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町医者エッセイ

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町医者松嶋大が書き溜めているエッセイです。
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記事一覧

先生のところにずっといるよ@町医者エッセイ

武さんは、医師である私を最も信頼してくれた患者さんの一人だと信じています。 信頼されると…

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そして約束を守ろう@町医者エッセイ

訃報がはいった。 担当している患者さんのご主人だった。 特別な方のご兄弟で、失礼だけれど…

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終わりなき旅@町医者エッセイ

95歳と長命のみとりさんは、その年まで大きな病気もなく過ごされていました。ある時、食欲が無…

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孫か、医者か@町医者エッセイ

ミキさんは特別な患者でした。 ミキさんは医者である私を頼ったのは生涯で一度のみでした。よ…

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全うした@町医者エッセイ

老衰で、最期が迫っていた常男さんが、やっとの思いで声を絞り出しおっしゃいました。もはや…

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憧れの男@町医者エッセイ

矢兵衛さん、心から尊敬してやまない患者さんです。いや、敬愛する男性と申し上げた方がいいで…

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「生ききる」を選べる時代に@町医者エッセイ

Sさんの葬儀に参列しました。私はSさんの最後の主治医。葬儀の数日前、Sさんは、ご自宅で、愛するご家族に囲まれその人生に終止符を打たれました。 葬儀中、遺影の真正面に立つと、溢れ出す涙をこらえられませんでした。晩年、苦しみが少なくなかったはずのSさんが、遺影の奥で穏やかに笑みを浮かべていらっしゃる。眩しすぎました。Sさん、本当にごめんなさい、僕にもっとできることがあったのではないですか。Sさんに申し訳ない気持ちで一杯でした。一方で、尊敬すべき人生の先輩のSさんの、偉大な人生の最

未完成なぼく@町医者エッセイ

大都会で働いていた湊さんは、60歳を目前に故郷岩手に戻りました。運命は残酷でした。岩手に戻…

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おうちに帰りたい@町医者エッセイ

「痛み止め増やして、先生。でもね、眠くはなりたくないの。家族ともっと話したいから」 痛…

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