終わりなき旅@町医者エッセイ
95歳と長命のみとりさんは、その年まで大きな病気もなく過ごされていました。ある時、食欲が無くなったと、珍しく病院の門をくぐりました。すぐに胃カメラを行いました。進行胃癌でした。年齢を考慮し、手術や抗がん剤はせずに緩和医療に徹することになりました。
入院されたみとりさんには、進行癌とは思えないほどに静かに時間が流れました。
時は春、桜が咲き乱れる美しい季節。私はみとりさんをお花見にお誘いし、病室から連れ出しました。足腰が弱くなったみとりさんを車椅子に乗せ、車椅子を押しながら病棟