岡野バルブ1Q決算短信が原発関連総決起を示唆か ー 東京産業と西華産業など

 4月5日に岡野バルブ製造が1Q決算を発表した。上期進捗率255.9%という強烈な数字だった。

同社のビジネスは会社四季報ONLINEによれば、”電力向け大型高温高圧バルブメーカー。1936年設立。原子力・火力発電所向けが得意で、沸騰水型原発(BWR)向け最大手。東京電力関連向けの比重が高く、売上高の5割弱を占めるメンテナンスにも強み” とのこと。では、同社の1Q決算短信から注目すべき部分をコピペしてみよう。

バルブ製造部門では、田原バイオマス発電所向け弁、高浜原子力発電所2号機向け素 材、女川原子力発電所2号機向け部品などの販売のほか、自家発電設備向けの弁部品販売も好調であったことか ら、売上高は前年同期を上回ることとなりました。 メンテナンス部門では、福島第一原子力発電所3号機の廃炉関連工事をはじめ、東通原子力発電所1号機の機器点 検工事、福島第一原子力発電所向けの弁改造工事や弁点検工事など、原子力発電向けの売上が著しく好調であった ことから、売上高は前年同期を大幅に上回ることとなりました。 以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は1,570百万円(前年同期比96.3%増)となりました。利益面に つきましては、メンテナンス部門における原子力発電向けの売上高増加が大きく寄与した結果、営業利益269百万 円(前年同期は営業損失134百万円)、経常利益325百万円(前年同期は経常損失88百万円)、親会社株主に帰属す る四半期純利益241百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失70百万円)となりました。

岡野バルブ製造 1Q決算短信

2011年の東日本大震災以来止まっていた多くの原子力発電所がついに再稼働する準備態勢に入ったことが同社決算短信の定性コメントから窺えるのではないだろうか。

西華産業。第3位の大株主に三菱重工の名前がある。同社の2023年3月期の有価証券報告書の「対処すべき課題」には以下の記述がある。

②原子力発電設備に関わる販売代理店業務の運営の早期安定化
 当社は、三菱重工業株式会社との間で原子力発電所設備関連の販売代理店契約を締結し、2023年4月1日より原子力発電の主要機器・設備に関わる代理店業務を開始しております。加えて、他のメーカー製品の原子力発電設備における代理権も多く同時に取得しており、今後は、当社の主力事業のひとつという位置付けで、原子力発電関連業務に取り組んで行くことになります。当社は、火力発電設備に関わる代理店業務においては長い歴史と経験を有しておりますが、原子力発電関連業務は、それとは性質の異なる部分も多く、新たな事業領域と捉えて、真摯かつ丁寧に取り組む必要があると考えております。既に、拠点新設を含む組織の構築、経験者の採用を含む要員・体制の増員、手続きやシステムに関する整備など、業務開始に当たって必要な手当ては実施しておりますが、それらが実際に有効に機能するよう不断に検証と修正・改善を重ねつつ、早期に安定的な運営が実現され、当社に期待される役割を果たせるよう努めてまいります。

西華産業有価証券報告書 via www.ullet.com

東京産業。筆頭株主が三菱重工。同社は昨年にこのようなリリースを出している。

 原子力発電設備販売代理店契約締結に関するお知らせ
 当社は、一部地域における三菱重工業株式会社の原子力発電設備の販売代理店として、同 社と販売代理店契約を締結しましたので、お知らせいたします。業務開始日は 2023 年 4 月 1 日です。 当社グループは、中期経営計画「T-Stepup2023」における成長戦略の一つとして、地球 環境とエネルギーミックスへの対応拡大を掲げ、2050 年カーボンニュートラルの達成に向 けた取り組みを推進しております。カーボンフリーかつ大規模・安定電源である原子力は、 今後の脱炭素社会の実現に向け欠かすことのできない電源であり、当社戦略に沿った成長 分野の一つです。 今回の販売代理店業務開始にあたり、原子力発電事業の更なる展開・強化を目的として 2023 年 4 月 1 日より専門の営業本部を新設するなど体制強化を図ります。本件を契機とし て、原子力発電事業を新たな主力事業の一つに育成すべく、積極的な事業の推進を図ってま いります。

東京産業 www.tscom.co.jp

あれ、三菱重工、二股かけているの?と思った方もいるかもしれないが、会社四季報ONLINEの東京産業のプロフィールには、”中部以東の電力会社向け設備の受託販売・工事・保守が柱”という記述が、また、西華産業の統合報告書には以下に貼り付けたような記述があるので、東日本、西日本で両社のテリトリーの棲み分けができているようである。

出典 西華産業統合報告書2023

まだザラ場なので本日の配当利回りは確定しないが、西華産業は3.9%台、東京産業は5%を超える(24.03期は赤字見込みなので減配が無ければという条件付き。いずれにせよ、25.03期は「黒字転換2倍株」の有力候補である。)

この2社は、配当利回りが高く、新NISA向きではないかと考えている。

原発関連では、株探の次の2テーマがハンディである(配当利回り順にソートしてある)。

東京産業、西華産業の他には、1Q決算にして既に通期上方修正したのと ROE 二桁ということから助川電気工業が、また、全国の原発に納入実績を持ち、やはり、ROE二桁が出る年度もある高田工業所がこのテーマでは面白いと思っている。


出典 高田工業所 CORPORATE GUIDE

筆者の大局観としては、外資系の本邦へのデータセンターの巨大投資、信越化学が久しぶりに国内新工場建設などのヘッドラインが象徴する半導体投資の国内回帰のトレンドからして、電力が今後足りなくなり気味なのは目に見えている。どうしたって原発は再稼働せざるを得ないのではないだろうか。

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