。実際、私のもとにも、いろいろ事例を教えてほしいとか、M&Aした経営者を紹介してほしい、といった依頼も非常に増えていますしね。

相馬 たしかに、IR情報として各企業から発信されている情報も、M&Aについて手厚く掲載する企業は確実に増えてきています。

及川 もともとは、オウンドメディアを始めたのは採用目的でした。ですが、スタートアップの経営者に届けるべき情報はもっとあるはずなのに、一般的なメディアで報じられているM&Aの情報は少ないとも感じていたんです。スタートアップのM&Aの情報がメディアで取り上げられにくい背景としては「スタートアップのM&A」の成約件数自体多くはなく、メディアの読者層にとっては知名度のある会社ばかりではないからという事情があることもわかってきました。

しかし、今からM&Aの必要性を喚起しなければエコシステムはさらに鈍化していきます。ですから、オウンドメディアを使って経営者に有益な情報も自ら発信していくことにしたんです。ただ、自分が実質的にはメディアの管理者だったので、もっと盛り上げるためにはメディアが自走できたらいいなと思っていたところに、相馬さんの紹介があったと。ところで、相馬さんが商業メディアからM&Aクラウドに移るというのは、大きなキャリアチェンジだったと思いますが、どうして当社を選んだんですか。

相馬 ここ数年の自分なりのテーマとして、日本を活性化させるために、記事を書くという形でスタートアップを応援していきたいと思ってきました。しかし、商業メディアは広告ビジネスであるため、PVを稼げる記事であることが重要です。大企業の記事と比較するとどうしてもスタートアップの記事は全体的に数字が弱いため、昨今ではスタートアップの記事を減らしたり、そもそもスタートアップをターゲットとするメディアそのものがなくなったりする流れがあります。

もう一つ、個人的に興味を持っていたのがスタートアップのM&Aでした。スタートアップを取材していると、M&Aには消極的な人が多く、結果的にM&Aの最良のタイミングを逃してしまってスケールできなくなるケースも結構あるなと気がつきました。起業家たちは先輩たちに話を聞くくらいしか情報の取り方がないというのが現実なんですよね。数千億円、数百億円単位のM&Aの話は世に出ていても、数億円単位のM&Aについては情報がとても少ない。M&Aを身近なものにするためには、もっとメディアが取り上げるべきなのになと思っていました。

及川 まさしく自分もそう考えていました。だから、その課題を共有できる人に編集長を任せたいと思って、相馬さんにお願いしたんです。

相馬 初めにこの媒体の話を聞いたとき、スタートアップのM&Aというニッチだけれど多くの起業家が必要としている情報を届けるには、むしろ事業会社のほうが持続可能なメディアにできるのではないかと考え、挑戦したくなったんです。

及川 実際にM&Aを経験した人のエピソードは、あまり公にはされていませんね。

相馬 「UPDATE M&A」では、できるだけリアルな情報を伝えられるように、積極的に企業に取材させていただこうと思っています。

及川 「UPDATE M&A」の取材は順調ですか?

相馬 おかげさまで、リニューアル前から企業様からの情報提供も数多くいただいています。M&Aに対する関心の高さが伺えますね。また、M&Aを経験した起業家の方たちにも取材させていただいていますが、「このテーマで取材を受けたのは初めてです」と言われることが多いですね。M&Aをした起業家が自分で発信しないかぎり、情報発信はなかなか難しかったのだろうなと改めて感じます。

及川 リアルな体験に基づいた記事で、読者に新しい視点を提供するメディアになりますね。これからたくさん取材もしていくんでしょ?

相馬 はい、頑張ります!力を合わせて、有意義な情報を発信し続けましょう!M&Aに関わる皆さん、ぜひお声がけください!

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