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快適に待てる病院ー患者目線の待合室

悪化しないものの良くもならない病を抱えている。
日常生活には支障なく、運動はむしろ推奨され、飛行機の旅もシュノーケリングも楽しめている。

2ヶ月に一度、診察で大学の附属病院へ通う。
東京駅と浜松町駅、どちらの駅からもタクシーに乗ってさほどかからない立地にある。
大きな病院なので、遠く離れた所から新幹線や飛行機で通院している人もいるだろう。

数年前の転職がきっかけで、紹介状と共にこちらの病院へ移った。
同じ大学病院なのに、こうも違うのかと驚いている。
待ち時間の快適さが違うのだ。要因は3つある。

①待ち合い室空間が広く、イスのスタイルが何種類もある
②順番が近づくとLINEで教えてくれる
③無料Wi-Fiが完備されている

快適さの共通点は全ての患者が少しでも快適に過ごせるよう工夫されていること。

採血してから結果が出るまでに1時間以上待たされる。
以前通っていた大学病院では、ひたすらぎゅうぎゅう並べられた長イスに座って待っていた。待合室は日も当たらず、鬱陶暗かった。
診察番号の表示盤も大き目の液晶がたった2ヶ所に設置されているのみで、順番を見逃さないため近くに座って気にかけておく必要があった。

ウズウズと退屈な待ち時間は「診察に遅れないようにこの辺にいろよ」と強いられているようだった。

いまの病院は広々とした空間に、長イスだけでなく二種類のテーブル席が点在し、ソファー席もある。
家族で軽食を摂っている人、ノートパソコンのキーボードを叩く人、みんな思い思いに過ごしている。
0.1程度の視力があれば読める液晶掲示板が全ての階に複数設置されており、LINE登録せずとも好きな場所で診察の順番を待てる。

私は1階のカフェで朝食を食べ、家の近くにないナチュラルローソンを見て回っている。
それでも順番が来ない場合は、おとなしく診察階に戻りWi-Fiを繋いで大好きな海外ドラマを見ている。
そして順番が近づいたことを知らせるLINEが届くと診察室の前へ移動する。

大きい病院は待たされる。
医師も多いが患者はもっと多く、それぞれ病状も違う。診察時間が長い人もおり、予約時間通りにコトを進めるには病院スタッフの努力だけでは限界がある。

病状によっては自由に動き回ったり、動画を楽しむメンタル状態ではない方もおられるだろうが、この病院は患者が少しでも快適に診察を待てるように工夫がされている。
大きな窓ガラスから空を眺められる所も気に入っている。

「個の選択」が実現するか否かは幸福度に影響する。病を抱えていてもその権利はあると教えてくれているようだ。

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