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【話題沸騰】登録者急増のclubhouseを徹底解剖~ビジネスモデルとビジネス活用~

サービスリリースからわずか3ヶ月でユニコーン企業入りを果たしたサービス「Clubhouse」。メディアでも連日取り上げられ、既に日本でも多くのユーザーを獲得している音声SNSである。
そのビジネスモデルとビジネスの活用可能性について解説する。


Clubhouseの魅力解説

これはClubhouseの実際の画面だ。

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(出典: https://www.milleworld.com/clubhouse-new-app-exclusive/ )

音声版SNSと言われているように、「こんなことを話したい!」とRoomと呼ばれる部屋を立ち上げると、そのRoomに入っている参加者は自由に話をしたり聞いたりすることができるようになっている。

設定項目にInterestsという項目があり、多様なカテゴリーの中から、自分が興味のある項目を選んで設定しておくと、その項目に関連するRoomがホーム画面に表示される仕組みだ。

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様々な人と繋がれることが1つの魅力で、著名人有名人と直接話ができるというのはプレミア感がある。

私も実際Clubhouseを利用し、ワールドビジネスサテライトのキャスターのRoomに参加してみた。
ワールドビジネスサテライトの豊島キャスターが「使ってみた方から意見聞きたい」と発言された為、「不動産ビジネス、不動産テックビジネスとしてClubhouseについてどう見ているか」という内容をお話しさせて頂くことができた。
収録を終えたばかりの大江キャスターがRoomに入ってきてお話し聞けたりした為、そうしたコミュニケーションが簡単に、かつリアルタイムにできるというのはこれまでのS N Sにない特徴で、これが爆発的にブームになっているClubhouseの魅力の1つだと思っている。

もう1つClubhouseのブームのきっかけとなったのが招待制ということだ。
アカウントを作るには、アプリをApp Storeからダウンロードして登録するだけで良いが、実際に会話を聞いたりするためには既に参加しているアカウントから招待してもらわないと利用開始できない。
この招待制という希少性、プレミア感が、乗り遅れたくないという心理、これをFOMO(fear of missing out:SNSから取り残される恐怖)というが、FOMOを生んで、利用ユーザーが増えていった。

他の魅力として、Clubhouseは「ながら聞き」ができる。
Clubhouseは聴きながら仕事していて、気になる内容があったときだけ発言するといった使い方ができる為、エンドレスで利用可能だ。
だからこそ、ずっとClubhouseやり続けるClubhouse中毒者が出ている現象につながっている。
Facebookやニュースサイトみたり、Twitterやったりと目の利用時間は1日中消費されている一方で、耳の可処分時間は意外と余っていて、音楽を聞く程しかなかったのがこれまでのS N S世界だった。
Clubhouseはそのまるっきりブルーオーシャンだった耳の可処分時間を狙ったところがビジネススキームとして優れている点だ。

異例の速さで流行したClubhouse

Clubhouseを開発・運営しているAlpha Exploration社が創業されたのは2020年の2月で、まだ1年しか経っていない。
サンフランシスコで創業され、創業者はPinterestによって買収されたモバイルアプリHighlightを創業したポール・デイヴィソンと、Google Mapsなどでエンジニアとして働いていたローハン・セスだ。
当初のベータ版はシリコンバレーのベンチャーキャピタルを中心に5000人程のテストユーザーにリリースしたが、これがベンチャーキャピタルの間で話題になり、2020年4月18日には既にTech Crunchに取り上げられるほどに注目された。

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(出典: https://techcrunch.com/2020/04/18/clubhouse-app-chat-rooms/?guccounter=1 )

こちらがTech Crunchの記事だ。
「Clubhouseは今週末、VCのTwitterを介して爆発的な話題を集めた。人々は、招待状を求めて騒ぎ出し、メンバーシップに参加できた人々は静かに自慢し、彼らのFOMOをからかったりした。現在のところ、公開されたアプリやサイトは存在しない。Clubhouseという名前は、人々が集団の一員になりたいと切望していることを見事に言い表している。」
と報じた。

2020年の4月はパンデミック真っ只中で、サンフランシスコもロックダウンのタイミングだったが、まさに人々が外出できなくなり人との接触を求める中に、リアルタイムに様々な人と繋がれると爆発的なブームとなった。
「今、その場にいる臨場感」「今、その場にいなければできない」という同期性を求められていた中でそれが実現できるS N Sが登場したのだ。Clubhouseは過去の投稿ではなく、リアルタイム性を狙った。
その為Clubhouseはアーカイブを残せない、残さない。会話の録音も禁止されていて、アプリの録音機能が使えなくなっている。会話のメモすら規約で禁止されているほどだ。

だからこそ、Clubhouseはリアルタイムというのに徹底的に拘っているが、それが実現できる技術は本当に素晴らしく、大勢の人間が一斉に話をしても、ほぼディレイがなく会話が成立する。
これまでの様々な音声サービスでは実現できなかったレベルの同時通話性を担保しているのがClubhouseの凄さとも言える。

Clubhouseのビジネス展開

2020年5月にFacebookやSlack、Airbnbなどにも出資をしたアンドリーセン・ホロウィッツから資金調達をしたが、その時点での時価総額はおよそ100億円だったと報じられている。
サービスリリース1ヶ月でいきなり100億円の時価総額というのは異例だ。

通常のベンチャーキャピタルは秘密主義で、お金だけ出すようなところも多いが、アンドリーセン・ホロウィッツはむしろ、ブログやポッドキャストや動画配信などでの情報発信に積極的で、投資後の販売、マーケティング、採用支援にも力を入れているベンチャーキャピタルだ。
アンドリーセン・ホロウィッツのスタッフ180人のうち100人は投資後の支援スタッフであると言われている。
こうしたベンチャーキャピタルからのサポートを受け、著名人の間で噂になり、私も使ってみたいと焦燥感を煽った上で、満を侍して2020年10月23日にClubhouseがApp Storeに公開された。
著名司会者のオプラ・ウィンフリー、コメディアンのクリス・ロック、俳優で投資家としても知られるアシュトン・カッチャー、俳優のジャレッド・レトなどの利用もあり、アプリの知名度は爆発的に拡がった。

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(出典: https://backlinko.com/clubhouse-users )

2021年1月にはシリーズBの資金調達ラウンドを実施し、時価総額は1000億円になったと報じられた。
サービスの正式リリースからたった3ヶ月でユニコーン企業となったという凄まじいスピード感である。
たった10人程度の会社が時価総額1000億円とは前代未聞だ。
そのサービスが日本でも1月末頃から使えるようになり、今大ブームとなっている。

Clubhouseのビジネスモデル

現時点でClubhouseは収益プログラムを持っていない。
他のS N Sのように広告やギフトといった機能が搭載されていくのはこれからだが、基本的な方針として「クリエイター」を中心としたエコシステムを構築するというビジョンは語られている。
現在のClubhouseの規約では原則ビジネス・商売に使ってはいけないということになっている。ここがClubhouseのマネタイズの肝になるところだ。

今回、時価総額1000億円で調達した資金は、「プラットフォーム上で人気を得つつあるクリエーターをサポートする」ための仕組みを提供していくためのクリエイター助成プログラム(Creator Grant Program)に投下されると発表された。
その為、今後の展開としてはパトレオンのようなクリエイターへの支援をパトロンになって行う機能や、Youtubeの投げ銭スパチャのような機能が搭載されるのではと言われている。
(パトレオンとは、クリエイターを直接支援できるプラットフォームのこと。)

先ほど紹介したTech Crunchで、Clubhouseでは3つの分野(チップ、チケット、サブスクリプション)について「この数カ月間 」に最初のテストを開始すると報じていて、YouTubeなどのクリエーターに収益化の機会を提供する機能をClubhouseプラットフォームに組み込むことを考えているのかもしれないとも書いてあった。
この中で「チケット」は独特で、座談会形式のClubhouseイベントと相性の良いオプションとして提供され、この導入はバーチャルイベントを開催したい企業などがClubhouseを利用することを想定しているようだ。

またRoomではなく、その先にさらにClubという機能が使えるようになっている。
これはRoomを3回以上オープンした人を優先に開設申請をしたあと承認される機能だが、これにスパチャや商業利用可の権利が付けられるようになるのではとも推測されている。
既にアメリカでは、討論会や雑談としての使われ方だけでなく、音楽会やライブイベント、ラジオ番組のような使われ方もしていて、それぞれのRoomに多様なニーズが生まれている。

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(出典: https://backlinko.com/clubhouse-users )

日本でもたった2週間程で急速にサービスが広がっているClubhouseである為、これから多様なビジネス活用がされていくだろうと予測されている。

最後に

さて、今回は今世界中で大ブームになっている音声SNSのClubhouseについて、その概要とビジネスモデル、ビジネスへの活用可能性について解説した。
不動産テックプレイヤーにとっては音声というコンテンツにこれからどうやって向き合っていくのかというヒントになり、不動産事業者にとっては自社の顧客への新しいアプローチ方法が増えるという意味でビジネス活用の可能性が見出せたのではないかと思う。
今後もこうした最新のテックトレンドについて解説していく。

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