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Wework元CEOアダムニューマン最新動向

Weworkを追い出され、ソフトバンクへの株の譲渡も白紙。大富豪でなくなってしまったとも言われるアダムニューマンが次に注目している不動産ビジネス「Alfred」とはどのようなサービスか。バトラーサービスとして全米20都市10万世帯にサービスを提供する「Alfred」のビジネスモデルを解説する。


ソフトバンクがWeWorkへの30億ドルの出資を撤回

WeWorkといえば、格付け会社フィッチレーティングスがWeWorkの格付けを格下げしたというニュースが報じられたばかりだ。
今のCCC+からCCC に一段落とすという内容で、CCCというのは24段階ある格付けレベルの下から7番目の格付けである。

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(出典: http://www4.plala.or.jp/anshin/kakuduke_kigo.html)

長期債務を支払う能力が著しく低く、長期債務のデフォルトの可能性があるという評価だ。今回の最悪のシナリオはコロナショックで、オフィス需要が低くなることで、WeWorkがキャッシュを使い果たしてしまうということ
が懸念されている。
実際、Coworking Insightsによる、600人を超えるコワーキングオペレーターとユーザーへの調査で、71%のスペースを使用する顧客の数が大幅に減少し、会員数と家賃も下がっているとまとめている。

こうした悲観的な見通しも一部ある中で、収益性を高めるのに必死になっているWeWorkは、ソフトバンクの救済措置も難しい現状で、ソフトバンクがWeWorkへの30億ドルの出資を撤回してしまったというのは記憶に新しい。
さらに、30億ドルの調達という前提で金融機関から11億ドルのクレジットラインを引っ張るという話だったが、それもダメになってしまった。
よって、WeWorkの今後のキャッシュフローに疑義が生じて今回の格下げになったのだ。
30億ドルの出資に関しては、アダムニューマン元C E Oの保有する9億7000万ドルの株をソフトバンクが譲り受けるという内容も含まれていて、その話もなくなってしまった。

今回の一連の騒動で、アダムニューマンはもう億万長者とは言えなくなったという記事も出ている。もともとニューマンの資産は140億ドルだったとブルームバーグは報じていたが、現在は4億5000万ドルの評価となっていて、97%資産が下落したと分析している。
4億5000万ドルだけでも十分億万長者だと思うが、アダムニューマンの借金と浪費癖を考えると、全く足りないのだろう。マイケルジャクソンの例を持ち出すまでもなく、いくら財産があってもそれ以上使えば当然破産する為、そうした意味でもう億万長者のようにお金は使えないだろうということである。
よって、ソフトバンクの決定はアダムニューマンにとっては困ったことになる為、デラウエア州エクイティ裁判所に出された訴状によると、30億ドルの出資撤回に関して契約違反と信認義務違反という内容で、5月4日にソフトバンクを訴えている。

アダムニューマンの生い立ち

アダムニューマンは1979年イスラエルの生まれで、7歳の時に両親が離婚して以来、母親と共に暮らしていた。母親は医者だったと言われているので、それなりに不自由のない生活だったのではないかと思われるが、重度の失読症であったため、小学3年生まで読み書きができなかったとのことだ。
アダムニューマンといえば、大風呂敷を広げて、資金調達をしてきたというイメージがある為、この背景は少し意外に思うかもしれないが、発達障害やA D H Dであった有名人は結構多い。

アダムニューマンは小学校卒業後にイスラエルの国防軍に5年勤務して、その後ニューヨークに移って市立大学のバルーク大学でビジネスを専攻した。
この頃にWeWorkのビジネスモデルの原型として共同生活型のWeLiveを思いついたと報じられている。

そのアダムニューマンが不動産ビジネスに帰ってきたというinmanの記事である。

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(出典: https://www.inman.com/2020/10/15/adam-neumann-former-wework-ceo-returns-to-real-estate-industry/)

彼のファミリー会社が不動産関連のビジネスに出資したという内容だ。
アダムニューマンが、Alfredという会社に3000万ドル出資したと書いてある。

Alfredのスマホアプリ【Hello Alfred】

さて、このAlfredという会社は、【Hello Alfred】というend to end のサービスを提供しているスタートアップ企業だ。
バトラーサービスとも言われているが、忙しいビジネスワーカーの代わりに、執事のように様々なサポートをしてくれるアプリである。

2014年創業で、サンフランシスコで開催されたStartUp Battle Fieldコンテストで優勝している。2020年現在、全米20の都市の10万世帯にサービスを提供しているということで注目を集めている会社だ。
ユーザーは忙しいビジネスマンなどがターゲットである。クリーニングだったり、食料品の買い物の代行、ベッドメイク、ゴミの除去、荷物の配達、処方箋の受け取りなどの家庭内の用事を注文できるサービスだ。
【Residential services and in-home technology】ということで不動産テック分野にカテゴライズされている。

こちらがHello Alfredのスマートフォンアプリである。

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(出典: https://www.inman.com/2016/01/11/hello-alfred-helps-agents-give-clients-the-gift-of-time/)

Aというボタンを押して執事とチャットでやり取りして、家に来てもらうウェルカムアポイントメントをスケジュールするという使い方だ。
全てこのアプリだけで家事代行が完結する仕組みがユーザーに受けている。

料金は、週一回家に執事役の人が来てくれるコースだと週32ドル、週二回だと59ドルの為、Uberよりも手が届きやすいちょっとした贅沢という料金設定になっている。
「忙しくてお手伝いさんを雇いたいけど、そこまでお金は出せない」というボリューム層をターゲットにしているところが急成長のポイントだと思っている。

WeWorkとAlfred

Alfredのビジネスモデル上の特徴の一つが、外部サービスと連携しているという点である。
全てのサービスをAlfredが開発して提供するわけではなく、例えば洗濯代行サービスのRinseなどとA P I連携することで、自社のリソースを使うことなく、ユーザーに高品質のサービスを提供することができるということだ。
勿論、執事となるクライアントマネージャーはAlfredが雇用しているが、クライアントマネージャーは、採用される前に、より経験豊富な執事との厳格なトリプルバックグラウンドスクリーニングと2週間のトレーニング期間を経て採用される。

集合住宅を管理運営する不動産事業者にもサービスを提供している。BtoB向けの不動産テックらしいサービスである。

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(出典: https://helloalfred.com/)

【パワードバイアルフレッド】というプラットフォームサービスが、建物全体の居住者にホームマネージャーを派遣してサービスを提供するモデルで、建物管理業者は、居住者へのサービスをAlfredに丸投げできる点がメリットとなる。
ユーザーに住宅関係のアメニティーサービスを提供して、住体験の質を高めるという内容はWeWorkに非常に似ていて、この辺りが今回アダムニューマンがAlfredに出資した理由とも言えそうだ。

AlfredのCEOのサポーネ氏は、2019年3月のテッククランチの記事で、「WeWorkが商業用不動産を変革するにつれて、Hello Alfredは住宅用不動産を変革し、今日の都市に住むことの意味を再定義しています」とコメントしているように、Weworkのビジネスモデルを相当参考にしたことが推察される。
海外では大苦戦のWeworkだが、日本ではコロナの影響で、シェアオフィスやコワーキングスペース、サテライトオフィスが見直されているという話題もあって、業績は好調のようだ。
従来より半額以下のサブスクプランを発表して、月額39000円で国内6都市、36拠点が利用可能になるというものである。
会員数では2万3000人以上と、コロナ禍でも増加している。

これに対して、アメリカでは外出禁止の状況で、Weworkは所有者から家賃を減免してもらっている中、利用者にWeworkのスペースが使えないのに料金を請求している、ということが話題になっている。
フィッチレーティングスの格下げも納得できる話だ。

最後に

今回は【帰ってきたアダムニューマン】という内容で最新情報を解説した。
Hello Alfredのようなサービスは日本でもニーズが多いと思っている。
今後、そうしたベンチャーが出てくる日も近いかもしれない。

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