亀田小児科での3ヶ月 (11-1月)

はじめに

3ヶ月間、亀田小児科での研修を経験し、その中で学んだこと、感じたことについてご紹介します。この期間を通じて、小児科医としての基本的な対処方法、地域資源の利用、そして特に発達障害、心身症、虐待対応など複雑なケースに対するアプローチについて学びました。

学びの深まり

亀田小児科での研修では、よくある症候や病態に対する基本的な対処方法をしっかりと学ぶことができました。外来で実際に様々な主訴を持つ小児たちと接しながら、専門医のサポートのもと、患者さんとのコミュニケーションを取ることができたのは、非常に恵まれた環境だったと思います。一つ一つの症例からたくさんの学びを教えていただくことができました。

地域資源との連携

また、優しくて家庭医に理解のあるスタッフの皆さんの協力のもと、業務にお休みをいただいて公立小学校や中学校、特別支援学校、児童養護施設などの社会資源を見学をしました。これらの訪問を通じて、病院の外で過ごす子どもたちの環境を垣間見ることができたことは、明らかに診療の質を変えてくれたと思います。また、それぞれの施設で抱える問題が非常に複雑で根深く、医療福祉を取り巻く政治的な関わりやシステムの働きについて考える機会となりました。

複雑なケースへの対応

特に印象深かったのは、発達障害、心身症、そして虐待対応に関するマネジメントでした。虐待対応では、実際に数ヶ月間見逃されていたケースに気づき、行政機関と連携して今後の支援を模索する経験をしました。この経験をもとに、虐待を疑った場合の対応マニュアルを作成し、基幹病院との間でコンセンサスを得ることができたのは、とても意義深い成果でした。発達障害も心身症も虐待も、どれも子供だけの問題に終わることはありません。必ず背景には家族の問題があり、子供がその問題を表現しているという場合が少なからず存在します。一問一答の答えがあるわけではなく、子供それぞれ、家族それぞれに問題との向き合い方が存在すると思います。ここに興味が出てしまうのは家庭医だからでしょうか。

まとめ

この3ヶ月間の研修を通じて特に心を動かされたのは、発達障害、心身症、虐待という問題が、子どもだけでなく、その家族にも影響を及ぼすという事実です。子どもたちは社会的弱者であり、彼らを守ること、未来を守ることの重要性を改めて感じました。さらに、様々な障害や困難を抱える子どもたちをシステムとして守るためのアドボケイトの役割の重要性を学びました。

家庭医としての気づき

医者としてのキャリアが約40年と考えると、小児科で診た子供たちが成人し、働き始める頃には、医者としての役割も終わりに近づいてしまいます。僕は患者さんの人生をゆりかごから墓場まで見守ることのできるスキルを身につけてようとしていますが、実際には彼らの人生の特定の時期にのみ関わることが多いです。そう考えると、僕が成す役割として重要なのは、僕との出会いや対話という短い時間の中で、彼らが自分自身を認め、愛することができるようになること。そして、できればその愛を他者にも広げられるような影響を与えること。そのために、彼らの心に残るような言葉や問いを投げかけ、病気によって崩れたセルフイメージを持ち直し、新たに前向きに歩んでいけるように支援していきたいと思いました。

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