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マカピーな日々 ヨルダン紀行(3) #0019

マカピーです。

ヨルダンの面積は北海道ほどの大きさでお隣の国がたくさんあります。北からシリア(シリアの内戦?で長らく国境が閉鎖)沢山の難民の方たちがヨルダンにいます。パレスチナ(イスラエルに牛耳られています)こちらも50年以上ヨルダンで避難しているうちに市民権を持っている方がたくさんいます。イラク、こちらの難民も沢山いますね。つまりヨルダンて難民の人口がものすごい多い国なんです。あと国境を接しているのはサウジアラビア、エジプトそしてイスラエル(パレスチナ)ですね。

ハリウッド映画で「アラビアのロレンス」というのがありました。彼が活躍した土地こそがヨルダンです。T.Eロレンスは地理の学者でしたが軍人としてアラブの独立を考える事になります。彼が執務していた場所が各地の遺跡の中にも見られますし、有名な「アカバ!」と叫んで目指す港町はこの国唯一の紅海に面した海岸線持つ場所で、すぐ隣にイスラエル領土そして相向かいにエジプトのシナイ半島側の土地が広がります。海水は恐ろしいほど透明度があり1月に訪れた時には沢山のウニがいました。マカピーはヨルダン人の同僚に「このウニは寿司のネタとして最高なんだよ」と教えると「日本人はこんなトゲトゲのものを食うのか?」と怪訝な顔をされました。

塩分濃度が高くてそこで海水浴すればぷかぷか浮遊してしまうという死海は標高マイナス400mほどです。首都アンマンから国道を下って行くと途中に「海抜0メートル地点」の碑が現れます。死海を挟んでパレスチナそしてその向こう側には地中海があるのですがそのレベルから更に400m下るのですから驚きます。ちなみにアンマンから死海までの距離は車で30分ほどです。

アンマンの標高が1,100メートルですから死海に下ると更に400メートル加えて1,500メートルのギャップがある事になります。仕事で毎週のようにこの道を通りました。ここに広がるリフトバレー(ヨルダン渓谷)は大地溝帯でうまれた地形でかつては紅海と繋がっていたといわれるのが水たまりのように残った死海です。

大地が裂けた地形ですから死海を挟んだ両岸とも地層をふくめてよく似ています。そのヨルダン渓谷の北部にはテベリア湖やヤルムーク川を源とするヨルダン川が死海に流れ込むのですが乾燥が激しいうえに、昨今の灌漑用水として利用されるので殆ど表流水がありません。水を管理公社があり地下水やため池からの水供給で周辺では果樹や野菜栽培が盛んです。

冬季はアンマンで雪が降ってもマイナス400m近く土地が低いヨルダン渓谷では常春のような気候になりますが夏は50℃超える暑さにもなる厳しい土地柄です。ですから当然乾燥して死海の水はどんどん蒸発してしまい毎年1m近く湖面が低下しています。水の供給(河川)がほとんどなく蒸散するばかりなので死海の塩分濃度が高くなるのも納得できます。

マカピーも一度死海で泳いだことがあります。確かに驚くほど浮いてしまい新聞を読めるというのは本当でした。塩分濃度が飽和限界まで高まっているので周囲の岩などに塩の結晶ができていて素足だと危険だと言われています。試しに塩水を舐めてみましたがビリビリとくる強さでしたが塩っぽくなくて強烈に苦かったです。

その死海の水が目に入ると、、、「痛い」です。ですから皆さん静かに新聞を読むくらいがいいのですが、何を思ったのかバシャバシャとうつ伏せで泳ごうとする輩がいると困ります。安楽椅子に腰かけるように水につかるのが正解なのに逆になるとお尻がポッコリとでてしまい頭が水面下になる恐れがあり危険です。慌てて水をかこうものならその超苦い水が周囲の人の目に入るとあまりの痛さに絶叫してしまうほどです。

死海のミネラル豊富な塩を利用して各種の化粧品が作られたり、その泥を体に塗りたくるエステティックな効果も期待できるし、イスラエル側では治療として利用もされているそうです。世界的な5つ星ホテルが軒を連ねる一角があるのも死海ならではの光景です。ちなみに死海の海水浴は一日1回程度、20分以上入らないように警告が出ています。早い話、高濃度の塩水に長く浸かっていると皮膚から水分がどんどん吸い出されてしまうので危険なのです。

この塩水をさらに蒸発させてその中のミネラルを抽出して輸出している産業もあります。死海南部に行くとリン酸とマグネシウムを抽出する大きな工場もあります。もう少し先に行くと死海が終わるのですが毎年どんどん海岸線が後退しているのが良く分かる地域にところどころ大きな陥没が見られます。これはシンク・ホール(陥没穴)現象と呼ばれるもので、国道である死海道路は時速100㎞以上で走る道路ですからいきなり、舗装道路が陥没するようなことになると大変ですよ。

死海の中央には見えないですけど国境があります。向こう岸はイスラエルというかパレスチナなのですがイスラエル軍の軍事演習なのか時々砲弾が炸裂するような音と空気の震えが感じられることもあります。ですから道路沿いにもたくさんの監視塔があります。遊泳者を見ているのではなく対岸の敵を監視しているのです。

世界が平和でありますように!

次回は死海南部の古い都市Safiのお話をしましょう。お楽しみに。

マカピーでした。


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