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イクラがキャビアになろうとするな、鮭になれ!

どれだけ受け入れられなくても人生はフィクションではないからね、だからこそフィクション小説にのめりこむのね。
犯罪に手を染めず他人の脳を覗いて想像力をパクるんです。
同じ境遇のモブキャラに愛着を持ち、代替宇宙を調べ、西嶋に出会いたかったと嘆く。
それは私にとって希望になった。
絶対居る!って期待してしまった。
想像も度を越えると洗脳。
知らない世界に踏み出せば、家庭環境も年齢も学力も、住んでいる場所さえバラバラな大きな社会、開放的空間へ。

雀荘に入り浸っておじさんの人生論に舌を巻き、潜入キャバクラバイトでコークハイと称したコーラ片手に観察。
「借金まみれで死んじゃいたいよー」って言いながら一発ツモった職業不詳のもっさん、太ももからふくらはぎまで四匹の蝶々を飼っていた歳の近いハルちゃんは「天職やわ」と笑っていた。
二人の言葉を聞いた両日とも、木屋町通りで私は泣いた。19歳だった。
その横で新歓パーティーの大学生達が、我こそ先にと高瀬川に向かってゲロに次ぐもらいゲロをぶちまけていた。
お酒は一生飲まない、と彼らを見て誓ったのに今この瞬間も立山を飲んでいる。
まだ晩御飯も作っていないのに。
これがノンフィクション。
繰り返し繰り返し。

キャビアになろうとしていた自分を愛おしく思うこと。そう思えたのならようやっと孵化の合図。