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潮時だったのかも…

自宅前の道路は路線バスが通ります
そして住宅地へと続く道なので
道幅のわりに交通量が多い道路です

自宅前の花に水やりをしていると
一匹の小さな犬が
普通に自然にゆっくりと
道路を横切って行くのが見えました

それが里親宅から逃げ出した小太郎

昨年の春の事でした

あれから1年半
いろいろな事がありました
毎日毎日小太郎の様子を気にして
自分にできる事を考え続けていました

小太郎は人や車に怯える訳でもなく
かといって自分から近づく事もなく
吠える訳でもなく
牙をむける事もなく
自然に当たり前のように過ごしていました

人が置いた餌を平気で食べるのに
捕獲器に入る事はありません

昨年暮れに主人が作ってくれた罠で捕獲失敗
網にスッポリ入ってからの逃亡
そんな怖い目にあったのに
遥か遠くに行くでもなしに
近隣での目撃情報が
途絶える事はありませんでした


数週間前に何ヶ月かぶりで
小太郎が現れました
お目当てのメス犬が飼われている家の傍の
いつもの場所です

相変わらずの様子でした

でも1つ気になった事がありました
以前に比べて露出が激しかったのです
休んでいる場所は同じでしたが
お目当てのメス犬の傍へ頻繁に近寄り
車やバスまで止めているのを
何度も見かけました
今度ばかりは事故にあうのではと心配になり
再び保護を視野に入れて餌を置き始めました

保健所が捕獲器も設置しました

けれど餌は猫とカラスが食べるだけで
小太郎が近寄る事はありません
もちろん捕獲器にも入りません

今思えば捕獲器が置かれたせいなのか
小太郎の寝る場所が変わりました

メス犬がいる家の隣の敷地内で
建物と塀との隙間で奥は袋小路なのに
無防備にくたびれたように寝ていました

他の方法で保護しようと
主人と準備をしていましたが
罠を仕掛けるまでもなく捕獲できそうでした

ごん太を我が家に連れて来てくれた
永年犬猫の保護活動をしているMさんに
相談の電話をしようかと迷っていた時に
スマホに着信がありました
驚きました
Mさんでした
かけて来た内容は別の迷子犬の件でしたが
小太郎の件も当然のように知っていて
現状を話すと保健所の人に
網で捕獲してもらえば良いと
アドバイスをいただきました

その後はトントン拍子に事が運びました

保健所へ電話をし詳細を話すと
すぐに2人の職員が来て
大きな網で捕獲する事ができました

1年半の間たくさんの人の注目を浴び
春夏秋冬を一匹で生き抜いて来た
小太郎の放浪劇の幕がおりました

捕獲された時だけを切り取ると
呆気ない幕切れでしたが
なんだか泣けてきて何度も小太郎に話しかけ
行ってしまってからは脱力感や喪失感があり
極度のストレスだったのか
身体中にしびれるような痛みを感じました

そこまでなら引き取れば良いのに…

そう簡単にはいきません
1つの命に最期まで責任が持てません
既に5つの命を今預かっている状態なので


今日もいつもいた所に小太郎がいる気がして
頭の中ではわかっているのに
目だけはキョロキョロと
小太郎の姿を探していました

小太郎は幸せなのかな…


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