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「ロック・ミュージック史」の名盤に関する思索です。
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帝王によるアーバン且つ静謐なフュージョンとジャズ・ロックの台頭

帝王によるアーバン且つ静謐なフュージョンとジャズ・ロックの台頭

今日、ご紹介するのは、ジャズ・ロックとフュージョンです。

60年代後半以降、ロック・シーンは、ジャンルの多様化による大きな展開がありましたが、その中でも特に注目を集めたのは、ジャズから影響を受けたバンドの台頭でした。

ジャズ・ロックは、従来のロック・ミュージックを土台としつつも、1940年代や50年代におけるビック・バンド形式のホーン・セクション・サウンドとロックのビートの組み合わせ(1)とな

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南部への憧憬を抱いた作家とそれぞれのアメリカーナ

南部への憧憬を抱いた作家とそれぞれのアメリカーナ

今日、ご紹介するのは、アメリカーナ系のロックです。

アメリカーナ・ミュージックは、アメリカ合衆国における白人音楽のルーツであるフォーク/カントリー/ブルーグラスや黒人音楽のルーツであるブルース/R&B/ゴスペルといった各音楽ジャンルの伝統的なスタイルが融合されたサウンドを特徴としています。

60年代後半から70年代半ばに掛け、多くの作家が同ジャンルの生誕地である米国南部の音楽へと向かいました。

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アートの可能性/潜在性を具現化/具象化した英国のグラム・ロックとプログレッシヴ・ロック

アートの可能性/潜在性を具現化/具象化した英国のグラム・ロックとプログレッシヴ・ロック

今日、ご紹介するのは、英国のグラム・ロックとプログレッシヴ・ロックです。

70年代前半、英国のロック・シーンは、極めて印象深い時期を迎える事になりました。

ロック・ミュージックの多様化から生み出されたハード・ロック、グラム・ロック、プログレッシヴ・ロックの3つのジャンルが確立され、70年代という次なるタームは、その牽引者らの台頭から混沌化の様相を呈します。

グラム・ロックとプログレッシヴ・ロ

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巨大な大陸/マーケットへ挑んだブリティッシュ・ハード・ロック

巨大な大陸/マーケットへ挑んだブリティッシュ・ハード・ロック

今日、ご紹介するのは、ブリティッシュ・ハード・ロックです。

ロック・ミュージックは、60年代後半から70年代前半に掛けて、数多のミュージシャンによって多種多様なスタイルが確立され、ロック・シーンは、非常に多面化していきました。

そうした状況下において、主流となったジャンルは、ハード・ロックでした。

ハード・ロックは、各バンドの特色から多角的に発展していくのですが、その基礎的なスタイルは、ブル

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ブラック・ミュージック史における一つの革命となったニューソウル/プログレッシヴ・ソウル

ブラック・ミュージック史における一つの革命となったニューソウル/プログレッシヴ・ソウル

今日、ご紹介するのは、70年代のニューソウル/プログレッシヴ・ソウルです。

70年代の初頭、R&B/ソウル・ミュージックは、重要な転機を迎える事となりました。

60年代の同ジャンルは、主として商業的な野心を持ったレコード会社の主導の下、シンガー/アーティストとプロデューサー/ソングライターによる分業制からレコードが制作されていました。

ところが、70年代前後を境にして、作品のプロデュース/ソ

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時代の変わり目と共に現れたSSW達による其々の内省

時代の変わり目と共に現れたSSW達による其々の内省

今日、ご紹介するのは、70年代初頭のSSW達の作品です。

60年代におけるロック・シーンの主流であったサイケデリック・ロックやフラワー・ムーヴメントの熱気は、ウッドストック・フェスティバルで一つのピークに達しました。

しかしながら、70年代の始め、ロック・シーンは、60年代のアイコニックであったビートルズやジミ・ヘンドリックスやジム・モリソンらを失い、その狂騒も次第に沈静化していきます。

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濃厚な音楽性と濃密な関係性によって生まれた英米のスワンプ・ロック

濃厚な音楽性と濃密な関係性によって生まれた英米のスワンプ・ロック

今回、ご紹介するのは、スワンプ・ロック関連のアルバムです。

60年代後半、ロック・シーンの主流で活動する多くの英米ミュージシャン達が米国南部音楽に根ざした方向性へ向かいました。

その音楽的な起点となったのは、ボブ・ディランとザ・バンドが発表した『ザ・ベースメント・テープス』のアセテート盤や『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』、あるいは、グラム・パーソンズ擁するバーズが発表した『ロデオの恋人

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ブリティッシュ・ロックの雛形となったハードでソウルフルなロックンロール

ブリティッシュ・ロックの雛形となったハードでソウルフルなロックンロール

今日、ご紹介するのは、ブルース/カントリーやR&B/ソウルの流れを汲むハード・ロックです。

1970年代のロック・ミュージックを俯瞰的に捉えてみると、ロック・シーンの主流は、ハード・ロックでした。

ハード・ロックは、同年代、あらゆるスタイルを確立させていますが、その始点を改めて遡ってみると、ブルース・リヴァイヴァルのバンドのサウンドから発展(1)し、ブルースやフォーク・ロックのルーツとの関連を

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オルタナ・ロックの始祖たちが反響させたラディカルなロックンロール

オルタナ・ロックの始祖たちが反響させたラディカルなロックンロール

今日、ご紹介するのは、オルタナティブ・ロックの系譜に属するバンド群です。

60年代のロック・ミュージックは、サイケデリック/アート・ロック以降、急速な発展を遂げ、同ジャンルは、ジャンルの多様化あるいは細分化の様相を呈し、一つの分岐点を迎えていました。

彼らは、そうした状況下、音楽面においてはコンソールや楽器、スピーカーやエフェクターなどを変則的に使用し、精神面においてはアルコールや新種のドラッ

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シーンの中心地から離れた場所で名作を著した60年代のSSWたち

シーンの中心地から離れた場所で名作を著した60年代のSSWたち

今回、ご紹介するのは、60年代のSSW達の作品です。

これまで振り返ってきた通り、60年代のロックの歴史は、ブリティッシュ・インヴェイジョンやフラワー・ムーヴメントによって大きなページが刻まれました。

しかしながら、60年代に名作を著したSSW達は、そうした時代の趨勢とは異なる場所から現れました。

ロック・シーンの中心地に属さない作家たちによる作品群は、歳月を重ねるごとに再評価され、やがてロ

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既存の枠組みを超えた異形なるロック・ミュージックの誕生

既存の枠組みを超えた異形なるロック・ミュージックの誕生

ロック史において、1969年は、非常に話題性に富む特別な年となりました。

それを最も象徴する出来事は、やはり約40万人を集客したウッドストックに代表される大規模な野外フェスティバルの開催でした。

また、この年は、異なるバンドの大物ミュージシャン同士が新たにバンドを結成するいわゆるスーパー・バンドの結成も相次ぎました。

こうした大きな出来事の背景には、60年代後半に掛けてロック・ミュージックが

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ルーツへの回帰から一つの集大成と時代の区切りを示したロック・ミュージック

ルーツへの回帰から一つの集大成と時代の区切りを示したロック・ミュージック

1960年代後半、ロック・シーンは、前年までのサイケデリック・ロックの流れから一転し、ルーツへの回帰が顕著となりました。

その背景には、同時期、ベトナム戦争や人種問題が混沌の一途を辿っており、社会情勢の不安定化に伴い、各ミュージシャン達は、ルーツへと回帰することで自身の足元を今一度見直そうとしたのかもしれません。

ブルース/R&Bやフォーク/カントリーなど多様な音楽ジャンルを束ねる事で成立した

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多彩なロック・シーンを彩ったソフト・ロックやオーケストラ/バロック・ポップとその職人気質な作家たち

多彩なロック・シーンを彩ったソフト・ロックやオーケストラ/バロック・ポップとその職人気質な作家たち

今日、ご紹介するのは、ソフト・ロックやオーケストラ/バロック・ポップと呼ばれる音楽ジャンルです。

同ジャンルの音楽的な特徴は、コーラスや弦・管楽器の多重録音による壮麗かつ実験的な音作りや編曲であり、その源流となるのは、フィル・スペクターやバート・バカラックなどに代表されるニューヨークの職人気質の作曲家/プロデューサーにあたります。

同ジャンルにおけるSSWあるいはバンドは、先日、ご紹介したビー

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ロック史の転換点と既存の社会を揺るがしたアート・ロック/サイケデリック・ロック

ロック史の転換点と既存の社会を揺るがしたアート・ロック/サイケデリック・ロック

1967年、ロック・ミュージックは、大きな変化がシーンに訪れ、1つの転換点を迎え、その歴史にとって非常に重要な年となりました。

アート・ロックまたはサイケデリック・ロックと呼ばれる前衛的/実験的な作品群が発表され、従来のコマーシャルなロックと一線を画する同ジャンルは、そのステージ・パフォーマンス面も含め、ラディカルな表現スタイルから既存の社会に対するアンチテーゼを示しました。

アート・ロックは

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