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出会いはチャンスでしかない―三島まちなかのダンススタジオ「314ST」に秘められた思い

こんにちは!
加和太建設株式会社 まちなか事業室の狩野です。

今年1月、私たちが出店のお手伝いをさせていただいた、まちなかエリア初となるダンススタジオ「314ST(サンイチヨンスタジオ)」がオープンしました。元々はこの場所、まちなかで50年続く老舗の眼鏡屋さんでした。

眼鏡屋さん当時の写真。大きく様変わりしたのがわかります。

今回は、「314ST」のオーナー、小野美智代(おのみちよ)さんへのインタビューを実施。なぜダンススタジオを始めたのかや、小野さんが自らの事業にかける思い、これからの展望についてのお話を伺いました。


きっかけはコロナ禍で生まれた生活の変化

――そもそもダンススタジオを始めようと思ったのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

小野さん:元々はダンスが好きな娘たち、「KiNAKO-AiCE(きなこあいす)」の成長・変化が私を動機づけたきっかけです。彼女たちは、小学5年生まで三島市内のダンス教室に通っていたのですが、コロナ禍で発表会も無くなったり、所属していた選抜チームが解散したりして、結局その教室を辞めることになり、好きなダンスを続けられないという“ダンス難民”になった時期があったんですよね。

ダンスユニット「KiNAKO-AiCE(きなこあいす)」

小野さん:そんな中、彼女たちのモチベーションを上げようと参加した、横浜や東京の大手ダンススタジオのレッスン体験で出会えたのが、今314STでダンスインストラクターをやってくれているamiちゃんだったんです。今から4年前です。当時amiちゃんは大学を卒業したばかりで、まだ今のようにメジャーじゃなくて。大手ダンススタジオの先生が休講になったときの代講のインストラクターでした。初対面でKiNAKO-AiCEはamiちゃんの指導に魅了されて、そこからSNSで追いかけるようになったんです。代講レッスンのタイミングがあえば横浜・東京にも行くようになりました(笑)
そんなところからKiNAKO-AiCEのこともamiちゃんが気にしてくれるようになり、オンラインレッスンを受けられることになって。とはいえ、スタジオのように大きな鏡のある場所が三島近隣で探すのが難しくて、あっても予約の手続きが面倒だったり、少人数で短時間のレンタルは割高だったりで。なので、畳1畳くらいの大きさの鏡を買って、みしま未来研究所やカフェスペースほとりに持ち込んで練習してたんですよ。

当時の練習風景。鏡は2人で2枚ずつ買いました。

小野さん:KiNAKO-AiCEの二人が中学生になったころには、週1でamiちゃんが三島に来訪してくれるようになりました。対面でレッスンを受けられるようになってからはKiNAKO-AiCEもどんどん上手くなっていきました。そして彼女たちの成長と比例するようにamiちゃんもダンススタジオでレギュラーのクラスを複数掛け持つようになり、予約が殺到する人気のインストラクターになっていったんです。
amiちゃんが自分のナンバー(ami girls)で渋谷や横浜での大きいイベントに出演するときに、そのチームの一員としてKiNAKO-AiCEの2人を入れてもらうこともありました。東京や神奈川の大学生・高校生と一緒のチームで練習したり、ステージに立ったりすることでの刺激は想像を超えるほどすごかったようで、彼女たちのダンス技術もですが、コミュニケーション能力や度胸、粘り強さといった“人間力”の成長は、親の私が見ていてもとにかく著しかったです。
私、彼女たちの成長を見た時に、出会いとチャンスでこんなにも変わるんだなと感じて。もしあのまま市内近隣のダンス教室に通っていたら、渋谷の「DANCE Holic」のような大きなステージで踊れるチャンスは掴めなかったし、きっとKiNAKO-AiCEの二人もここまでの実力と自信はつかなかったと思います。娘は、ダンスチームで一緒だった先輩の選択や生き方に刺激を受けて、神奈川県の高校を受験して今通ってるんですよ。

2021年12月 KiNAKO-AiCEがami girlsにデビュー

小野さん:今年高校生になった娘には、6つ下の妹がいるんですけど、その次女は「ダンス習いたい」ってずっと言っていて。なんで「私は習わせてもらえないんだ。ずるい」と。実はそれ、お姉ちゃんが阻止してたんです。「市内のダンス教室に行かせるんだったら、最初から横浜か東京のレッスンを受けさせてあげてほしい。それが上手くなる近道だ」って言って(笑)
横浜や東京に親の私が引率する時間とお金を考えたら、非現実的な話。こっちでダンススタジオを立ち上げて、横浜や東京から先生に来てもらった方が良くない?って思って。我が家だけじゃなくて、ダンスを上手くなりたい他のお友達にもニーズがあるんじゃない?…そんなことをamiちゃんに相談したのが、314STの立ち上げを本気で考えた最初のアクションでした。

ニューヨークのように無限の可能性を秘めた場所に

――小野さんは国際協力NGOのジョイセフでも働かれていますが、そこでの経験は今の事業でも活きていますか。

小野さん:かなり活きてますね。やっぱり発想のそもそもの根幹が、「三島から世界へ」っていうところもですが。仕事では、アフリカをはじめ開発途上国の女性や子どもたちの可能性を最大限活かせる支援内容を常に意識しているんですが、この三島の地域の子どもたちが、個々にもともと持てる能力を、新しい出会いや体験を通じて開花できるようにしたいんです。そうすることで子どもたちの選択肢を広げて、一人ひとりがなりたい自分になる可能性を広げられたら。三島にいても諦めなくていい。もっと自信を持って世界を身近に感じてもらいたいんです。そんな願いを込めてスタジオのサインには、"empower myself" と掲げました。
また、11年前に私が同世代のママたち発足した健幸コミュニティ「HiPs(ヒップス)」の活動経験もスタジオの立ち上げに活きています。HiPsの名前には、"i"という文字が入っていて、これは"inspiring"(刺激する・鼓舞する)を意味しているのですが、コミュニティで出会った者同士がお互いに刺激し合ってそれぞれが成長し、自身をさらに健幸にするのを実証してきました。スタジオに通うこの地域の子どもや大人がここで“empower myself”して、未知なる自分と出会える場所にできたら最高ですね!

HiPs活動の様子。
月に一度、満月の下を走る「満月ジョグ」を定例開催しています。

――スタジオの内装はニューヨークの地下鉄をイメージしたとお聞きしましたが、やはり「三島から世界へ」という思いから着想を得たのでしょうか。

小野さん:ニューヨークって面白い街で、ずっと世界中が憧れるナンバーワンの街じゃないですか。でも、ただきらびやかなだけじゃなくて、若者たちに人気があるものって、ニューヨークの地下鉄の壁のペイントとか、アンダーグラウンド発祥だったりするんです。キース・ヘリングとかの画家もそうですけど、著名なアーティストたちも、幼少期は貧しくて、力もネットワークも名もない個人で。そんな地下に埋もれてる人たちが、投資家や富豪との「出会い」で一気にチャンスが増え、能力開花し、そして著名になる。世界のトップに立つための近道が、ニューヨークの地下にはたくさん眠っているなあと思うんです。
今回のスタジオの物件も築50年の古いビルだったから、それをどうやって活かそうかなってすごく考えました。昨年6月の豪雨で雨漏りが発生して絶望を感じていた時に、ふとニューヨークの地下鉄を思い出して希望が生まれたりもして(笑)素材を生かして、雨漏りしている壁も逆にむき出しにする空間デザインにして、ニューヨークの地下みたく可能性やパワーを感じられる場所にしようって。

地下鉄をイメージして設置されたデジタルサイネージ

新たな出会いの生まれる場所をこのまちにつくっていく

――オープンしてから早くも3カ月が経ちましたが、今後の展望などはありますか。

小野さん:スタジオもそうですが、今後も、新しい出会いの場所をつくるっていうことを、やっていきたいなってすごく思っています。これまでは、NGOジョイセフの仕事を自分の中心に持っていたけど、今回スタジオを立ち上げたことで、私自身も今まで出会えなかった人たちと出会えて、刺激を受けられるのかなとワクワクしています。なので、新しい展開、展望っていうのは、今もまだ未知なんです。もしかしたら明日誰かと出会って、新しいアイデアが生まれるかもしれないから。
これからは私単独でやることよりも、誰かとコラボでやることも増やしていきたいですね。その方が想像を超えた広がりがありそうだから。お互いにとって相乗効果のあるコラボレーションをやっていきたいと思っています。

後で見返せるよう、レッスン中は動画撮影に注力する小野さん

――最後に、これからチャレンジする人たちに向けて一言いただけますでしょうか。

小野さん:私もつい無意識でやっちゃうんだけど、年取れば取るほど、余計なおせっかいで自分の価値観を若い人たちに押し付けちゃうんです。それって本当に意味ないなあと反省しています(笑)自分の娘たちも含め、チャレンジする若い人たちには、「 いろんな人と出会った方がいいよ」って伝えたいなと思っています。一人ひとり違う価値観を持ってるじゃないですか。時代も変わり、社会も激変していく中で、人々の生活スタイルや価値観はもっと多様になっていくと思うから。事業を起こすチャレンジャーな人たちってこだわりもあるし、そのこだわりに賛同してくれる周りの近しい人たちはみんな自分のことをサポートしてくれるんだけど、それって氷山の一角でしかなくて。
BtoCの事業をしている場合、お客さんにもいろんな属性があるんだから、積極的に人と会って、属性を知る機会を増やす。ちょっと自分には理解できないなって思う人でも、なんでこんなふうに考えるんだろうって立ち止まって、そこをちょっと知るだけでも、その先にあるお客さんだったり、友達だったりの層が見えてくる。それって、自分の自信につながるし強みにもなると思います。人との付き合いを固定するのはもったいない。常にいろんな人と出会って、話を聞いて、自分の肥やしにしてほしいなって思います。

店舗情報
314ST(サンイチヨンスタジオ)
住所:静岡県三島市芝本町5-36
HP:https://314st.net/
Insragram:https://www.instagram.com/314st__/

▽お問い合わせはこちらまで
machinaka@kawata.org(加和太建設 まちなか事業室)